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1917命をかけた伝令は実話に見える長回し映画!感想とネタバレ

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この記事は 約6 分で読めます。

戦争映画ファンにはたまらない新感覚アクション。目が釘付けになるとはこのことです。77点。

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1917命をかけた伝令のあらすじ

第一次世界大戦中の1917年、フランス北部に侵攻していたドイツ軍が突如として西部戦線に配置した舞台を一斉に引き上げる事態が起きた。

これを目撃したイギリス軍は、相手がひるんだと思い、ドイツ軍に追い打ちをかける計画だった。

ところがそれはドイツ軍が何か月も前からひそかに温めていた奇襲作戦だった。そのことを知らないイギリス軍の第二大隊は翌日の朝に攻撃を実行することになっていた。

第二大隊と連絡手段が遮断されていたエリンモア将軍は、トム・ブレイクとウィリアム・スコフィールドに召集をかけ、二人を第二大隊にまで歩いて行かせることにする。そして第二大隊のマッケンジー大佐に作戦停止の伝令を届けさせることにした。

さもなければ1600人という数の兵士が犠牲になってしまう。しかし第二大隊にまでたどりつくには、ドイツ兵が待ち構える数々の危険をポイントを乗り越えていくかなかった。

そんな中をたった二人で行くのは無謀でしかない。だが第二大隊に兄がいるトム・ブレイクは伝令をなんとしても届けるつもりだった。それに対し、ウィリアム・スコフィールドはあまり乗り気ではなかったが、命令のため仕方なくトム・ブレイクについていった。

1917命をかけた伝令のキャスト

  • ジョージ・マッケイ
  • ディーン=チャールズ・チャップマン
  • マーク・ストロング
  • アンドリュー・スコット
  • コリン・ファース
  • ベネディクト・カンバーバッチ

1917命をかけた伝令の感想と評価

「アメリカン・ビューティー 」、「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」などで知られるサム・メンデス監督による戦争映画。2020年アカデミー賞にノミネートされた作品です。

サム・メンデス監督が祖父から聞いた話を基に作った物語で、命を懸けて仲間を救った英雄伝説ともいえる話です。

そのため実話とはほど遠い話です。ただ、伝え聞いた話だけで、ここまでリアルに描けるのはお見事としかいいようがないし、実話じゃなくても、もしや本当の話なの?と思わせた時点で勝ちですね。

ワンカットかのような撮影&編集技術を用いた手法で作られていてるのが特徴で、最初から最後まで主人公だけをカメラが追っていくことにこだわり抜いています。

まるでその場にいるかのような臨場感を体験でき、もしVRで見たら心臓ドキドキしすぎて発作起こす人とか出るんじゃないかなぁ。

この作品自体が高級な戦争ゲームのようで、鑑賞後はアトラクションで遊んだみたいな感覚が残りました。それぐらいこれまでの映画体験とは一線を画しています。

なにより話がシンプルなのがいいですね。危険な地帯にいる仲間の部隊に二人の兵士が伝令を届けに行ってくるように命令を受ける。もし伝令を届けないと1600人の兵士が犠牲になる。果たして二人は危険を潜り抜けて命を落とさずに仲間を救うことができるのだろうか。と、これだけで一本の映画を作れるんだからすごいですね。

セリフは少なく、映像で状況を伝えることがメインなので、人物描写は最低限しかありません。にも関わらずずっとカメラが主人公を追っているからか、不思議と感情移入してくるんですね。

あれも一人称みたいな目線になっているから、主人公とある種のコネクションが持てるんですかね。

撮り方だけでいえば、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」とかなり似ていますね。

違いは、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」は複数の人物をカメラが追いかけたのに対し、こちらは終始、主人公だけを追っている点にあります。

また、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」はあの撮影方法を選択する理由や必然性がなかったのに対し、この映画はストーリーとどんぴしゃではまっていますね。

長回し映画って、「どうよ、こんなに長い間カメラを回しても、ミスもせずに演技するってすごいでしょ?」的な、自己満足で終わっているものがほとんどですが、これは一つの物語としてもすごく面白くできていました。

ウトヤ島、7月22日」や「ヴィクトリア」などのように生きるか死ぬかの緊張感や臨場感を演出するために長回し撮影することは多々ありますね。

でも戦争映画となるとかなり珍しいし、これだけスケールの大きな映画で、大勢のキャスト、エキストラ、爆発シーンを交えて同じことするのは想像を絶します。

カメラが狭いところから広いところに行く瞬間や高い塀や崖を超えた瞬間にそれまで見えなかった向こう側の景色が突如として視界に入ってくる感覚が忘れられません。それもその先に見える景色だけで、「絶望」が伝わってくるから不思議でした。

最大の見所はやはり突撃するイギリス人部隊を後目に、一人だけ違う方向に走る主人公のシーンでしょう。仲間とぶつかりながらも、まるでラグビー選手のように銃弾と仲間たちをかき分けていく迫力といったらないです。

