アノマリサ(原題ANOMALISA)

anomalisa

たくさんの謎を散りばめた不可解な心理ドラマ。一度見ただけでは理解するのは難しく、暇な人が何度も見ればいい映画。44点(100点満点)

あらすじ

カスタマーサービス界で名声を築き、本も出版しているマイケル・ストーン。私生活でも妻子に囲まれ恵まれた人生を歩んでいるかに見えたが、本人は自分の退屈な日常に不満を募らせていた。そんなある日、講演をするためシンシナティーを訪れたマイケルは、そこでリサという女性に出会う。長い間、すべての人間の声が同じに聞こえていたマイケルは、「別の声」を持つ彼女と特別な夜を過ごすが……。

映画ドットコムより


読者のUCさんのリクエストです。ありがとうございます。

文句

「マルコヴィッチの穴」や「エターナル・サンシャイン」などの脚本家として知られるチャーリー・カウフマン監督によるストップモーション映画で、アカデミー賞アニメーション部門にノミネートされた作品でもあります。

前述の二つの作品が好きな人には受けるでしょうが、そうじゃない人が話に入っていくのが難しく、なんだかよく分からない映画で終わってしまう可能性が高いです。

ストップモーションアニメで映像はとにかくリアルです。登場人物の表情や動き、会話のやり取りなんかはかなりいい味出しています。

難点なのは伏線と暗示を張り巡らせすぎたストーリーや設定にあります。主人公マイケルはベストセラー作家であり、カスタマーサービス界で名声を築いた成功者で、そんな彼が講演会を開くためにある街を訪れます。彼が旅路で出会う人は全て同じ顔で、同じ声をした人間たちばかり。男性も女性も全く同じおっさんの声をしているという世界です。

実はこれ「フレゴリの錯覚」、または「フレゴリ症候群」と呼ばれる、誰を見ても同じに見えてしまう妄想の一種を描いたものだそうです。マイケルが泊まったホテルの名前が「THE FREGOLI」だったのもそのせいです。

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チャーリー・カウフマン監督が脚本を書いたほかの映画を見ると分かりますが、彼は皮肉を込めたユーモアをうっすらとストーリーの中にねじ込んできます。ホテルの名前もその一つだと僕は思いました。「ザ・フレゴリ」なんていう病名をホテルの名前にするなんてちょっと笑えますけどね。

ただ、こういった世界観はストーリー上ではっきり語られるわけでもなく、このようにあるシーンに一瞬映るだけで決して視聴者に親切な演出とは言えないです。おそらくチャーリー・カウフマン監督は視聴者が自分の狙いに気づかないことに優越感を感じるか、あるいは嫌味な性格の持ち主なはずです。

たとえマイケルがフレゴリ症候群であることを知ったうえでこの映画を見たとしても、まだまだ不可解で謎めいたシーンは続きます。その一つは大人の玩具屋に売っていた日本人形。口を大きく開けている人形でどう見てもダッチワイフです。あろうことかマイケルはこのトーイを息子のお土産として買って行きます。

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続いてマイケルはホテルで、ある謎めいた女性と出会います。彼女の名前はリサといいます。リサはほかの女性たちとちがっておっさんの声をしておらず、美しい女性の声の持ち主で、それゆえにマイケルは瞬く間にリサに夢中になってしまいます。みんなが同じな退屈な世の中で、やっと特別な女性に出会えたと。

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そしてマイケルはリサと部屋でセックスをするんですが、そのセックスシーンのリアルなことといったらないです。まさか人形があんなにエロいセックスするとは。とにかくセックスまでの誘い方とか流れが自然で、服の脱ぎ方、タイミングがばっちりでした。

それはさておき、日本人形に話を戻すと、実はリサはマイケルの妄想の一つで、日本人形こそがリサそのものではないかとも考えられます。理由は顔の傷の箇所が同じであること。マイケルが日本人形を息子に渡したとき、息子が「人形から精子みたいのが出てきたよ」などと言うことからです。そう、マイケルはリサとやったのではなく人形とやっていたのでした。

「アノマリサ」とは「天国の女神」という意味だと日本語の辞書に書いてあったそうですが、マイケルは特別な女性リサ、または日本人形に女神の虚像を抱いていたのでしょう。

もちろん以上はあくまでも解釈の一つです。でもこういったトリビアを探すのが好きな人にはもってこいの映画かと思います。最初に見たときに理解したこと、感じたことを最重要視する僕にとっては分かりにくい退屈な映画に過ぎませんでしたが。

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