トイレのピエタ

pieta

癌にかかった青年と彼を取り巻くちょっと変わった人々の人間ドラマ。面白いエピソードの連続で構成されたストーリーが良く、演技も自然で、監督のセンスが光っている作品です。70点(100点満点)

あらすじ

余命3か月を宣告された宏(野田洋次郎)は、出会ったばかりの女子高生・真衣(杉咲花)にすぐに死のうかと言われるものの、死ぬことはできなかった。美術大学を卒業後、窓を拭くアルバイトをしながら何となく生きてきた宏だったが、死を目前にしながら純粋な真衣に惹(ひ)かれていく。

シネマトゥディより

文句

美術大学を卒業して、窓拭きのバイトをしている青年が余命数ヶ月だということを知らされるも、決して大騒ぎせず淡々と自分なりに人生と向き合っていく話です。絵を描かなくなった絵描きの物語なので美大生や美術関係の人が見たらたまらない映画でしょう。

脚本も演出も素晴らしく、かなり笑えるシーンがありました。キャスティングもいい俳優たちを上手く起用していますね。一つの一つのエピソードにしっかり起承転結を付けているので、見ていて面白かったです。

この作品を見ると、映画ってやっぱり一つのストーリーで成り立っているのではなく、複数の小さなエピソードの集合体であることが分かります。日常で思いつく小さな出来事を書き溜めていったら、こういう映画が一本できるんだろうなあ、と思えました。

主人公を演じた野田洋次郎はミュージシャンらしいんですが、監督の使い方がいいのか、無表情であればあるほどとても自然でしたね。ああいうリアクションの薄い人って日本によくいますよね。感情的になるシーンは素人っぽさが出ていましたが。

野田洋次郎扮する園田と杉咲花演じるヒロインの真衣のやり取りはかなりよかったです。真衣は中学生なのかと思ったら高校生なんですね。子供っぽいから中学生でもよかったんじゃないかな。あの二人なら年齢関係なく兄妹のような恋人役ができたはずです。

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真衣のキャラがうけますね。アート系のライターのおっさんに「その服ってあえてダサい服を着てるんですよね?ダサいのが格好いいみたいな?」と嫌味を込めるセリフは最高でした。癌患者の園田に遠慮なく「死ね」とか言うのもリアルでしたねえ。

どこかにセックスシーンを入れていたらもっとよかったんですけどね。拓人の母(宮沢りえ)と関係を持ってもいいし、看護婦(MEGUMI)とやっても面白かったと思います。そういえばMEGUMIはほとんど背中摩ってるだけでしたね。

主人公が余命数ヶ月と聞くだけで、かならず感動のフィナーレが待ち受けていることは視聴者の誰もが最初の段階で気づくはずです。その予想通りに終盤に感動の演出を持って来るのはいけませんね。

あれは何事もなくすっと終わればいいんですよ。別に主人公が死ぬ必要もないし、ましてやトイレにピエタなんて描かなくていいんです。そもそもキリスト教徒じゃないんだから。人生最後の作品があれじゃあ画家としてのセンスはないですね。

あれはストーリー的には拓人の顔を描くべきでしたね。それでお母さんを呼んできて、あの部屋でいやらしいことをしてくれてたらもう言うことなかったです。

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