2016/10/08

グッドナイト・マミー(原題ICH SEH ICH SHE/GOODNIGHT MOMMY)

GoodnightMommyclip

気味悪くて、意外性があり、ちゃんとオチまで用意しているオーストリア産ホラー。下手なBGMや流血で怖がらせるのではなく、しっかりストーリーと演出で恐怖を与えることのできる、まともな作品。アカデミー賞外国語映画賞のオーストリア代表作品です。70点(100点満点)

あらすじ

森とトウモロコシ畑に囲まれた田舎家で、9歳になる双子の兄弟が母親の帰りを待ってい­た。ところが、帰宅した母は整形手術を受けて顔全体を包帯でぐるぐる巻きに覆った姿に­。その日から、それまでやさしかった母は、別人のように冷たくなり兄弟は本当に自分たちのママなのか疑い始める。ママのフリをして成りすましているのかもしれない包帯女の­本性を暴くべく、双子は本当にママなのか試す行為に出るが、徐々にエスカレートしていく…。

シネマトゥデイより

文句

大変センスのいいホラーです。低予算映画でもあり、登場人物は少なく、大部分が母親と双子の息子たちによる家の中のシーンで成り立っています。アイデアだけで恐怖を演出することができる、というとてもいい例ですね。

ストーリーがとても巧妙です。予告動画を見ると、一見包帯グルグル巻きの気持ち悪い母親と彼女に怯える可哀相な息子たちといった恐怖を与える側と与えられる側のキャラ設定がイメージできると思います。

しかし実はこれこそが監督が仕掛けた演出で、ストーリーの途中で立場が徐々に逆転していくという面白い展開を見せていくのです。序盤こそヒステリックな母親に対して、子供たちがビビッて緊張しているのが分かります。

それが時間が経つにつれて子供たちは母親に反抗的になり、心理戦を繰り広げ、やがて暴走するという流れになっています。セリフが少ないために家族の背景がほとんど伝わってきませんが、それでも少ない情報だけでラストにしっかり一本の線がつながるような仕組みになっているのが面白かったです。

双子の兄弟を演じた少年たちの演技も素晴らしかったですね。彼らの自然な演技があってこそこの映画がここまで仕上がったと言ってもいいでしょう。久々に見た、人におすすめできるホラー映画でした。

グッドナイト・マミーの衝撃のラストのネタバレ

これから見ようと思っている人は絶対に読まないでください。何も知らずに鑑賞したほうが確実に楽しめます。気になるからとにかく最初に知っておきたいという物好きの人のために書きます。

ストーリーを追っていくと、ところどころに伏線が張ってあるのが分かります。

  • 冒頭の母親と対面するシーンでルーカスの服だけが汚れていない。
  • お風呂に入った後、母親はルーカスの分のジュースを注がない。
  • 3人でゲームをやっているとき、母親が子供たちから「子供が2人いる」というヒントをもらって誰だかわからないという顔する、あるいは顔をひきつらせる。
  • 宅配で冷凍ピザをデリバリーする男が来ても、そこにはなぜかルーカスの姿がない。
  • 猫を部屋に連れ込み、母親に二段ベッドの上をチェックされたときにルーカスがいなくなる。
  • エリアスはルーカスに言われたことを度々リピートする。
  • 母親が怒ったときに「もう遊びはやめにする」と言い、「服も一つしか買わないし、朝食も一人分しか作らない」と言う。
  • 教会の男性の前でもルーカスはエリアスに耳打ちする。
  • エリアスが冷凍ピザを食べているときルーカスはどこかに行っている。

これらのことからも敏感な人はルーカスがすでに死んでいることは早くから気づくかもしれません。ルーカスは交通事故のときに亡くなり、母親が整形手術をしたのも、おそらく事故によって顔が変形した、あるいは傷が付いたからなのでしょう。

双子は普通の兄弟よりも精神的に、あるいは霊的につながっているといったようなことをよくいいますが、エリアスはどうしてもルーカスと離れることができなかったのでしょう。また、最後に家族3人が笑顔で草むらで再会したシーンを見ても、怖い話であると同時にどこかせつない物語でしたね。

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