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Swallow/スワロウはただのスリラーじゃない!感想

この記事は 約5 分で読めます。

才能溢れる監督による、ぶっ飛んだ話。映像、脚本、演技がしっかりしていて、上質の映画に仕上がっています。75点

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Swallow/スワロウのあらすじ

ハンターは裕福な家庭のリッチーと結婚し、幸せな生活を送っているかに見えた。ところが夫や夫の両親はハンターの話をろくに聞こうとしなかった。どこかバカにされているようで、それが次第に彼女を精神的に追い詰めていった。

ハンターは妊娠し、リッチーも彼の両親も一応は喜んでくれたが、誰も本当にハンターの身体のことは心配してくれなかった。

そんなある日、ハンターは硬い物を口に入れたくなる衝動に駆られる。氷から始まり、ビー玉、そして画びょうまで飲み込んでしまった。

そうすることでハンターは今まで味わったことのない充実感を覚えた。たちまち彼女は硬い異物を飲み込むことの中毒になった。

しかしやがて産婦人科の診察中に体内に異物が入っていることが分かってしまい、夫や夫の家族からますます白い目で見られることになる。

Swallow/スワロウのキャスト

  • ヘイリー・ベネット
  • オースティン・ストウェル
  • エリザベス・マーヴェル
  • デヴィッド・ラッシュ
  • デニス・オヘア
  • ローレン・ヴェレス

Swallow/スワロウの感想と評価

カーロ・ミラベラ・デイヴィス監督によるサイコスリラー。精神不安定になったヒロインが硬い物を飲み込みたくなる様子を不気味に描いた芸術路線の作品で、序盤でゾクゾクさせ、終盤に意外な方向に転がっていく話です。

怖さあり、気持ち悪さあり、そしてラストはどこか温かい気持ちになるような演出になっていて、いい意味で驚かされました。

映像は綺麗である一方で、恐怖を与えるためかあえて無機質にしてあって、どこの国ともいえないような世界観にしてあります。家の作りやデザインなんかは「透明人間」を彷彿とさせるものがあります。

全体的にはヒロインのせつなく、悲しい人生の物語だなぁ、という印象を受けますね。ヒロインのハンターは美人の金髪女性で、大企業の御曹司と結婚したことで何不自由のない暮らしを送っています。

しかし何不自由のない暮らしとは言い換えると、退屈で刺激のない暮らしでもあり、大きな屋敷でハンターは一日中家のデコレーションを考えたりと、空虚な時間を過ごしていました。

それでもまだ夫や夫の両親が優しければいいんですが、とくに姑がチクチク嫌味を言ってくる始末で、夫もろくに自分の言うことを聞いてくれず、実は幸せだと思っていた生活は案外そうでもなかったことに気づきます。

そしてそんな生活のうっ憤を晴らすからのようにハンターは画びょうや安全ピンといったいけないものを飲み込んでしまい、感じたこともない充足感を覚える、というのがストーリーの流れです。

やっぱり男の僕からすると、頭のおかしい女の話ほど、怖くて、ミステリアスで面白いものはないですね。

どういう精神状態にあったら、硬くて痛いものを飲み込みたくなるんだろう、というのがまず興味をそそる部分で、ヒロインにとってはそれがある種のフェチのような性的興奮を刺激する要素であるかのように映っていました。

そして異物を飲み込むシーンそのものがしっかり見ごたえのあるエンタメホラーシーンになっていて、気持ち悪さと痛々しさがミックスしたあの感覚は何とも言えませんね。

この映画が優秀なのは、ハンターが異物を飲み込むまでに至った、決定的な背景を用意しているところです。

夫に冷たくされた、姑に意地悪された、というのはむしろきっかけに過ぎず、彼女はずっと闇を抱えたまま生きて来たんだなあ、というのが分かるので、異物を飲み込む行為ですら説得力を持たせてしまいます。

そしてハンターの異物飲み込みフェチがエスカレートしていく様子はホラーであると同時に、彼女自身を過去の出来事と向き合うきかっけを与え、破滅から再起に導いていく、というストーリー展開は見事でした。

ハンター役のヘイリー・ベネットはいい女優さんですね。様々な作品に出演しているわりにはこれまでほとんど印象に残りませんでしたが、この作品で実力を証明しましたね。

妊娠中にどんどん肉体が変化していく役作りも絶妙だったし、精神が崩壊していく様子や因縁の父親と対峙するシーンなど、難しい演技をこなしていました。

モーテルで土をポテトチップスのように食べてるシーンなんて最高じゃないですか。あんなに美味しそうに土を食べる人、今まで見たことなかったもん。

カーロ・ミラベラ・デイヴィスの演出、そして脚本も細かくていいです。姑の嫌味なセリフやハンターが面白い話をしようとしている途中で、話を遮る舅(しゅうと)のタイミングとか完璧でしたね。

ラストは意外性に満ちていました。サイコスリラーが、突然、つらい過去を背負った女性の再起ドラマに変わる瞬間は感動すら覚えました。

振り返ると、ハンターの周囲にはただの一人も彼女に愛情を与えてくれる優しい人がいないんですよね。

夫と夫の家族はもちろん、実の両親からも疎ましい存在である彼女は心の拠り所がなく、自分の運命にいつまでも苦しめられる、というのが悲しかったです。

しかし最後、トイレの鏡でハンターが自分自身を見ていたとき、ほんの少しだけどにっこり笑ったように見えたのは気のせいでしょうか。

最初はただの頭のおかしい女だったハンターを最後には温かい目で応援している自分がいる、そんなストーリーでしたね。面白かった。

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