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ヒキタさんご懐妊ですよはベタでつまらない映画!ネタバレ感想

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視聴者からクレームが来ないように、ただそれだけを考えて作ったみたいな夫婦ドラマ。いい大人に向けて発信する映画でこれはないです。30点

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ヒキタさんご懐妊ですよのあらすじ

人気作家のヒキタ・クニオは一回りも年下の妻サチと二人暮らし。もともと子供は作らないでのんびり生きて行こうと話していた二人だったが、ある日、サチの気が変わり、ヒキタさんの子供が欲しい、と言い出す。

それを機にヒキタ・クニオも子供を作りたいという気持ちにない、二人で妊活を始める。さっそくクリニックに行ってみるが、加齢のためヒキタ・クニオの精子があまり活発に動いていないことが判明する。それからヒキタ・クニオとサチはできる限りの手を尽くし、子供を作るために努力する。

ヒキタさんご懐妊ですよのキャスト

  • 松重 豊
  • 北川景子
  • 濱田岳
  • 山中崇
  • 伊東四朗

ヒキタさんご懐妊ですよの感想と評価

「オケ老人」、「ぱいかじ南海作戦」の細川徹監督による、意外性とシリアスさに欠ける夫婦物語。最初から最後まで話が読めてしまうベタベタな話です。

高齢の男と若い女の夫婦が悪戦苦闘してなんとか子供を授かるまでをコミカルに描いていて、現代の多くの夫婦が抱える問題をテーマにしています。

テーマ選びは悪くないものの、それを面白おかしくソフトに当たり障りなく描いているのが本作の最大の問題点で、勝負に出ていない、リスクを冒していない、平凡で薄い作品と言えますね。

女性視聴者の気持ちを配慮してか、全ては高齢の夫ヒキタ・クニオが原因で妊娠できない、という設定になっていて、妊活、人工授精における恥ずかしさについても男のパートだけ笑いにしています。

妊活においては女性だってもちろん大変だし、恥ずかしい思いもするだろうし、複雑な気持ちになる場面も少なくないでしょう。しかしそれを自虐的に笑いにしてしまうとモラルに反するという思いなのか、自虐パートは全て男に任せてしまえ、というスタンスになっています。だから笑いがあるといっても全然切り込んでないし、緊張と緩和がありません。

え、それ笑いにしちゃっていいの?というラインのギリギリを行くから面白いわけで、最初からおちゃらけキャラを笑いにしたところでって感じです。

また、妊活をテーマにしている割にはベッドシーンは皆無で、夫婦生活についてはほとんど触れません。触れても会話の部分で下ネタギャグのように触れる程度です。多くの高齢の夫婦にとってはそもそも性欲がそんなになかったり、タイミング療法を試してみたところでその日にどちらかが疲れていたり、気分が乗らなかったり、子作りが目的になるとできるものもできなくなる、といったケースも少なくないでしょう。

そういった夫婦事情はスルーして人工授精だけにフォーカスして話が進んでいくのに違和感を覚えました。人工授精を始めたら肉体的な子作りは一切しないの? どっちかじゃなければダメなわけね。

基本、お金の心配も一切ない、という前提なので、まずその段階で壁にぶちあたる多くの夫婦にとっては現実感をちっとも抱けないでしょう。赤ちゃんと経済状況を天秤にかけて、欲しいけど実際のところ私たちの稼ぎでは難しいよねという葛藤すら見せません。だってお金が必要になったら頑固なお父さんが銀行の通帳くれるんだもん。つまり大事な問題は全部スルーなんですよ。

未成年や若い人はまずこの映画に興味はないでしょう。それならそうとテーマがテーマなんだからR指定にして、包み隠さずなんでもがっつり見せたらいいんですよ。

それなのに変に大衆向けにして、子供から大人まで楽しめる映画を目指しているふしがあるから、すごくもったいないなあ、と感じます。あと、終始浅く描いているのに人工授精の解説だけはやけに詳しかったり、バランスが悪いですね。こういう誰に向けて作ったのかがはっきりしない映画って基本的に刺さらないですよね。

演技の面でも松重豊と北川景子が夫婦の役作りが全然できていません。パッと見て、ああこの二人ただの知り合いだなあ、ぐらいの雰囲気しか感じません。愛し合っている感じもしないし、かといって夫婦仲が悪くなったりもしないし、関係性があまりにもモノトーンなんですよ。そういえばキスシーンすらなかったよね?

妊活をめぐってもっと大喧嘩とかしてもよくないですか? フラストレーションから感情をぶつけあって涙を流すシーンがあってもいいのに常に他人みたいな接し方なんですよ。喧嘩といってもどちかがプンプンするぐらいで、本気度が伺えません。男と女で子供に対する思いや哲学に違いがあってもいいのにただ「一緒に頑張ろうね」で終わっているのが幼稚です。

子供が欲しいのにできない苦悩、苦労がちゃんと描けてないから感動することもないです。これで泣かすとしたら流産するかどうかというエピソードに当然頼ることになりますよね。そういった製作側の意図がミエミエだから冷めるんです。

まともな演技ができているのは濱田岳と伊東四朗ぐらいですかね。濱田岳は相変わらず上手いです。濱田岳扮する杉浦は愛人をはらませたって言ってたけど、あれどうなったんでしょうか。ヒキタ・クニオの子供より、むしろ杉浦の子供のほうが気になりました。

ラストシーンもなんだかね。妊娠して安定期に入ったらめでたしめでたしって出産と子育て舐めてんのかよって言われかねないですよね。生まれるまでちゃんと生まれてくるかなんて分からないんだし、実際に子供を持ってどうだったのか、育ててみてどうだったのかを伝えないとダメなんじゃいの? まあその先のアイデアがなにもなかったんでしょうね。

二人が離婚するとかでも全然いいと思うんですよ。あれだけ欲しかった子供をいざ産んだはいいけど、子育てで意見が割れて、価値観の違いに気づき、離婚に至る、とかもっと現実的なものを見せてもらいたかったです。

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