残された者・北の極地は静かで面白い生存劇!感想とネタバレ

この記事は 約5 分で読めます。

低予算で少ない出演者だけで制作した、センス溢れる生存劇。マッツ・ミケルセンが迫真の演技を披露していて、映画館の中が緊張と寒気で静まり返ること間違いなしの映画です。75点(100点満点)

残された者・北の極地のあらすじ

映画『残された者-北の極地-』予告編|11.8(Fri.)公開

北極圏でセスナ機が不時着し、極寒の地で一人取り残されたオボァガードは、いつか救援が来るだろうと信じて、魚を釣ったり、現在地を把握するために地図を自作したり、発信機から信号を送ったりしながらも生存のためにあらゆる手を尽くしていた。

そんなある日、吹雪の中、救助のヘリコプターが彼の前に現れた。ところが視界が悪くヘリコプターはとても着陸できそうにもなかった。

それどころか強風にさらわれてオボァガードの目の前で墜落してしまう。やっと救出されると思ったのもつかの間、オボァガードは望みを絶たれてしまう。

墜落したヘリコプターのところに行くと、一人の女性クルーを除いて全員が死亡していた。

女性には意識がなく、腹部に深い傷を負っていた。溺死の状態の彼女にオボァガードは懸命の応酬処置を施しただけでなく、救助のヘリコプターが通りやすいポイントまで彼女をソリに乗せて引きずって行くことにする。

残された者・北の極地のキャスト

  • マッツ・ミケルセン
  • マリア・テルマ・サルマドッティ

残された者・北の極地の感想と評価

MysteryGuitarManのチャンネルで知られるブラジル出身のユーチューバー、ジョー・ペナが監督した極寒のサバイバル劇。セリフを極力抑え、雪景色とマッツ・ミケルセンの一人演技によって構成されているシンプルかつ、面白い映画です。

ピンとこない人は「127時間」と「オール・イズ・ロスト」をミックスして、舞台を北極に移した話だと思えばいいです。

僕は子供の頃、好きな映画のひとつが「生きてこそ」だったぐらい、昔からこの手のサバイバル劇が好きなんです。単純に生命力の強い人間に憧れてるのかもしれません。

「生きてこそ」も雪山で飛行機が墜落し、生存者が瀕死の中、生死のはざまをさまようという生存劇で、この映画ともかなり近いところがありますね。

違うのはこの映画の場合、主人公が単独で生き延びようとすることと、途中でもう一人サバイバルする人が加わる点です。

あの展開はなかなか意外性があってよかったですね。あれで二人が仲良く会話をしたりしながら恋愛関係になって、愛だの人生だのについて語り出していたら、最高に寒い話になっていたでしょう。けれど、新しく加わった女性が劇中ほぼほぼ意識を失った瀕死の状態だったのも斬新でした。

女性はアジア系っぽい顔をしていて、一瞬日本語を話したかのようにも聞こえました。「私は、、、」って言ってなかった? 彼女はなにじんの設定だったんですかね?

あれで日本語をペラペラ話し出したら雰囲気をぶち壊していたところでしたね。出自に触れずにそのまま行ってくれたので助かりました。

一つ気になったのは主人公の男が決して瀕死の女性を見捨てなかった、という部分です。

あの展開は、冒険家や登山家が見たらどう思うのかなぁ。生きるか死ぬかのときに、明らかにお荷物になる、ハンデになる見知らぬ女性を守り抜くために、自分の命を危険にさらすだろうか、という疑問が浮かんだわけです。

相手がピンピンしているならまだしも生存率はかなり低い、今にも凍え死にそうな人を無理して運ぶだろうか。うーん、そこのところは難しい問題ですよね。

恋人や家族ならまだ分かる。でも知らない人だよ。僕なら「ごめん、無理」って言って絶対に置きざりにしていきます。だってそんなことしたら二人とも助からないもん。

でも逆に女性がいたからこそ、オボァガードが頑張れた。心を折らずにモチベーションを保てた、と考えることもできそうですね。あるいは、自分を助けに来てくれた命の恩人なんだから助けて当然、と思うのでしょうか。

いずれにしても自分がいないとダメなんだ、という状況で燃える男、それがオボァガードだったわけです。

ああいうシチュエーションでこそ、その人の人間性が出るんでしょうが、助けようと見捨てようと相田みつをじゃないけど「しょうがないよ、人間だもの」と言えますね。あなたならどうします?

これってひょっとしたら実話を基にした話なのかなとも思いました。実際はフィクションだそうです。もともとは火星を舞台にした映画になる予定だったのが構想中に「オデッセイ」などの映画が上映されたことから、火星から北極圏に舞台が変わっていったそうです。

サバイバル劇は必ずしも実話ベースだから面白いわけではないのがポイントですね。「マイナス21℃」や「エベレスト 3D」は実話なのにつまらないもんね。

ではなにが大自然のサバイバルものの名作、駄作を分けるラインなのか。それはその映画が静かかどうか、というのが案外重要なんじゃないかなあ、と思っています。

厳しい自然の中で誰かの名前を大声で叫んだり、大泣きしたり、ギャーギャー言ってるのはえてしてダメなタイプに入ります。

苦境には無言で耐え、泣くならしくしく泣くぐらいなほうがいいです。だってそんな状況で無駄なエネルギー使ってられないでしょ。

だからオボァガードが脚をひっかけて諦めそうになったときに涙をポロっと流すシーンは最高でした。

あのとき彼は、ここまで必死で頑張ってきたけどさすがに万事休すだ、と思ったに違いないです。その悔しさが伝わってきてからこそ、ぐっと来ちゃいました。あのシーンが僕の中のベストシーンです。

コメント