予想通りに話が進み、予想通りに終わっていくコテコテの童話。子供が見る分にはいいけど、大人までは楽しめないです。41点
ウルフウォーカーのあらすじ
1650年、アイルランドの村キルケニーでは人々はオオカミを恐れて暮らしていた。ある日、村人の男が森の中に入ると、オオカミに囲まれ、引っ掻かれてしまう。万事休すかと思われたそのとき、森の中からウルフウォーカーの親子がやってきては魔法を使って男の傷を癒した。
お転婆の娘ロビンは、ハンターの父親ビルに決して一人で外をうろつくなと注意されていた。にも関わらずロビンは父親の後を追うように村の外へと出ていき、やがて森の中へ奥へと迷い込んでしまう。すると、オオカミがやってきては村人を襲おうとしているところに遭遇する。
ロビンはボーガンでオオカミを撃とうとしたが、誤って自分の鳥のメルリンを撃ってしまう。そのとき傷ついたメルリンをウルフウォーカーの娘が洞窟の中へと連れていってしまった。
後日、ロビンはメルリンを探し出そうと、再び森の中へと入っていった。メルリンは無事だったが、ロビンはオオカミに腕を噛まれてしまう。さらに洞窟の奥へと入っていくとそこにはウルフウォーカーの娘、メーヴがいた。あろうことかさっきロビンの腕を噛んだオオカミはメーヴが寝ているときのもう一つの姿だったのだ。
ロビンとメーヴはひょんなことから打ち解けていき、友達になった。しかしメーヴはオオカミの世界、ロビンは人間の世界で暮らしており、決して相容れない関係だった。そんな中、ある晩ロビンが目を覚ますと、なんと彼女までオオカミの姿になっていた。
ウルフウォーカーのキャスト
- オナー・ニーフシー / 新津ちせ
- エヴァ・ウィッテカー / 池下リリコ
- ショーン・ビーン / 井浦新
- サイモン・マクバーニー/ 西垣俊作
ウルフウォーカーの感想と評価
「ソング・オブ・ザ・シー海のうた」で監督、「生きのびるために」でプロデューサーを務めたトム・ムーアとロス・スチュアートによるファンタジーアニメ。中世アイルランドに伝わる伝説を基にした、2021年のアカデミー賞長編アニメーションノミネート作品です。
オオカミと人間が争い合っている世界のお話で、大多数の人間が森を焼きはらいオオカミを殺せと意気込む中、気の優しい女の子がオオカミを救おうと立ち上がるベタなストーリーです。
自然や動物に対し、敬意を欠く人間を悪として、乱暴そうだけど実はそうじゃないオオカミたちを善として分かりやすく描いているのが特徴です。
でもまあ誰でもどこかで聞いたことがありそうな話ですよね。分かりやすいのでいったら「もののけ姫」ですね。
「もののけ姫」はそれぞれの側に事情と思惑があって善と悪では語れない部分が見所だったけど、本作の場合はもうシンプルに善悪が分かれてるんですよ。
だからオオカミに感情移入するようなストーリーになっていて、視点がものすごく一方的だなあ、という印象を受けました。いわばお子様向けのアニメですね。
この手の話を聞いたことがない欧州の子供たちにはいいのかもしれないけど、愚かな人間たちを描ている割には特別ストーリーから子供たちが学べる教訓もなかったです。動物にもっと優しくしようよ、ぐらいなもんでね。まあ、薄っぺらいよね。
でも最近、この系統のアニメが必ずアカデミー賞にノミネートされますよね。作品を見る前から欧州枠のノミネートが確定してそうで怖いです。
捻った部分があるとすれば、ウルフウォーカーという人間とオオカミの中間的な存在でしょう。起きているときは人間で、寝るとオオカミになる、という設定になっていて、両方の気持ちが分かるからこそむしろオオカミの仲間になっていきます。
オオカミに噛まれた人間もまたウルフウォーカーになってしまい、ゾンビ的にウルフウォーカーが増えていくのもそれほど意味があったかというと、なかったように感じました。それだったらもっとウルフウォーカーだらけじゃないとおかしいよね。長い間争い合っている仲なんだから。
最後は村をあげての軍隊VSオオカミの戦いになり、軍隊が森に乗り込んでいくのも「もののけ姫」みたいでしたね。ただ、本作は壮大なクライマックスを用意しておらず、とりあえずボスさえ倒したら、問題解決みたいなノリで終わっていきます。
ボスを倒しただけで人間とオオカミの対立に平和が訪れるのか、というと全然そんなことなさそうなんだけど、かなり強引にハッピーエンドに持って行きましたね。ほかの村人たちは突然手のひら返したってことでいいんですか?
最後はロビンのお父さんとメーヴのお母さんがイチャイチャしたりなんかしてカップル成立みたいな感じだったし、なんでもかんでも上手くいっちゃったみたいなフィナーレでしたね。今の時代、そんな甘い終わり方でどうするんだよ。
コメント
何つーか「先生に褒められようとして作ったイイ子ちゃん臭」が鼻につく作品。
現実の狩猟や人類文化に対する敬意も学びもないからこういう薄っぺらいファンタジーへの逃げで問題提起や解決謳った気になっちゃうんだよな
どっちつかずの半端者なんてどっちからも毛嫌いされることがわかってないだろ
もののけ姫より前にイソップ童話の『卑劣なコウモリ』の話読んでこい