一定の地域、グループにしか受け入れられなさそうな、ありきたりななんちゃって芸術路線映画。思春期を迎えた主人公のアイデンティティーとセクシュアリティを追求するお話です。24点
C.R.A.Z.Y.のあらすじ
1959年のクリスマスに家族の4人目の子どもとして生まれたザックは厳しい父親とあまり仲の良くない兄弟たちに囲まれて育った。父親とは特別な絆で結ばれていたと信じていたが、ザックの中性的な部分が芽生えてくると保守的な父親は彼のことを毛嫌いするようになる。
ザック本人は女の子に興味を持つこともあったが、自分のセクシュアリティについては確信が持てなかった。次第に男の子に対して気持ちが偏っていったが、男家族で育ったこともあり、なかなかそれを肯定することができなかったのだ。
ザックは両親を安心させるためか、それとも自分の同性愛への目覚めを否定するためか女友達のミシェーリと付き合ったりもした。そんなある日、ザックはクラスメイトの男子と車の中で怪しいことをしている瞬間を父親に目撃されてしまう。
ザックはなにもしていないと断言するも父親はザックが性的なことをほかの男の子としていたと思い、ザックをセラピーに通わせることにする。父親が息子のホモセクシュアリティを否定すればするほどザックは居場所を失い、二人の距離は離れていくのだった。
C.R.A.Z.Y.のキャスト
- ミシェル・コーテ
- マルク=アンドレ・グロンダン
- ダニエル・プルール
- ピエール=リュック・ブリヤン
- エミール・ヴァレ
C.R.A.Z.Y.の感想と評価
「ダラス・バイヤーズクラブ」、「わたしに会うまでの1600キロ」、「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」、「カフェ・ド・フロール」、「ビッグ・リトル・ライズ」、などで知られるジャン=マルク・ヴァレ監督による、1960年代から70年代のカナダ、ケベックを舞台にした家族ドラマ。
保守的な男家族に生まれた年ごろの主人公が同性愛に目覚め、葛藤に苦しみ家族と衝突しながらもやがて自分のセクシュアリティを受け入れていくカミングアウト青春ストーリーです。
映画の舞台となったカナダのケベックでは大ヒットしたらしく、海外での評価も高いです。しかしながら実際のところ内容は平凡でダラダラと家族喧嘩が続くだけのつまらない話になっています。
監督自身のバイオグラフィーなのかと思いきや別にそうではなくあくまでもフィクションみたいですね。有名監督の伝記ものだったらギリギリセーフかなという路線で、作り物のストーリーでなぜあえてこんなに味気のないシナリオにしたのか理解に苦しみます。
それぐらい主人公のザックにこれといった特徴がなく、ザックよりもむしろ頑固なお父さんと薬物中毒のお兄ちゃんのほうが目立っていて、インパクトを残せていませんでしたね。
見所は当時の時代を感じさせる音楽でしょうか。デビッド・ボウイ、ピンク・フロイド、ローリング・ストーンズなどのBGMを織り交ぜながらエセオシャレ映画を目指しているのは伝わってきました。ただしオシャレにはなりきれてないし、ひと昔前を舞台にした青春映画にも関わらず、懐かしさとか青春を感じる場面は少なかったです。
もっというとカナダも感じないし、ケベックも感じないし、どこの国のどの時代の映画なのかもはっきりしないような無味無臭無色な作品だなあ、という印象を受けました。
ストーリーの流れは、主人公に女性的なところが出てくる>家族が怪しむ>主人公は否定する>家族にバレて病気扱いされる>主人公は反発し家族と絶交する>あることをきっかけに仲直りする、といった感じでまあよくある同性愛ドラマのプロットですよね。
若者の性の目覚めを描くのならもっとえげつない男同士の絡みとか用意しないとダメでしょ。ほとんどなにも見せず性的な描写は暗示ばかり。そんなんで同性愛語られてもね。
これ2005年の作品なのに日本では2022年に公開されてるのもなんだかなあ、と思います。古くてつまらない映画ばかり安く輸入するのやめようよ。
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