エマ・ストーンが脱ぎまくったうえ、こんなの誰も勝てないでしょっていう反則級の演技を見せた作品。ストーリー自体はそんなに面白いとはいえないです。51点
哀れなるものたちのあらすじ
19世紀のロンドンで医学生のマックス・マッキャンドルズは風変わりな外科医であるゴッドことゴドウィン・バクスターの助手となる。まもなくして彼はゴッドの保護下にあるベラという少女に恋をする。
ベラは幼稚な若い女性で精神年齢と肉体が釣り合っていなかった。なんでもビクトリアという妊娠中の女性が橋から身を投げて自殺した後、ゴッドが彼女の脳を胎児のものと入れ替えたというのだった。
ゴッドの勧めで、マックスはベラにプロポーズする。ベラはそれを受け入れるが、彼女の知能が急速に発達するにつれ、外の世界や自分自身に興味を持つようになる。彼女は自分自身の体を探求することで、自慰や性的快楽を発見する。
そんな中ベラは、ゴッドが結婚契約を見直すために雇った弁護士ダンカン・ウェダーバーンと共に家を出ていってしまう。好奇心旺盛のベラを止めることは誰にもできなかった。
ベラを失ったゴッドはベラの代わりにフェリシティという若い女性を新しい実験台にする。ベラのように知能が発達して外に出て行かないようにフェリシティは必要以上に賢くならないようにした。
一方ベラはダンカンとリスボンを始め欧州各国を回り、覚えたばかりの性交渉にふけった。ダンカンが彼女をコントロールするのが難しくなると、彼は彼女を密航させる。ダンカンは彼女の成長を阻止しようとするが、うまくいかない。彼はイライラし、酒とギャンブルに耽る。
アレクサンドリアでの停車中、ベラは貧困層の苦しみを目撃し、悲嘆に暮れる。彼女は船のクルーにダンカンがギャンブルで稼いだ金を渡し、貧しい人々に分けるように託した。しかしこのせいでダンカンは無一文になってしまい船を降ろされてしまう。
パリにたどり着いたベラは金と宿泊先を求めて、売春宿で働き始める。ダンカンはそれに猛反対し、怒り狂い、ベラと別れることにする。売春宿で、ベラはマダム・スウィーニーのところに世話になり、娼婦仲間のトワネットと親しくなる。
その頃、ゴッドは病を抱え、死を目前にしていた。マックスはベラを探すためにダンカンを見つけ出し、ベラのことを聞き、パリに手紙を書いた。手紙を受け取ったベラはすぐにロンドンに帰ってきた。しかしそこで自分の生い立ちについて初めて聞かされるのだった。
哀れなるものたちのキャスト
- エマ・ストーン
- マーク・ラファロ
- ウィレム・デフォー
- ラミー・ユセフ
- クリストファー・アボット
- キャサリン・ハンター
哀れなるものたちの感想と評価
「籠の中の乙女」、「ロブスター」、「聖なる鹿殺し」、「女王陛下のお気に入り」などで知られるヨルゴス・ランティモス監督による同名小説を基にしたファンタジードラマ。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作品であり、2024アカデミー賞作品賞ノミネート作品です。
風変わりな外科医によって、赤ちゃんの脳を移植して蘇った大人の女性が、何も知らない状態から徐々に知能をつけていき、やがて性に目覚め、煩悩を通じて汚れた世界を見ていく大人の童話で、フランケンシュタインの女性版といった感じの話です。
最初から最後までエマ・ストーンの独壇場で、知能の低い女性が成長するとともに自我を持ちはじめ、性の喜びを覚え、自己を解放しながら自立して強い女性になる成長を見事に演じていました。今年はエマ・ストーンがぶっちぎりで主演女優賞に輝くと思いますよ。逆にこれで無理だったら誰が獲るんだよって話です。
性描写がとにかく多く、エマ・ストーンがこれでもかというほど脱いでるのにはびっくりさせられました。ほぼエマ・ストーンのAVデビュー作といってもいいぐらい、あんなことやこんなことまでしていてプロの女優魂を見せてもらいました。
裸や絡みのシーンは多々あるものの、不思議と色気はなく、性描写のシーンにユーモアがかぶせられたりしていて、監督の意図がちょっと分かりませんでした。エマ・ストーンの使い方が雑じゃない? 正直この映画の何が気に入ってエマ・ストーンは仕事を引き受けたんでしょうか。彼女がどこに芸術性を見出したのか知りたいです。ヨルゴス・ランティモス監督作品にそんなに出たかったのかなあ。
上映時間は2時間20分ほどと長めで、途中でダレますね。特に旅行中の展開に飽きが来るし、あそこまでベラが娼婦になったくだりを引っ張る必要があったのかどうか。そりゃああんだけ脱げば一番注目されるだろうし、ネットでも話題にはなるだろうけど、ストーリー的にはそれほど時間を割く部分だったのか疑問に思いました。
そしてまたこの話にどうやってオチをつけるのかというのが途中からすごく気になって、途中経過よりも早く最後が見たくなりましたね。ラスト20分は怒涛の展開が待っていて、なんとか急いでエンディングを迎えられました感があり、見終わった後、果たして面白かったのかどうか、なんとも言えない映画でした。
「籠の中の乙女」にしろ「ロブスター」にしろ「聖なる鹿殺し」にしろそういう部分はあったんだけど、本作の場合、気持ち悪さと怖さがいまひとつ欠けていましたね。それはおそらく舞台を19世紀の欧州にしたうえで設定の多くがSFファンタジーそのものだからなのと、コメディー色を強くしたからでしょうね。ラストのオチだって本当だったらゾッとする話なのに笑えちゃったもんね。もっと怖くしていいのに。
コメント
監督の「変態性」が一般観客層と折り合いを付けた分、見やすい作品にはなったが、「ロブスター」「籠乙」「聖鹿」みたいな「どこへ連れていかれるのか分からん」様な不気味な魅力が大分減ってしまった印象。
確かにこれまでの作品はどこに連れて行かれるか分からない感がありましたね。