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アルピニストは感動的な山登り実録映画!ネタバレ感想

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クライマーのマーク・アンドレをはじめ、恋人、友人、家族がみんないい味を出している、格好いい人間たちの物語。今の時代なかなかここまで生きることに向き合っている人は珍しいはずです。72点

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映画アルピニストのあらすじ

監督は長年多くの有名クライマーたちを追いかけてきたにも関わらず、有名なクライマーたちから逸材だと名前が挙がっていたカナダ人青年マーク・アンドレ・ルクレアについては一度も聞いたこともなかった。

それもそのはずマーク・アンドレはほとんどメディアに出なければ、自分の活動をSNSで逐一配信したりもしていなかったからだ。彼は誰も挑戦したことのないやり方で。自分自身のために山に登った。命綱など一切使わないフリークライミングをする者はほかにいても雪山を自分のスキルだけで登る人間は彼以外には皆無だった。そんなマーク・アンドレは次々と前人未踏の壁を乗り越えていく。

映画アルピニストのキャスト

  • マーク・アンドレ・ルクレア
  • ブレット・ハリングトン
  • アレックス・オノルド
  • ミッシェル・クイパーズ

映画アルピニストの感想と評価

ピーター・モーティマーとニック・ローゼンの共同監督による登山映画。謎のフリーソロクライマー、マーク・アンドレ・ルクレアに密着した心臓バクバクと感動がミックスした上質の記録映画です。

監督こそ違えどアカデミー賞を受賞した「フリーソロ」と似た内容で関連映画といってもいいほど同じ路線を行くお話です。要するに命がけの登山をするクレイジーな若者は一体何を考えていきているのか、を掘り下げていく映画で、山登りを超えた死生観、人生観についての内容になっています。

「そこに山があるから登るんだ」でお馴染みの登山家たちの気持ちを理解しようとするのは非登山家や凡人にはなかなか難しいことでしょう。

ただ、人間にとって限界とはなんなのか。自分の人生でやるべきことはなんなのか。大切なこととは、生きるとは、自由とは、といったことを考えていくうえでもってこいの題材だと思います。

もし今、生きることや進路に行き詰っている人はこういう映画を見て主人公の真似はしなくても、せめて哲学の一部だけでも学べるものがあるんじゃないでしょうか。

本作の主人公マーク・アンドレ・ルクレアは23歳のカナダ人。カナダの大自然の中で育ち、子供の頃から冒険に憧れ、やがて登山を始め、めきめきとスキルをつけていき、いつしか命綱を使わないフリーソロをやりだし、スポンサーが付いてプロのクライマーになったそうです。

彼はシャイで飾り気のない性格で最近の若者とは一風変わっています。特に承認欲求がほとんどなく、偉業を達成して自分の名前を世間に知らしめることよりも、あくまでも自分の目標として世界中の山の難所を超えていくことをモットーにしているのです。

だからこそ世界屈指のスキルを持ちながら無名に近い存在だったようで、彼のインタビューを受ける姿やカメラクルーと一緒に山に登りたがらない姿勢からしても純粋に山のことばかり考えているのが分かります。

そんなマーク・アンドレを見て好感を抱くのは難しくないでしょう。自分の世界と哲学、そしてなにより好きなことに没頭している姿はやはり見ていて気持ちいいですね。

ただ、類まれの登山技術と若者特有の怖いものなさが合わさってかありえないリスキーな登山をすることには賛否両論ありそうです。どう考えても死ぬでしょっていう無謀な登り方しかしないんですよ。だって雪山をツールだけで登るとかありえなくない?

それもところどころ雪がない部分があるからそのたびに素手に変えたり、靴を履き替えたりするんですよ。途中で靴とか落としたらどうするんだろう。

そんな彼のスタイルを見てフリーソロをやっているほかのクライマーたちが「あいつはクレイジーだ」っていうんだからよっぽどでしょう。もう見ていてとにかく恐ろしいです。自分でもとてもやりたくなくてもこれを見ることにより、リスクなしで疑似体験したかのような感覚になれるのもこの映画の醍醐味でしょう。

マーク・アンドレと恋人の関係性もよかったです。恋人もまたクライマーで彼ほどではないけど、普通に命綱のない危ないフリークライミングをするのがびびります。彼らの間ではそれが標準みたいです。

ただ、自分の恋人がいつか命を落とすかもしれないというのを知っておきながら、心配はしつつも決して止めることはできないのはどこか歯がゆいですね。でもそれが彼女なりのリスペクトの仕方なんですよね。恋人とはいえあくまでも彼自身の人生だから応援してあげることしかできないって素敵ですね。

ではそれが母親だったらどうでしょうか。ほとんどの世の中のお母さんは息子が危ない趣味や仕事をしていたら心配で心配で早く辞めて欲しいと願うんじゃないでしょうか。でもマーク・アンドレは違います。やっぱりこの母親にしてこの子あり、という感じの大きな器を持ったお母さんで息子に思い切り人生を生きてもらいたいって本気で考えているのが分かって尊敬しました。

よく言うじゃないですか、自分の子供には好きなことをさせたい、とかって。でも内心はできるだけ自分の側でせめて自分が死ぬまでは安全に無理せず大人しく過ごしてもらいたいとか思っちゃったりしませんか?それが親心であると同時にエゴでしかないんですよね。

マーク・アンドレのお母さんは建前じゃなく本心で「自分の好きに生きてちょうだい」を貫き通していて死の危険を知りながら自分の限界に挑戦する息子を遠くから応援する勇気に脱帽しました。

ネタバレしないとこの先を書くことができないのでしぶしぶネタバレしますが、マーク・アンドレはこの映画の撮影期間中に雪山で雪崩に飲み込まれて亡くなります。

それによってこの映画が自ずと感動的なフィナーレで締めくくられているのは映画的にはできすぎたエンディングだけど、実際あh不運でしかないし、どこか皮肉な感じもしました。

本人は登山家なので山で死ぬのが本望だったのかもしれません。がしかし、残されたほうからしたら寂しいですよね。恋人はなにもかもが嫌になって自暴自棄になったって言ってたし、お母さんからしても息子を若くして亡くすのは言葉にできないほどの絶望でしょう。

それなのにお母さんは立派でしたね。素晴らしい25年間をくれてありがとうって。普通、そんな言葉出てこないよ。もちろん長生きしてもらいたかったでしょう。でもあれだけ必死に生きた息子なら間違いなく誇りに思えるだろうし、息子は幸せな人生を送ったなあって納得することもできるんじゃないでしょうか。

間違いなくこの映画のMVPはお母さんですね。まじで惚れました。

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