永遠に僕のものはシリアルキラーを美化しすぎ!感想とネタバレ

この記事は 約5 分で読めます。

美少年が次々と凶悪犯罪を犯していくクライムドラマ。俳優たちの演技はいいし、ぶっ飛んだストーリーに引き込まれるものの、実話を甘っちょろく描いている印象を残す残念な作品。55点(100点満点)

「永遠に僕のもの」のあらすじ

連続殺人犯となる美しすぎる17歳少年の狂気が止まらない!映画『永遠に僕のもの』予告編

カルロスは、童顔で、まるで女の子のような雰囲気を持つ男子高校生。しかし自称、生まれつきの泥棒で、彼にとって他人の家に忍び込み、物を盗むのは朝飯前だった。

そんなカルロスは学校でラモンと知り合い、すぐ喧嘩になるものの、二人はそれをきっかけに強烈に惹かれ合い、友情を育んでいく。

カルロスが盗みをしていることを知ると、ラモンはぜひ自分の父親に合わせたいと言って家に招待する。

ラモンの父親も犯罪歴のある悪党だった。やがて三人は共謀してガンショップにある拳銃を盗むことを計画する。

それを皮切りにカルロスとラモンとラモンの父親は、グルになって次々と強盗を働くようになる。

あるとき老人の家に侵入したカルロスは盗んだ銃で老人を撃ち殺してしまう。しかし彼には全く悪びれる様子はなかった。そして怖い物知らずのカルロスは、次から次へとリスクの高い強盗を大胆にやってのけ、殺人を繰り返すのだった。

「永遠に僕のもの」のキャスト

  • ロレンソ・フェロ
  • チノ・ダリン
  • メルセデス・モラーン
  • ダニエル・ファネゴ
  • ルイス・ニェッコ
  • ピーター・ランサーニ
  • セシリア・ロス
  • マレーナ・ヴィラ

「永遠に僕のもの」の感想と評価

ルイス・オルテガ監督による、実在するアルゼンチン人シリアルキラー、カルロス・エドゥアルド・ロブレド・プッチの犯罪歴をもとにしたストーリー。

製作には「ジュリエッタ」、「私が、生きる肌」、「抱擁のかけら」などでお馴染みのペドロ・アルモドバルも関わっているスペインとアルゼンチンの合作です。

まるで「ナチュラル・ボーン・キラーズ」をソフトに、そして南米風にした犯罪ドラマで、淡々と美少年カルロスが強盗していく様子を描いていきます。

しかしそこにブラックユーモアがあるわけでもなく、また、強烈なバイオレンスを売りにしているのとも違うのでインパクトは薄めでした。

悪党が命がけで大犯罪をやってのけるハラハラドキドキの興奮もないし、警察に捕まるか捕まらないかのせめぎ合いを楽しむサスペンス様子もないので、どっちつかずになっていて、中途半端に芸術路線にしている感じがすごくもったいないです。

主人公のカルロスは終始平常心で、どんなに危ない橋を渡ろうと、警察に捕まる可能性すら考えていないかのように冷静にそして無表情に仕事をこなします。

学生のときから盗みを繰り返し、盗んだものはまたほかの誰かにあげてしまう、といったように物欲が強いわけでもありません。

かといって強盗することに興奮を覚えている様子でもないし、お金に執着している素振りもないです。

複雑な家庭に育ったわけでもなく、両親は至って真面目。世の中に対して強い怒りを抱えているわけでもない。では一体何が彼をあれほど犯罪へと駆り立てるのか。

本来ならそれが見どころとなるべきなのに、結局最後まで分かりませんでした。どこかただの「病気」で片付けているようなところがあって、どうせ実話をベースにするならもうちょっと深く掘り下げてくれればよかったんですけどね。

カルロスはときおり相棒のラモンに対して同性愛的な素振りを見せたりもします。もしかするとただラモンと一緒にいたいだけなのかなぁ、と思えたりもしたけど、そのラモンすらもあっさり殺しちゃうし、あれはラモンを独占したかったからなのか、その辺についても疑問が残りました。

もし同性愛なら同性愛でしっかりそこを描いてくれないとね。やるならやるでちゃんとやろうよ。顔だけ接近させてキスするかしないか、みたいな演出いらないから。

結局何もかもをあやふやにして暗示するだけに留めているので、カルロスの人物像がほとんど浮かんでこないんですよね。

カルロス役の俳優にはジャニーズ系とでも言いますか、フェミニンな美少年が起用されていて、華奢で、ひ弱そうで、そして女性的な殺人鬼という意味ではかなりユニークなキャラクターに仕上がっています。

ちなみに実際のカルロス・エドゥアルド・ロブレド・プッチはこちらです。本当に女の子みたいですよね。

この風貌で、若干20歳にして10件以上の殺人事件を起こしてるんだそうです。いわゆる連続殺人犯の精神異常者的な雰囲気やイメージからはかけ離れている珍しいケースですよね。

これだけの珍しい題材がありながら、暴力描写をソフトにし、実際に起きた事件の内容よりもかなりざっくり描いているのが非常に残念でなりません。

もっと残虐に、そしてグロテスクにしてたら強烈なインパクトが残せてたんですけどね。

実際、カルロス・エドゥアルド・ロブレド・プッチと相棒のホルヘ・イバニェス(劇中ではラモン)は、強盗だけでなく、女性を拉致してはホルヘがレイプして、カルロスが殺すといった、この映画で描かれているよりも、もっと残酷なことを繰り返していたみたいです。

そんな凶悪犯をまるで美化するかのように甘っちょろく描いて、実話ベースですって言われてもね。

また、BGMの選曲がセンスが良かったりするから、全体的にスタイリッシュになっちゃってるんですよ、タランティーノの殺人劇みたいに。それならなにも実話を売りにしなくてもよくない?

アカデミー賞のアルゼンチン代表作品に選ばれたみたいだけど、なんか映画祭狙いで作ったみたいで嫌ですね。

Carlos Eduardo Robledo Puch | El Expediente – C5N

コメント