2016/05/29

川の底からこんにちは

kawanosoko

クズ人間たちが巻き起こす恋と浮気と家族の物語。間抜けな登場人物の会話と行動がとにかく笑える上質のコメディーで、役者たちの演技もよく、見ていて微笑ましくなる作品。75点(100点満点)

あらすじ

上京して5年、仕事も恋愛もうまくいかず妥協した日々を送る佐和子(満島ひかり)は、父親が病で倒れたことから帰郷。一人娘のため父が営むしじみ加工工場の後を継ぐことになるが、従業員のおばさんたちには相手にされず、会社の経営も倒産寸前に追い込まれていた。その上、一緒に工場の後継ぎになりたいと付いてきた恋人にまで浮気されてしまう。

シネマトゥディより

読者のTnさんのリクエストです。ありがとうございます。

文句
舟を編む」の石井裕也監督によるコメディードラマです。嫌味で間抜けなのになぜか憎めない人たちの後先考えない行動を描いた喜劇で、現実と漫画的非現実のギリギリの世界を行く話です。

物語は、憧れの先輩と駆け落ちする形で上京したにも関わらず、すぐに振られ、その後もさえない男ばかりと付き合ってきたヒロイン佐和子が会社の同僚である現在の恋人と地元に戻って父親の会社を継ぐ話です。

会社はしじみをスーパーに降ろしている寂れた工場で、社員は冴えないおじちゃんおばちゃんばかり。そこに若い佐和子が社長代理として行くと、当然社員たちからは妬まれ、うとましがられます。それもあってか村中で彼女が駆け落ちに失敗した噂を広められ、また現在の恋人まで友人に寝取られ、佐和子は文字通りどん底に陥ります。

それでもどうせ大した人生じゃないと自分に言い聞かせ覚悟をきめてからの彼女の行動は見ていて爽快で、数々の名言も生み出していましたね。

「どうせ中の下の人生なんだから頑張るしかない」

「あんたはダメな男。だけど私だって大した女じゃないから。だからしょうがないからこの先もあんたとやっていくって決めたの」

彼女の言葉は一瞬自分を卑下したネガティブに聞こえるものの実はかなりの度胸と意思の強さを含んだ前向きな言葉だなあ、と感じました。

普段は感情を表に出さない暗い顔していますが、男の娘の面倒を代わりに見たり、いつ帰ってくるかも分からない男のために玄関の鍵を開けて待っていてくれたり、ちょっとした行動に奥ゆかしさと優しさが伺えるところが嬉しいです。あれはかなりのいい女ですよ。

ほかの登場人物たちもいいキャラが揃っていますね。「見たいTVもないし、時間できちゃったし抱いておくれ」というおばちゃん。「男は旅人だから旅(浮気)が終わったら家に堂々と胸を張って家に帰ればいい」というおじちゃん。「地球はもうダメだからエコライフしよう」という恋人。基本みんなアホで駄目人間なんだけど、可愛らしさと人間味があるのがいいですね。

ひとつ惜しかったのは終盤ヒロインの泣き演技が続いたとき、佐和子を演じた満島ひかりが全然泣けてなかったことです。それまでの演技が良かっただけに残念ですね。

kawa

お父さんが病院で亡くなったシーンや恋人が戻ってきたシーンでは涙で顔がグシャグシャになっていてもおかしくない状況だっただけにあの程度でOKを出してしまった監督の決断が悔やまれます。監督はこの映画がきっかけで満島ひかりと結婚したそうですが、おそらく恋をしていたから大目に見てしまったんじゃないでしょうか。さては作品より、恋を優先したなあ。

>>「川の底からこんにちは」はHuluで視聴できます。

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