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パッチギは日本人と朝鮮人に贈る名作!ネタバレと感想

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人間味溢れる登場人物たちによる愛と友情と喧嘩群像劇。おそらくこの先二度とこれ以上の不良映画は出てこないでしょう。80点(100点満点)

あらすじ

1968年、京都。高校2年生の康介(塩谷瞬)は、担任からの指示で親友の紀男(小出恵介)と敵対する朝鮮高校に親善サッカーの試合を申し込みに行く。そこで康介は音楽室でフルートを吹くキョンジャ(沢尻エリカ)に一目惚れするが……。

シネマトゥデイより

井筒和幸監督による在日朝鮮人を取り上げた愛と友情と青春の人間ドラマで日本映画史上に残る名作の一つです。

昭和の京都を舞台にした在日朝鮮人を巡る差別や彼らの葛藤を喧嘩、友情、恋愛といったストーリーに乗せて絶妙に描いた、ぜひ在日朝鮮人と日本人の両方にぜひ見てもらいたい映画です。

不良映画の中ではぶっちぎりの完成度を誇る内容で、ケンカのシーンがリアルかつコミカルで腕っ節の強い主人公がただ格好付けてるだけの映画とは違います。

喧嘩に明け暮れる朝鮮学校の生徒たちはときに相手を打ち負かし、ときに相手からボコボコにされます。ダメな不良映画だったら主人公は必ず連戦連勝で、どれだけ彼が勇敢で格好いいかにフォーカスされがちですが、この映画は勝ち負けがどうとか誰が強いとかを描こうとしていないのが好感が持てますね。

争いの耐えない朝鮮学校の生徒たちの日常と世界中で起きている戦争や民族間の摩擦を薄っすらと重ね合わせた描き方が見事で、ストーリーや脚本は文句の付けようがありません。

とはいえ一番成功した要素はほかでもないキャスティングでしょう。今振り返ると、この映画に出演した主要のキャストのほとんどがブレイクしてるんですよね。

塩谷瞬、高岡奏輔、沢尻エリカ、真木よう子、小出慶介、オダギリジョー、ケンコバなどなど、当時すでに有名だった人も無名だった人も含めてこれだけのタレントを集めて映画をヒットさせ、そして彼らの名前を世間に知らしめた井筒監督の仕事ぶりはやっぱりすごいですよ。

登場人物はみんなそれぞれキャラが濃くて目立っていて、よくあれだけ大勢いながらお互いの存在を邪魔せずに一つの物語で共存できたなあ、と感心してしまいます。

男性も女性もそれぞれみんな人間味のあるいいキャラで格好良かったです。久々にもう一回見たら「あれ、この人出てたんだぁ」と気づくことの連続でしたが、中でも真木よう子とケンコバがあんなに重要な役で出てたなんて思いませんでした。

個人的にはチェドキ役の尾上寛之とモトキ・バンホー役の波岡一喜の演技が好きです。二人とも自然すぎます。ちなみに波岡一喜は「火花」でも怪演を見せています。

尾上寛之

波岡一喜

キャストとそれぞれの印象に残るシーンの話をしたら、ずっと喋っていられそうです。高岡奏輔は男前で存在感十分だったし、沢尻エリカの素朴で純情そうなあの雰囲気と美少女っぷりに多くの男性視聴者が心を奪われたのは今さら言うまでもないでしょう。

そういえばある意味話題の小出慶介もマッシュルームヘアで脇役で登場していましたね。

昭和の空気が上手く再現されていて哀愁漂う演出が素敵です。そういえば昔は好きな女の子と話すのにも公衆電話から自宅に直接かけてたんだよなぁ。

男たちは公衆電話の前で緊張しながら相手の両親が出たらどうしようとか思いつつ勇気を振り絞って電話口から第一声を発していた、そんな時代があったんですよね。

主人公の康介は朝鮮人の美少女キョンジャに惚れてハングル語を勉強してなんとか気を引こうとしたり、相手方の家族や親戚の中に思い切って飛び込んで行ったりと恋を実らせようと健気に頑張ります。

そんな彼にキョンジャが「もし私たちがこの先ずっと付き合い続けて結婚するようなことになったらあなたは朝鮮人になれる?」と雷を落します。

高校生にいうにはあまりにも重くて厳しい言葉。しかしその覚悟がなければそもそも付き合うことすら難しいぐらい二人には距離があったということでしょう。

短くて遠いその微妙な距離を京都の一つの川を隔てて生活している二人。またそれを川を境に分断された朝鮮半島についての曲イムジン河にかけているなんて、本当によくできていますね。

「イムジン河」だけでなく「悲しくてやりきれない」、「あの素晴しい愛をもう一度」などの選曲も最高です。

あまりにもいい映画だと思ったので、ふと韓国人や在日の人たちが見てみたらどう思うのか疑問になりました。人によってはこんなの茶番で全然リアルじゃないって思う人もいるのかもしれません。

ちょこちょこ出てくるハングル語も実際分かる人が聞いたら、どうなのかなぁと気になりました。そこで韓国人の友達に一度この映画を見てもらったことがあります。

そしたらその友達は「映画自体はすごく面白かったけど、日本人が喋るハングル語は全然聞き取れなかった」と言っていました。

コメント

  1. ブルージャスミン より:

    パッチギ!は制作がシネカノンという会社で社長の李さんの生い立ちを元に井筒監督が作った映画です。在日朝鮮人のリアルさは感じられると思います。この映画は最高です。続編もありますがこちらはいただけません。

  2. リリコ より:

    「パッチギ」面白かったです。京都の東九条というところに今も一部残っているバラック街が舞台です。
    塩谷瞬、沢尻エリカ、小出恵介、高岡蒼佑など、その後ブレイクしたものの、刑事事件や離婚などで沈んだ人も多いので何か因縁めいたものを感じます。
    江口のりこを発見したときは嬉しかったなあ。

    • 映画男 より:

      面白いですよね。この頃のキャストはみんな人気者になって人生狂わされちゃったんですかね。