スポンサーリンク

スウィート・シングは地味でちょっといい映画!ネタバレ感想

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
この記事は 約4 分で読めます。

娯楽性は低く、演技は素人丸出し、そして特に興奮や感動はないものの、地味に子供たちの強さと家族愛を感じる芸術作品です。素朴な映画が好きならそこそこ楽しめるはずです。55点

スポンサーリンク

スウィート・シングのあらすじ

マサチューセッツ州ニューベッドフォードで暮らすビリーと弟のニコはアル中の父親アダムと三人暮らし。彼らは小さなアパートで慎ましくも幸せに暮らしていた。

父親のアダムは着ぐるみを着て道に立ち、看板持ちの仕事をしていた。生活は苦しかったが、彼はクリスマスになると、二人にプレゼントを買ってくれたりとなにかと家族思いだった。

母親のイヴは別居していてすでに恋人がいた。アダムはクリスマスぐらい家族で過ごそうと中華料理屋の前でイヴと待ち合わせるも恋人と現れたことで喧嘩になり、食事どころではなくなってしまう。

アダムはやがてお酒でトラブルを繰り返し、施設に入院させられることに。ビリーとニコはそのせいで夏の間、イヴと恋人が住む家に引き取られることになった。

ところがまもなくしてイブの恋人がDV癖のある乱暴な男だと知る。ビリーとニコは母親のイヴに助けを求めるが、彼女を聞く耳を持とうとしなかった。

スウィート・シングのキャスト

  • ラナ・ロックウェル
  • ニコ・ロックウェル
  • ウィル・パットン
  • カリン・パーソンズ
  • ジャバリ・ワトキンス
  • M・L・ジョゼファーボー
  • スティーブン・ランダッツォ

スウィート・シングの感想と評価

「イン・ザ・スープ」、「フォー・ルームス」などで知られるアレクサンダー・ロックウェル監督による家族に振り回される姉弟を描いた青春ドラマ。フィルム撮影による哀愁漂う白黒映画です。

芸術路線の低予算映画で、80年代や90年代を彷彿とさせる懐かしさ溢れる作品です。アレクサンダー・ロックウェルはベテラン監督ですが、どこか新人監督が作ったかのような初々しさがありました。

子供たちのロードムービーという意味では「スタンドバイミー」を連想させるものがありますね。監督は違うけど、オシャレっぽさとユーモアは「フランシス・ハ」と共通するものも感じました。

それに家族ドラマをミックスさせているのが特徴で、ポンコツの親元に生まれた、純粋な姉弟が悲惨な目に遭いながらも力強く生き延びようとする姿をリアル+ファンタジックにつづっています。

ところどころ現実的で、ところどころ幻想的かつコミカルにしてあって、本来は暗くて不幸な話なのにどこか明るくて楽しそうに話が伝わるように配慮している印象を受けました。

一緒に住んでいた父親がある日突然アルコール依存症の施設に入らなくてはならなくなり、まだ子供の姉弟が家を追いやられるってかなり不運なことで、いざ母親のもとに避難したら今度は母親の恋人から乱暴されるって救いようのない話ですよね。

しかしそれをできるだけソフトに描写しているのは、おそらく監督が話をあまり深刻に描きたくなかったのでしょう。厳しい現実を見せつつも健気に前向きに生きようとする子供たちの前向きさにフォーカスしたかったのかもしれません。

ビリーとニコ役には監督の実の娘、息子を起用しています。黒人と白人のハーフという役柄ですが、彼らもまた実際に白人の監督と黒人女優のお母さんの間に生まれた二人だそうです。そういう意味では大分、監督が自分自身と自分の子供たちを投影した映画なのかなあ、という気もしました。

演技においては素人なので二人ともパフォーマンはいまいちです。しかし姉のほうはなかなかの存在感を発揮していました。

子供は親を選べない、ということを改めて考えさせられますね。優しいお父さんはアル中で一緒にいられず、優しくないお母さんにはDV男がいてやっぱり一緒にいられない。そんな状況に置かれた子供たちは一体どこへ行くのか、というのがテーマになっていて、子供たちがグレるまでの過程を見せられている感じもしました。

ただ、ビリーとニコがたとえ一緒にいることで苦労はさせられても、やっぱり父親のことが好きなんですね。それは父親も同じでしょう。一方で母親はほとんど興味がないみたいな様子だったのが残念でなりませんが、実際子供よりも、恋に生きたいというイヴみたいな女性もいるからね。

離婚したら親権は女に行くのが当たり前。お母さんはいつだって子供のことを思い、お父さんは女に走り、子供のことは見向きもしないみたいなステレオタイプな設定じゃないことが逆に新鮮です。

それにしてもこの地味なプロットと設定と出演者で一本の見れる映画に仕上げているのはセンス以外の何物でもないでしょう。お金だけかかった中身スカスカ商業映画に飽き飽きしている人にはこういう映画で息抜きするのも悪くないはずです。

 

コメント