普通に最後まで見れるし、いい話なんだけど、なーんかちょっと物足りない作品。全体的にもうちょっとグロくて怖くて悲しくてやるせない話でもよかったです。49点
アウシュヴィッツの生還者のあらすじ
ユダヤ系ポーランド人のハリー・ハフトは幼馴染の恋人レアと結婚するつもりだった。しかし第二次世界大戦が勃発し、二人は別々の強制収容所に送られ離れ離れになってしまう。
戦後、ハリーはアメリカに移住し、うだつの上がらないボクサーとして負け星を重ねていた。彼にとっては勝つことも負けることもどっちでもよかった。それよりもいつかレアと再会できることを信じ戦い続けていた。
ハリーはユダヤ人の生存者を探す団体にレアの情報を聞いて回るが、彼女が生きているかどうかも分からなかった。そこでハリーは親身に自分の話を聞いてくれたミリアンに信頼を寄せるようになる。
ある日、ハリーは当時有名になっていた無敗のボクサーのロッキー・マルシアーノと戦うという無謀な計画を立てる。
また、戦時中の話を聞きたがって近寄ってきた記者にも、どうやって強制収容所の生活を生き延びたか話すことにした。全ては自分の名前が売れればレアに話が伝わるだろうと思ってのことだった。記者に話したハリーの話はしかしあまりにも壮絶で衝撃的だった。なんでも彼は、ナチスの上官たちを楽しませるためにユダヤ人とボクシングマッチをして勝ち続けたことで処刑を免れていたのだった。
アウシュヴィッツのキャスト
- ベン・フォスター
- ヴィッキー・クリープス
- ビリー・マグヌッセン
- ピーター・サースガード
- ジョン・レグイザモ
- ダニー・デヴィート
アウシュヴィッツの感想と評価
「レインマン」でお馴染みのバリー・レヴィンソン監督による、実在したユダヤ人ボクサーのサバイバル映画。実話ベースのノンフィクションです。
題材からして重そうで見るのがしんどそうですよね。でも実際は戦時中のパートは比較的少なくて、戦後のパートが大部分を占めるためそんなことなかったです。白黒映画なのかと思いきや過去の回想シーンだけ白黒で、戦後の「現在」のシーンはカラーになっていました。また、グロさや悲惨さも大分抑えてあるため、かなり見やすいソフトなハリウッド産アウシュヴィッツ映画という印象を受けました。
その一方で後世に伝えるべきアウシュヴィッツの生存ストーリーをソフトにしてどうすんだよっていう問題も同時に浮上します。これに関してはもっとグロくていいんじゃないか、いやむしろもっと残酷じゃなかったらダメなんじゃないのか、とも考えられますよね。いかにもハリウッド的テンポと演出で描かれているため実話だというのにリアリティーもそれほど感じられないのもちょっと残念です。
でもストーリーの核となっている部分は信じられないような話だけど、ほぼほぼ実話っぽいですね。それならそうと、もっとリアルに描けばいいのにって思っちゃいました。
一番衝撃なのは、主人公がアウシュヴィッツ強制収容所で、ナチスのエンタメのために、ほかのユダヤ人捕虜相手にボクシングをさせられていた、という部分じゃないでしょうか。それも負けは死を意味する、リアルデスマッチだったというのだからびっくりです。あいつらやること本当えげつないですね。
ボクシングの才能があった主人公にとっては生き延びるには戦うしかない。でも自分が勝つことは仲間を殺すことでもあるというまさに究極の戦いで、そんな戦いを勝ち抜いてきたからこそ、戦後もずっとひどい罪悪感とトラウマを抱えて生きることになります。
そんな中で彼は自分の過去を理解し、全てを包み込んでくれ、なんでも許してくれるミリアンと出会います。そのミリアンがもうこれでもかっていうほどの天使にキャラになっていましたが、本当にあんな感じだったんですかね。
だってしんどくないですか、ミリアンからしてもトラウマある男と付き合って一緒になるの。それを上回るぐらい、いい男っていうほどでもないしね。主人公はずっと生き別れた幼馴染の女性のことを忘れていないという面倒臭い状況だったし、ますますミリアンを見ていたら可哀想になってしまいました。もし僕がミリアンの親友だったら「やめときなあ、あんな男、もっとほかにいい男いるから」とか言ってると思う。
ミリアンの話にしても、幼馴染の女性の話にしても結局のところ、メインは恋愛ストーリーなのかなっていう感じがしました。そこに戦争とボクシングを付け足したような内容ですね。
だからなのかボクシングシーンはまあひどいです。プロのボクサー同士の試合でも全部のパンチがクリーンヒットするぐらいディフェンスゼロだからね。パンチも素人丸出しだし。もうちょっとこだわってもよかったよね。大事な試合があるっていうのに練習のシーンが少な!って思っちゃったし、あんな手抜きでいいのかなあ。
ラストシーンはまあだいたいみんな予想がつくんじゃないでしょうか。普通に感動的でいい話です。涙もろい人は泣いちゃうんじゃないかなあ。あの部分ももちろん本当にあったらしいですよ、信じられない美しいストーリーですね。でもできればもっとリアルに描いてくれるほかの監督に撮ってもらいたかったかなあ。
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