みとりしはいい話だけど今一つインパクトが足りない!感想とネタバレ

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最後まで見れるけど、これといったエピソードが出てこない、ベタな人間ドラマ。評判が良かったので見ましたが、それほど印象に残らなかったです。55点

みとりしのあらすじ

映画『みとりし』予告編

大切な娘を交通事故で失くした柴久生はある日、線路に飛び込もうとしてほかの人に止められる。それほど彼は追い詰められていた。

会社ではそこそこの重役に就いていたため支社長の後任に任命された。しかし上司の冷酷無比な態度に嫌気が差して辞職した。そんな柴久生が次の仕事に選んだのは、亡くなるまでの間の介護を行い、最期を見送る看取り士だった。

柴久生は老人の多い岡山県高梁市に看取り士ステーションを設立し、余命宣告を受けた患者たちに向き合っていく。やがて高梁市に若い医師の早川奏太と看取り士を志す高村みのりがやってきた。

看取り士ステーションは病院とも連携し、患者や家族の要望に応えていく。そんな中、新人医師の早川奏太と新人看取り士の高村みのりが戸惑いながらも患者たちができるだけ温かい死を迎えられるようにサポートしていく。

みとりしのキャスト

  • 榎木孝明
  • 村上穂乃佳
  • 高崎翔太
  • 斉藤暁
  • 大方斐紗子
  • 石濱朗

みとりしの感想と評価

白羽弥仁監督による、柴田久美子のノンフィクション「私は、看取り士」を基にした介護ドラマ。

いい話だし、リアリティーは十分だし、日本社会が考えなければならない問題が詰まっています。

一方でこれといったインパクトのあるエピソードがなく、どこかで聞いたことのあるようなお馴染みの介護ストーリーを静かに語っているだけ、といえなくもないです。

仕事内容は違っても、やはり「おくりびと」を彷彿とさせるものがあって、二番煎じ感はありました。もちろん「おくりびと」ほどわざとらしくないし、演技も演出もこちらのほうが断然好感が持てますよ。

でもこれが商業的にヒットするか、あるいは海外に渡って多くの外国人の目に触れるか、といったら可能性は低いでしょう。

テンポが遅いし、肝心な娯楽性を忘れちゃってますね。シリアスになりすぎているのがマイナスで、こういう深刻な問題やマジな仕事を描くときこそ、ユーモアがないとダメだよなぁ、と改めて思いました。

基本ずっとマジなんですよね。死を目前にしている介護を映し出しているわけだから、仕事中緊張が張り詰めているのはまだ分かります。

しかしそれならせめてプライベートぐらい登場人物が羽目を外すシーンぐらいあってもいいけどなぁ。

なんだったら看取り士の女の子がめちゃくちゃスケベでもいいと思うんですよ。あるいは新人医師が看護婦に片っ端から手を出してるとかでもいいでしょう。

もしかしたら新人の二人が恋に落ちるのかもなぁ、とも考えられましたが、そういうおまけエピソード的な要素は一切ありませんでした。あるのは患者に真摯に向き合う看取り士の姿のみ。

つまりなにかしらのギャップやコントラストが皆無で、話にメリハリがないんですよね。看取り士はもれなく聖人みたいな設定で、人間味が感じられません。

特に新人看取り士の高村みのりがまだ20代前半なのに、友人も家族もいないあんなド田舎に自らやって来ては、ほぼ生活の全てを仕事に費やすっていうイメージが湧かないですね。

ある程度年齢を重ねた柴久生が第二の人生として看取り士を選ぶのはまだ分かるんですよ。でもまだまだなんでもできる可能性や選択肢を持つ高村みのりが、早くから世のため、人のために自分の人生を捧げていこうとするのには無理があるかなぁ。

でもどうなんだろう。実際、看取り士には都会からわざわざ田舎に出てくるあんな若い子もいるのかなぁ。給料もそんなによさそうでもないし、それこそやりがいだけでやっているような気配がありますね。

また、視点がバラバラになるのも問題です。主人公の柴久生目線で話が始まったかと思ったら、後半はほとんど高村みのりが主役になっていました。そこでフォーカスのずれが生じていて、「一体これは誰の話なんだ?」と見失います。

看取り士の仕事風景が見せられればそれでいいという考えなのかもしれないけど、柴久生、高村みのり、患者といったように視点がくるくる回るせいで明らかに感情移入しづらくなっています。

なにより悲しみにばかりフォーカスしているのがこの手の邦画によくある悪い癖ですね。「死」について考察しすぎちゃっていて、「生」の喜びをまるで忘れちゃってるんですよ。死生観は強いのに人生観は空っぽっていうパラドックスが歯がゆいです。

それでも介護経験があったり、家族を病気で失くした人にはぐさっと刺さるのでしょうか。何個か感動ポイントもあるので当然涙する人もいるんでしょうね。僕にはそれほどぐっと来るものはなかったかなぁ。

僕の母は祖父を引き取って介護していたので、僕もふとそれを思い出しはしました。そのときは誰が介護するんだ、といった問題が当然あったし、もし看取り士のようなサポートがあったらかなり助かってたんだけどねぇ。

劇中、体がいうことを聞かなくなって、もう早く死にたい、ってこぼしていた老人がいましたが、いつか自分にもそんな日が訪れるかと思うと正直怖いですね。

僕のおじいちゃんもおばあちゃんが亡くなった後に、ご飯をろくに食べなくなり、「どうせもうやることないし」と言いながら死んでいったのをよく覚えています。ふと、そんな記憶がよみがえってくる映画ですね。

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