ブラインドスポッティングは個性的な人種ドラマ!感想とネタバレ

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人種ドラマ、犯罪もの、コメディー、ラップミュージカルをミックスした、ちょっと笑えて、スタイリッシュで、かつシリアスな映画。脚本はいいし、演技も悪くないし、普通に面白かったです。70点(100点満点)

ブラインドスポッティングのあらすじ

Blindspotting (2018 Movie) Official Trailer – Daveed Diggs, Rafael Casal

コリン・ホスキンスは、刑務所での刑期を終え、残り数日の保護観察を過ごそうとしていた。その間に問題を起こせばまだ刑務に舞い戻ることになる。

彼はできるだけ大人しく過ごそうと努めるが、引っ越し会社で一緒に仕事をしている、幼少期からの親友マイルズ・ターナーは短気なトラブルメーカーだった。

そんなマイルズと行動していると、コリンはいつ警察に捕まってもおかしくはなかった。

ある晩、コリンは自動車を運転中、交差点で信号待ちをしていると、黒人の男が警察から逃げてくる場面に遭遇する。すると後から追いかけて来た白人の警察が、あろうことか無防備な男に発砲し、射殺してしまう。

コリンは警察に脅されるようにその場から立ち去ったが、この一件でトラウマを負う。

一方でコリンの住むオークランドは、貧困な層が多く住む中下層地域に、再開発や新産業の発展などの理由で比較的豊かな人々が流入するジェントリフィケーションが起こり、そこで生まれ育ったコリンのルーツやアイデンティティが失われようとしていた。

そんな中、マイルズは家族を守るために銃を買い、それをコリンに見せびらかしていた。コリンは問題に巻き込まれるのを恐れて、マイルズに何度も警告したが、彼は聞く耳を持とうとしなかった。

遅かれ早かれ悪いことが起こるのは時間の問題だった。やがてマイルズの銃を幼い息子のショーンが家で見つけてしまい、自分に銃口を向けると、、、、

ブラインドスポッティングのキャスト

  • ダヴィード・ディグス
  • ラファエル・カザル
  • ジャニナ・ガヴァンカー
  • ジャスミン・セファス・ジョーンズ
  • イーサン・エンブリー
  • ティーシャ・キャンベル・マーティン

ブラインドスポッティングの感想と評価

カルロス・ロペス・エストラーダ監督による、サンダンス映画祭に出品されたインディーズ映画。オークランドを舞台にした人種と差別とアイデンティティーの葛藤を描いた人間ドラマです。

いわゆる人種ドラマですが、ただの犯罪ドラマやギャングものとは違って登場人物たちが男らしさや強さを強調するだけの話ではないです。

人種差別を取り上げつつも、怒りやわだかまりといった要素だけに囚われず、白人と黒人の友情をユーモアに富んだ会話を通じて描いたり、セリフの中にラップを織り交ぜたりして、一本のエンタメ作品にまとめてありました。

主人公の二人はオークランドで育った、昔からのマブダチの黒人のコリンと白人のマイルズ。二人は育ってきた環境や変わりゆく時代のせいもあってか、アイデンティティーを見失いかけているのが特徴で、ときどきどう振る舞うべきかに悩んでいるようでもあります。

二人とも違う人種のパートナーを持ち、コリンに関してはお母さんが中国人と付き合っていたり、マイルズについては黒人女性との間にハーフの子どもがいたりと、余計に普段から人種を意識せざるを得ない状況に身を置いているのが興味深かったです。

また、この映画のカルロス・ロペス・エストラーダ監督はメキシコ系アメリカ人で、わき役にも様々な人種、国籍の俳優たちを起用していたりと、かなりインターナショナルなスタッフとキャストによって成り立っています。

カルロス・ロペス・エストラーダ監督はもともとミュージックビデオの監督だったらしく、そのせいか音楽の使い方はもちろん、映像に音を合わせるのが上手でしたね。

また、コリンとマイルズ役を演じたダヴィード・ディグスとラファエル・カザルは実際に子供からの親友で、脚本を書いたのは彼ら、というのもストーリーをよりリアルにしています。

実話ベース、といった宣伝文句は使っていないものの、おそらくかなり二人の実体験がストーリーに含まれているんじゃないでしょうか。

ダヴィード・ディグスはラッパーでもあるので、セリフの中にラップを混ぜてもやっぱり格好がつきますよね。その点のリアリティーとか完成度の高さは「サイタマノラッパー」とかとは比べ物になりません。

Daveed Diggs & Rafael Casal – Easy Come, Easy Go (from the BLINDSPOTTING Motion Picture Soundtrack)

一方のラファエル・カザルも音楽をやったり、詩の朗読をしたり、パフォーマーとして活躍していて、ラップもできるし、僕はむしろ本編で流れるラファエル・カザルのラップパフィーマンスのほうが格好良く思えました。

""Royal" Freestyle – @rafaelcasal

なによりこの映画に好感が持てた理由は、そんな二人たちが格好つけてラップをするだけの映画じゃないことです。

むしろ自分たちをポンコツで笑えるキャラに描いているふしがあって、人物描写の仕方にほかの映画との違いがはっきり出ていました。

青汁ジュールをコンビニで買うエピソードとか、美容院に乗り込んでいってそこにいる人たちにストレートアイロンを売りさばこうとするシーンとか、小さな話にこそ醍醐味や面白味が詰まっていて、終始微笑ましかったです。

美容院のおばちゃんが、「私はサスペンス(あやふやなこと)が嫌いなのよ。サスペンス映画だって嫌いなんだから。ヒッチコックなんてファックよ。Mナイトシャラマンなんて私のケツにキスすればいいんだよ、イライラさせるんだから」というセリフには笑ってしまいました。

ラストはラストで、しっかり白人警官の黒人射殺事件の伏線を回収して終わっていくし、起承転結がはっきりしていていいですね。完全にすっきりして終わるかというそうでもないけど、久しぶりに見た完成度の高い低予算映画でした。

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