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エマ、愛の罠はカッコよくて怖い!感想

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この記事は 約5 分で読めます。

国際映画祭向け、芸術路線のチリ映画。カッコいい映像と音楽を駆使し、見る物に色気と恐怖を与える、きわめて完成度の高い作品です。78点 

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エマ、愛の罠のあらすじ

ダンサーのエマは夫のガストンと一緒に育てていた養子の息子ポーロを手放したばかりだった。問題児のポーロは二人にはとても手に負えず、あろうことか再び養子に出してしまったのだ。

しかしそのことを二人は後悔し、深く傷ついていた。お互いがお互いを責め、夫婦関係も危うくなっていた。

エマはダンスに打ち込む一方で、今さらながらポーロをなんとかして取り戻そうと考えた。彼女はポーロを養子に迎え入れた夫婦を見つけ出し、近づくことにする。

ポーロの新しい両親は消防士と弁護士の夫婦だった。エマは自分の魅力を最大限利用して、夫婦二人とも魅了し、ポーロを奪い返すことを企む。

エマ、愛の罠のキャスト

  • マリアーナ・ディ・ジローラモ
  • ガエル・ガルシア・ベルナル
  • カタリーナ・サアベドラ
  • ヒアニーナ・フルテーロ
  • エドゥアルド・パシェーコ

エマ、愛の罠の感想と評価

「NO」や「トニー・マネロ」や「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」や「スペンサー」といった個性的な作品で知られるパブロ・ラライン監督による衝撃の家族ドラマ。ヒロインのぶっ飛んだ行動に、驚かされること間違いなしの、怖くて、色っぽくて、なかなか面白い映画です。

シャドー・ダンサー」、「悪い女」、「悪人」、「イニシエーション・ラブ」など、ときどき悪女が登場する映画がありますが、本作はその中でも別格の悪女がヒロインになっています。

ヒロインのエマは若いダンサーで、年増の夫が指導するダンスカンパニーで活動したり、学校で子供たちにダンスを教えたりして生活しています。

エマにはポーロと呼ばれる養子の息子がいましたが、きちんと育てることができず、ポーロを施設に返してしまいます。

ところが罪悪感なのか、後悔なのか、ポーロを失ったことでエマは正気を失い、夫を攻め立て、まもなくして離婚を決意します。

女性弁護士に離婚裁判をお願いしようとするエマですが、実はその弁護士は自分の息子ポーロを最近養子に迎えた新しい母親でした。

そこでエマは持ち前の魅力を生かして、女性弁護士を誘惑し、レズの世界へと引き込み、体の関係を結びます。

それだけじゃありません。消防士の夫まで見つけ出し、夫まで自分のものにしてしまうのです。悪女というと、男を騙す、ハニートラップをしかける、殺す、といったぐらいが定番ですが、エマの場合、バイセクシャルだからどっちでもいけちゃいます。

それも男にも女にもモテて、持ち前の若さと魅力でたちまち虜にしてしまう、というのがなんとも恐ろしかったです。

全ては計算づくで、ただ闇雲にポーロの両親に近づいているわけではありません。てっきり最初は弁護士費用をタダにしてもらうためにやってるのかなぁ、ぐらいに思ったんですが、違ったんですね。

エマの動機こそがこの映画の最大の見所であり、サプライズなので、そこは触れないでおきますが、自分の欲しいもののためには手段を択ばない女の生きざまをとくと見させてもらいました。

エマがダンサーということもあり、物語の途中でちょくちょくダンスシーンが入ってきます。エマはコンテンポラリーダンスのカンパニーに所属しつつ、実はレゲトンが好きというキャラで、力強いダンスを披露します。

ダンスシーンは舞台を見ているようでもあり、またPVのようでもあって見ごたえ十分です。特にレゲトンを通じて、ラテンアメリカの文化を十分に堪能できるんじゃないでしょうか。

ストーリーとはそれほど深く関連性があるとは思えなかったけれど、ダンスシーンがエンタメ作品としての質を押し上げていたことには違いないでしょう。

一方のベッドシーンも同性愛、異性愛などをまとめて放り込んでいて、その全てが色っぽいだけでなく、すごく美しく描かれています。

そもそも物語の中でエマが性愛を武器に男も女もメロメロにするキャラなので、あそこがちゃんと描かれていなかったら、逆に台無しになっていたことでしょう。

パーティーの最中に女の子たちが踊りながらどんどん服を脱いでいくシーンなんて最高じゃないですか。あんなところにお堅い弁護士なんて連れていって、いままで味わったこともない快楽を教えちゃったら、そりゃあ興奮して狂いますよ。

全体的に映像が奇麗だし、舞台となったチリの観光地バルパライソをスタイリッシュなBGMに乗せて、また違った観点から見せています。芸術とエンタメのバランスが見事に取れた作品といえそうです。

正直、最初どんな方向に話が進むのか全く見当がつきませんでした。面白いのか、面白くないのかも分からないぐらいでした。

ストーリーに掴みどころがなく、話もぶつ切りなので、全体像がなかなか浮かんでこなかったんですが、エマの魔力に引きずり回されているうちにいつの間にか衝撃のオチに到達していた感がありますね。

これはなかなかジャンルわけが難しい作品ですよ。家族ドラマともいえるし、サイコスリラーともいえるし、ホラー映画と言っても問題ないでしょう。暴力なくして、怖いってすごいな。すごく面白かったし、エマには圧倒されました。あんな女に捕まったら男も女も逃げ道ないじゃないですか。

コメント

  1. ちー より:

    エマ、天使のような風貌で悪魔のような執念深さでしたね。
    あの美しさでバイって怖いものなしですよねw