今のどうやって撮ったんだろう?と思うところが多々あったし、撮影技術や撮影方法に、これほど意識が行く作品も類を見ないです。

無茶なミッションを課せられた二人の兵士、ウィリアム・スコフィールドとトム・ブレイクをそれぞれ演じたジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマンの二人の演技も素晴らしかったです。

脇役もコリン・ファース、マーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチと有名どころを揃えているんですね。

一方で文句をつけるとすれば、「全編ワンカット」などと無責任な宣伝が日本の予告動画でされている点ですかね。見たらわかるけど、普通に何度もカットされてるからね。

防空壕で爆発した下りもそうだし、主人公が銃で撃たれたシーンも普通にカットされてますよね。ほかにも何度もカットされているし、それをまるでワンテイクかのように見せている技法なのになんで「全編ワンカット」とか言っちゃうんだろう。

また、ところどころで”休憩する”シーンが入るのも残念でした。長回し映画って必ずそういうところありますよね。

タメを作るためにそうしてるんだろうけど、フランス人の女の子と遭遇し、赤ちゃんをあやすシーンとかはっきり言っていらないですよね。あんなことしてる暇なんてないはずなのに。

なんだったらひたすら主人公が戦場を駆け抜けるだけでも良かったと思うんですよ。

手持ちカメラの揺れが気持ち悪くなったりする人も当然出てくるだろうし、視聴者の体力も奪われるだろうけど、最初から最後まで緊張しっぱなしでいたなかったなぁ、というのが正直なところです。

いずれにしてももう一回映画館で観たいなぁ、と思わせる作品でした。おすすめです。

コメント

  1. クラッカーのウッディ より:

    見に行きます!素敵なレビューありがとうございます!

    サム・メンデス監督は007のスペクターの冒頭でも長回しがありましたね、メイキングを見ましたが監督は「長回しして自慢したいわけじゃない、観客にこの臨場感を味わってほしいからやるんだ」と言っていました
    きっと、その時の気持ちが今回にもあるからこの映画の長回しは自己満足で終わってないんですね
    楽しみです!

  2. らみ より:

    今日見てきましたー!迫力凄かったです!
    戦争ものはあまり好きではないけれど、かなり
    評判がいいのでアカデミー賞の前にぜひ見ておこうと行きました。
    会話があまりないのに迫力がすごくて
    臨場感たっぷりで
    あっという間に時間が過ぎた感じ。良かったです。

    と、記憶が新しいうちに、
    映画男さんのあらすじの
    トム・ブレイクとウィリアム・スコフィールドの役回りが逆になってますよ。
    (お兄さんがいるのはトムの方)

    アカデミー賞、今年はいったいどうなるかわくわくですね。
    こちらカナダでも(アメリカでもかな?)パラサイトがとるかも、取るかもと
    盛り上がっています。
    でも本命は1917という声も高いです!

    • 映画男 より:

      ほんと臨場感たっぷりでしたね。あと、トム・ブレイクとウィリアム・スコフィールド入れ替わってましたね。ご指摘ありがとうございます。訂正しました。

  3. 通りすがり より:

    反戦映画とか言う人いますけど、これ普通に「エンタメ映画」ですよね、かなり良質な。
    昨今の世評で「戦争をエンタメとして撮る」事の是非はあるかと思いますが、個人的に言いたいのはこの監督に「スターウォーズ」新作を撮って欲しかったということです。

  4. ザコ師匠 より:

    私も赤ちゃんのシーンはいらなかった派です、伝令に対するというか、人命に対する必死さが削がれるというか

  5. うるうる より:

    戦争系の映画って普段全く観ないんです、この出来なら他のものも観たいと思わせる出来でした。
    塹壕の中の兵士たちの消耗度合いや、後方と最前線の突撃前の兵士たちの希望や覚悟の違いが伝わってきました。

    トム・ブレイクが刺された場面でドンドン顔色が悪くなっていくところと、最後の最前線を駆け抜けるシーンがすごく印象的でした。

    • 映画男 より:

      これいいですよね。戦争映画は面白いジャンルなので、ぜひほかのも見てみてください。

  6. じろう より:

    私自身お気に入りの映画にケチをつけられたら嫌だろうなとは思うし、気にいった映画を批判するのは水を指す事ですが、私は普通の映画だった。元となった戦場はドイツ軍の計画的撤退のようですね。個々の場面はリアルで申し分ないと思います。映画は現実は無視して良いと思っています、それを上回る面白い工夫や人間関係、感情表現何でもありですが、それでも日露戦争の頃でもバルチック艦隊の発見を無線で知らせたり、飛行機を使った通信筒、有線の連絡等、鳩の連絡もありかもしれない。始めの前提で疑問が生じた。二人が任務を失敗したら連絡先は大損害になる。だから緊張感があると言えばそうですか、バルジの戦いの始めの頃のような天候不良でもなければ、飛行機で伝えれば良いかと思います。