ご都合主義ととんとん拍子のストーリーで構成されたワンパターン映画。肝心の音楽が心にちっとも響かなかったです。22点(100点満点)
君が生きた証のあらすじ
広告代理店で働くサムは、大きな契約を結び、お祝いしようと、大学の授業に出席しようとしていた息子ジョッシュを飲みに誘う。
授業をさぼってでもいいから来い、と言われたジョッシュは行くと約束しながら、しかしそのままキャンパス内に入っていった。
その後、サムはバーのテレビで息子の大学で銃乱射事件があったことを知る。あろうことか事件でジョッシュが命を落としてしまったのだ。
最愛の息子を失ったサムは広告の仕事を辞め、ヨットで寝泊まりしていた。大工仕事を適当にやり、後は毎日のように酔っぱらうまで酒を飲んだ。
そんなある日、元妻がサムのもとにやってきて、息子の遺品を置いて行った。その中にはジョッシュが作曲した音楽のCDがあった。サムはかつて親子揃って音楽が好きだったことを思い出し、息子の曲をバーで演奏することにする。
君が生きた証のキャスト
- ビリー・クラダップ
- マイルズ・ハイザー
- アントン・イェルチン
- フェリシティ・ハフマン
- ローレンス・フィッシュバーン
- ウィリアム・H・メイシー
- ベン・クウェラー
- ライアン・ディーン
- セレーナ・ゴメス
- ジェイミー・チャン
君が生きた証の感想と評価
読者のともさんのリクエストです。ありがとうございます。
「ファーゴ」や「ブギーナイツ」で知られる俳優のウィリアム・H・メイシーが監督した、ミュージカル家族ドラマ。
銃乱射事件によって息子を失った父親が、生前に息子が創った曲を歌い、再起を図る姿を描いた、感動狙いの退屈な映画です。
ストーリー展開がベタで、息子が死ぬ>父親が酒に溺れる>息子と同じくらい年齢の若者とバンドを組む>元気になる>バンドで揉める>仲直りする>父親が立ち直る、といったように、型にはまった流れが面白くないですね。
オリジナルタイトルの「Rudderless」は、「かじのない/先導者のいない」という意味で、物語の中で登場するバンドの名前としても使われています。
このバンドがまた中途半端で、劇中では地元で人気のバンドに成長し、大きなイベントにも呼ばれるようになる、という設定になっているんですが、いかんせん音楽がダサく、バンドのメンバーを見ても売れそうもないオーラが充満しているので、話に入っていけなかったです。
音楽で成功する系の話ってよくあるけど、その割には肝心の音楽がとても成功とは程遠い曲を起用している映画って多いですよね。
成功の描き方も、飛び入り演奏OKのバーで主人公が一度演奏したぐらいで、若者が彼の音楽にほれ込み、一緒に演奏するようになり、瞬く間に地元の人気バンドになる、っていうのもいかにも作り話的だし、ほかの音楽映画と似すぎていて初めて見た映画とはとても思えませんでした。
ほかの音楽映画と違う点は、主人公の息子が銃乱射事件の被害者ではなく、実は犯人だった、という下りだけですかね。
しかしたとえその部分で意外性を出したところで、息子を失った父親が音楽で悲しみや苦しみを表現する、というテーマは変わらないので、特別感をほとんど出せていなかったです。
それもクライマックスで演奏する曲がこれだからね。
この曲じゃあ、10年分の涙を溜めてから見ても泣けないです。ちゃちゃっと創りました感が半端ないもん。
主人公サムを演じたビリー・クラダップ、そして彼の音楽に惚れ込んで、バンドを組むことになったクエンティン役のアントン・イェルチンの演技もいまいちで、特にアントン・イェルチンのわざとらしさといったらなかったですね。
セレーナ・ゴメスが演じたジョッシュの元彼女役のキャラも意味不明でした。銃乱射事件を起こしたジョッシュの元彼女がやたらお父さんに口出すんですよ。
ジョッシュが創った曲なんて演奏しないでとか、私がどんな気持ちになったと思ってるの?とか、事件当時に付き合ってたならまだしも、すでに破局してたくせになんであいつはあんなに彼女面するんだよ。
ときどきいるよね。誰か有名な人が死んだ途端、そんなに関わってないのに関係者面する奴。それでさも自分も遺族並に傷ついてるんです風に語り出して悦に入る奴ね。
そういう奴らをエセ遺族って僕は呼んでるんですけど、おそらくエセ遺族にはこの映画で流れる曲が心にぐさっと刺さるかと思います。
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