マーサ、あるいはマーシー・メイ(原題: MARTHA MARCY MAY MARLENE)

martha

73点(100点満点)

ストーリー

森の中を追跡してくる男たちをかわし、カルト教団のコミューンから脱出した20歳の女性マーサ(エリザベス・オルセン)。唯一の家族である姉のもとを訪ね る彼女だったが、姉夫婦は何も尋ねずに受け入れてくれる。美しい湖のほとりに建つ屋敷で姉夫婦と暮らし始め、安らぎを感じるようになっていくマーサ。だが、徐々にマーシー・メイという名前で呼ばれていたコミューンでの異様な日々の記憶がフラッシュバックしてくる。やがて彼女は、妄想と現実、過去と現在、 さらには自分がマーサとマーシー・メイのどちらなのか判別できなくなる。

Yahoo映画より

サンダンス映画祭で話題をさらった衝撃作。カルト教団の奇異な生活を回想しながら進んでいくストーリーがときには恐ろしく、ときには気味悪く、ときにはエロティックで最後まで目が離せない。雰囲気が「籠の中の乙女」にすごく似ていて、この映画もまたエロくてキモイ「エロキモ」映画です。

オウム真理教やその他の怪しい新興宗教を彷彿させる内容なので、日本でも十分に受けそうです。カルト教団の思想や信仰的な部分にはあまり触れておらず、コミューンの人達がどういう信念の基、生活を送っているのかは謎のままでしたが、こういったコミューンでありがちな財産を持たず、みんなで物を共有し、質素につつましく生きる共産主義的な雰囲気が伝わってきて、さらにはコミューンのリーダーが「死は人生で一番美しいものなんだ」などと言いながら殺人を肯定するような危ない一面も見られました。

所有欲もなく、皆が家族という考えだからなのか男女の貞操観念も自由になり、リーダーはそれこそ片っぱしからコミューンの女に手を出している様子でした。この辺は怪しいカルト集団が必ず通る道で、リーダーがどれだけ偉そうに俗社会の常識を否定しようと、新たな生き方を模索しようと、結局最後は色んな女とやりたいだけ、というのが笑えます。もしただ単に貞操観念が薄いだけの集団なら、その中で強要や暴行がない限りは幸せな人たちのような気がします。しかしなぜかこういう集団は犯罪に走ってしまいがちなので、そこが理解に苦しむ点ですね。

この映画が面白いのは色々な解釈ができるところで、特にラストシーンについてはネット上で様々な議論が挙がっています。ラストシーンの前に注目したいのがマーサが車の音にやたらと警戒心を抱いていることで、あるシーンでは車の音を聞いた瞬間に部屋の電気を消していました。これはコミューンの人間が自分を捕まえに来るという恐怖心からの行動だと考えられます。また、あるときには家の前にSVU系の車が停まっていて、その窓ガラスにマーサが石を投げつけて割ります。また、マーサが湖で泳いでいると、向こう岸から不審な男がマーサのことを監視しています。そしてラストシーンではその謎のSVU車とその男が一瞬登場するのです。あれはどう考えても監督が意図して挿入したもので、視聴者に対するメッセージだと言えるでしょう。

日本の人は知らない人がほとんどだと思いますが、ブラジルにも日本人移民が作ったコミューンが今でもいくつか存在します。その代表的なのが、「弓場農場」と呼ばれる農業集団で、そこではブラジルにも関わらず人々は日本語で生活しています。やはり様々なものを住民同士で共有し、食事をみんなで食べるといった共産主義的な生活が行われているようで、もともとそこで生まれ育った人たちのほか、大家族的共同生活に憧れる日本人がそこを訪れ、居座ってしまうケースもあるようです。貞操観念が薄く、この映画のように若い美女たちが大勢いるのであれば僕もとっくにそのコミューンにお世話になっていたところでしょうが、実際はお爺ちゃん、お婆ちゃんがほとんどで、若者は続々と外に出て行ってしまったようです。それはそうだよな、という気もしますね。質素でつつましいコミューンの生活とは本来、物欲や野望でいっぱいの若者が憧れる生活じゃないからです。その点が唯一この映画のリアリティーに欠けたところだと思いました。とにかく美男美女しかいない。そんな夢のようなところないでしょうよ。

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