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ざわめきは見るのが辛いメキシコ映画!ネタバレ感想

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この記事は 約4 分で読めます。

質は高いけど、人にはなかなか勧めづらいメキシコ映画。芸術路線の映画が好きで、かつメキシコに興味のある人が見ればいいやつです。55点

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ざわめきのあらすじ

フリアはメキシコに住む二人の子供を持つ母親。数か月前、年頃の娘ヘルが突然行方不明になってからというものフリアはあちこちを当たって娘を探している。しかし警察や検察は非協力的でまるでヘルのことを探す気がないのは一目瞭然だった。

フリアが行方不明者を探しているグループや家族たちのカウンセリングなどに参加しているうちにメキシコでは信じられない数の人々が行方不明、または殺害されていることを知る。もはやヘルが生存している可能性は限りなく低かった。

しかしそれでもフリアは諦められなかった。どうしても娘を見つけてやりたかった。仕方なくフリアは女性ジャーナリストのアブリルと独自に捜査をすることにする。そのために地元の警察や情報筋に賄賂を払ったりもした。するとやがてフリアは娘の安否について知っているという男と対面するのだった。

ざわめきのキャスト

  • フリエッタ・エグロラ
  • テレサ・ルイス
  • ケーニャ・クエバス
  • ヒメナ・ゴンサレス
  • アドリアン・バスケス
  • マリアナ・ヒメネス

ざわめきの感想と評価

ナタリア・ベリスタイン監督による、メキシコを舞台にした政治社会派誘拐刑事ドラマ。行方不明になった娘を探す母親目線でメキシコの現状を伝える、ジャーナリズム精神のこもった意義のある作品です。

出演者たちはみんないい仕事してるし、作品そのもののレベルはかなり高いです。しかしながら面白いか、面白くないかでいうと面白くない部類に入るでしょう。スローだし、エンタメ度は低く、見ていて苦しいです。というのも終始こんなのきついなあ、というエピソードばかり続き、そこには絶望しかないからです。

登場人物の8割がクズかポンコツで、みんな悪気がないから余計にタチが悪く、もれなく正義とかモラルとか人間性とかとはかけ離れた生き方をしています。政治家も警察も検察も犯罪組織もみんなズブズブの関係で自分さえ良ければいいという奴ばかり。そんな環境でいざ家族が誘拐されました、殺されましたってときにじゃあどうすればいいの?というのがテーマの一つになっていますね。

国がまともに機能していないから誰も助けてくれないし、本当にどうしようもないんだけど、親からしたらそれじゃあ納得できない。だからなんとか娘ためになんでもいいからしてやりたい。生きてても死んでても娘を取り戻したい、という母親の姿は見ていられないです。

さらに母親が娘を探す過程で、メキシコの解決不能な社会問題が次々と浮かび上がらせては問題提起する構成になっていて、メキシコ人には間違いなく突き刺さるでしょう。ただし、日本人にはあまりピンとこないはずです。家族が凶悪事件に巻き込まれたことがある、あるいは巻き込まれる恐怖や不安を常に感じながら生活している人じゃないとあくまでも他人事、遠い世界の出来事にしか感じられないでしょうね。

娘を探す映画なんだけど、刑事がそもそも仕事しないから刑事ドラマにもなりえません。スリラー的な要素もないわけじゃないんですが、ハリウッドのような派手な演出をしていないせいか、ハラハラもしません。言うならばただひたすら出口のないトンネルをずっと歩いているだけのロードムービーのような感じですかね。なかなか難易度高いです。

治安の悪い発展途上国あるあるエピソード満載で、警察が勤務中にずっとプライベートの話を携帯でしているとか、お金を渡さないと何もしてくれないとか、手違いから全く別人の遺体の身元確認を家族にさせてくるとか、いかにもメキシコっぽくてすごいリアルでした。

ボランティアグループが遺体を探している最中に昼飯休憩を挟んで当然のように音楽を流してボランティアみんなで踊り出すシーンがあるんですが、あの感じがメキシコ人っぽくて特に印象的でした。深刻で真面目なことに関わってるけど、別に合間に踊ったっていいじゃない、楽しんだっていいじゃないっていうノリね。あそこに国民性が集約されているようでした。

ラストは色々と解釈できそうですが、まあおそらくお母さんと娘がやっと一緒になれた、という絶望の中でのせめてものハッピーエンドだったんじゃないのかと受け取りました。あんな目に遭わないと親子が一緒になれないっていうのも悲しい話ですが。

コメント

  1. きのこ食べ過ぎ より:

    去年の年末辺りから、この手の「誘拐・失踪」系のメキシコ映画が続いていて若干食傷気味。
    ちょっと前の映画になりますが、「メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬」とかいうメキシコ映画がちょっと毛色が変わっていて面白いです。
    脚本が「バベル」の脚本家で、製作総指揮がリュック・ベッソン、監督・主演がトミー・リー・ジョーンズとかいう凄い変な座組みですが、結構面白いです。

    • 映画男 より:

      確かにこのタイプのメキシコ映画乱発してますね。「メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬」は僕も好きです。昔はこのブログでも紹介してました。