バリー・シール/アメリカをはめた男(原題AMERICAN MADE)

リアリティーには欠けるけど、エンタメ映画としてそこそこ楽しめる、麻薬の密輸をテーマにした作品。犯罪に手を染め、自業自得の目に遭うアメリカ人パイロットの話です。52点(100点満点)

バリー・シール/アメリカをはめた男のあらすじ

1970年代後半、バリー・シールはトランス・ワールド航空でパイロットとして働いていた。シールのパイロットとしての腕前は一級品で、CIAからも注目されるようになった。ある日、シールはCIAに極秘の偵察任務への参加を求められた。野心家でもあったシールは喜んでその依頼を引き受けることにした。

数年後、シールはパナマの独裁者、マヌエル・ノリエガとCIAの仲介人の役割を果たすようになっていた。シールはCIAの目を盗み、メデジン・カルテルの指示でコカインをルイジアナ州に密輸する仕事も請け負っていた。

やがて、CIAはシールが麻薬の密輸に関与していることを把握したが、シールの任務を代わりに担えるような人材がいなかったため、敢えて黙殺する決断を下した。一方、麻薬取締局(DEA)はシールを逮捕すべく行動を開始した。DEAの動きを察したCIAはシールに密輸から手を引けと警告したが、シールはそれに耳を貸そうとはしなかった。

wikipediaより

バリー・シール/アメリカをはめた男の感想

ザ・ウォール」や「スウィンガーズ」などでお馴染みのダグ・リーマン監督による、麻薬王パブロ・エスコバルのもとで働いたアメリカ人パイロットの人生を描いたクライムドラマ。

かつて旅客機のパイロットとして働いていた男バリー・シールが、いかにして麻薬ビジネスに携わるようになったかを面白くおかしくつづっていて、まるでスパイものの小説か漫画のような内容になっています。

実話を基にしている麻薬組織の話にしては、残虐性が極力カットされていて、気軽に見られるのが特徴です。

パブロ・エスコバル関連のエピソードといえば通常怖い話ばかりがフォーカスされがちだけど、この映画の場合大人から子供まで楽しめるようにか危険な出来事の全てを軽いタッチで描いています。

バリー・シールが凶悪犯罪に手を染めるきっかけが興味深いです。もともと旅客機のパイロットだった彼は葉巻を密輸していました。

それを知ったCIAが彼に漬け込み、中南米を中心とした極秘ミッションに半ば強引に参加させたのでした。当時中南米では共産主義が拡大しようとしていて、それを恐れたアメリカ政府が違法で軍事施設の近くまでバリー・シールにセスナを飛ばさせ、写真を撮らせたのです。

やがてパナマの独裁者とCIAの仲介をするようになり、中南米を何度も行き来しているうちにバリー・シールはパブロ・エスコバル率いるメデジン・カルテルからコカインの密輸を頼まれます。

こうしてバリー・シールはCIAの任務を果たす一方でメデジン・カルテルとも仕事をするようになっていく、というのが物語の筋書きです。

つまりはアメリカ政府からも麻薬組織からもいいように利用され、金欲しさに乗っかって痛い目に遭う男の話なんですが、どちらかというとCIAのタチの悪さのほうが目立っていました。

自分たちの手は決して汚さずに外部の者を雇って、危険な任務をやらせ、政治利用する。失敗すれば記録を消去し、責任回避。

たとえ協力者の身の安全が危なくなっても、決して助けない義理も人情も全くない、ひどいやり方をしてきます。バリー・シールもCIAに目を付けられた時点で運のつきでしたね。

劇中、バリー・シールは様々な修羅場に出くわします。飛行機を撃ち落されそうになったり、警察の追跡を恐れて公道に着陸したり、ニカラグアの軍人に撃たれそうになったり。

しかし軽いタッチで描いているだけに本来ならハラハラドキドキするような場面でも緊張感は感じられませんでした。

もしかするとトム・クルーズの役柄のせいかもしれませんね。お調子者のキャラにしたいのか、危険をかえりみないタフな男にしたいのか、キャラがいまいち中途半端でノリがミッション・インポッシブルみたいだったし。

報復による死が目前に迫っているときもバリー・シールにはまるで悲壮感が感じられません。車のエンジンキーを回すときには爆発するのではないかと思って、「危ないからどいてください」と周囲にいる人たちを気遣ったりして、ああいういい人エピソードもうそ臭いです。

どうやらダグ・リーマン監督はかたくなにバリー・シールを悪い男には描きたくなかったようですね。あくまでも政治や運命に振り回された男としたほうが都合が良かったんでしょうか。

ただし、彼の経歴を読む限りは実際はゴリゴリの犯罪者だったとしか思えないけどね。アメリカ人が麻薬ビジネスで中南米を股にかけるってそうそうできることじゃないよ。

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