ウィッチ(原題THE WITCH)

妖術や呪術といった超自然現象が好きな人のための魔女をテーマにした大人のホラー。キャーキャー叫ぶ、うるさい登場人物が出てこない好感の持てる作品です。62点(100点満点)

あらすじ

1630年のアメリカ・ニューイングランド。信仰心のあついキリスト教徒の一家が村外れの森の近くに移り住んでくる。ある日、生後間もない赤ん坊が突如姿を消す。一家に不穏な空気が流れる中、父ウィリアム(ラルフ・アイネソン)は、まな娘のトマシン(アニヤ・テイラー=ジョイ)が魔女ではないかと疑い……。

シネマトゥデイより


文句

ロバート・エガース監督による国際映画祭で話題を呼んだ芸術路線ホラー映画。低予算で製作されたアイデア溢れる作品で、地味ではあるものの視聴者の心理を人間の闇と恐怖でくすぐる内容に仕上がっています。

物語の舞台は17世紀のニューイングランド。新約聖書を巡る解釈の違いから異端的信仰を持つ信者とみなされたウィリアムとキャサリン夫婦は5人の子供たちと共に村から追放されます。

彼らが住み始めたのは深い森林の近くの荒地。そこで家畜を育てながら慎ましく暮らしていたところ末っ子のサムが突然姿を消してしまいます。

狼が連れて行ってしまったのか、それとも魔女の仕業なのかといった話になり、それを機に家族の間で不気味な出来事が立て続けに起こるようになります。

やがて二番目の息子カレブまで森に迷い込んだ末、家に帰って来なくなります。すると事件現場にいた長女トマシンを疑う者が家族の中に現れ、次第にみんなが彼女を魔女だといって追い詰めていく、というのがストーリーラインです。

テンポはスローで、商業ホラーのようにイチイチ効果音やフレームインを多用して視聴者を脅かすようなベタな演出はありません。話は終始静かに進んでいき、後半からじわじわと盛り上がっていくのが特徴です。前半は特に沈黙が続くので眠気を誘う場面もいくつかありました。

一方で魔女を巡って家族同士の信頼が徐々に崩れていく描き方が上手く、少ないキャストで撮った低予算映画ながら完成度は高いですね。

登場人物たちが少ない分、ウサギやヤギや馬や犬といった動物たちが効果的に使われていました。特にウサギの使い方が神秘的でいいです。

あのウサギは一体なんだったんでしょうかね。魔女がウサギに姿を変えていたのか、それとも他に意味があるのか。

時代設定も魔女狩りが盛んに行われていた時代だけに登場人物が持つ魔女に対する概念がリアルで説得力があります。

不可解なことが起こったとき、人間は他人を責めたくなるものですが、大勢の人々が住む社会やコミュニティーの中ではまだしも、一世帯の家族しかいない環境では矛先が家族のメンバーに向けられるのが興味深かったです。

現代社会でも魔女狩りや吊るし上げ行為は普通に起こるだけに集団ヒステリーは人間の持つ普遍的な心理なんでしょうね。

キリスト教の教会によって統治されている村から破門になった家族の中から「魔女」が出てくる下りはキリスト教社会の背教者というニュアンスが含まれているのか、全体的に宗教色が強かったです。

それもあって売れるホラー映画かというと、大衆向けではないのでまず売れないでしょう。しかし演技も悪くないし、演出もわざとらしくないので僕的にはむしろこういうホラーがもっと流行って欲しいなぁと思います。

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