映画関係者からは評価されても興行的には絶対にヒットしないであろう映画。ものすごいリアルな話だけど、面白くはないし、特にキャラクターに惹かれなかったです。48点(100点満点)
ビッチ・ホリデイのあらすじ
サーシャは麻薬の密売組織のボス、マイケルに連れられ、マイケルの友人たちとトルコのリゾート地リビエラで休暇を過ごしていた。
サーシャは、マイケルに気に入られており、頼めば高価な宝石を買ってもらえた。しかしマイケルはときどきサーシャや手下に暴力的になることがあった。
ある日、サーシャはアイスクリーム店で並んでいるときにオランダ人の男性トーマスとその友人フレデリックと知り合う。
後にレストランで二人を見かけると、サーシャは二人に席にまで行って挨拶し、連絡先を交換する。
これがきっかけでサーシャはトーマスと仲良くなり、そのことをボスのマイケルが知ることになる。
ビッチ・ホリデイのキャスト
- ヴィクトリア・カルメン・ソンネ、
- ライ・イデ
ビッチ・ホリデイの感想と評価
イサベラ・エクルーフ監督による、ギャングのボスの愛人になった若い女の子がバケーション中にやらかす話です。
共同脚本家ヨハネス・オルグレンの本からインスパイアされたストーリーで実話ではないものの、リアリティー重視の演出になっています。
いかにも欧州映画といった感じで、スローなテンポ、最小のセリフ、少ない展開で成り立っていて、エンタメ映画とはほど遠い、芸術路線および映画祭向けの内容になっていました。
そういう映画に慣れている人にはいいですが、商業映画しか見ない人には向いていませんね。なんせ120分の尺のうち、大部分がヒロインのサーシャがリゾート地でダラダラ過ごすシーンに費やしているので、はっきり言って退屈です。
やらしそうな雰囲気をかもしているくせにベッドシーンも皆無です。さあ始まるかと思ったらいつも途中でカットが入り、別のシーンに行くというのがパターンになっていて、絡みシーンもバイオレンスもあえて何も見せない選択をしていました。ぶっちゃけ予告動画に映るシーンが全てです。
物語が動くのは、1時間が過ぎてからで、サーシャがアイスクリーム屋で知り合ったトーマスと夜に再会し、二人の前にボスのマイケルが現れる下りでしょうか。
マイケルが自分の女に手を出している男に対してどういう制裁を加えるのか、という点においては静かな恐怖と緊張感が確かにありました。
しかしそれにしたってもともとはサーシャから近いづいていったわけだし、トーマスはサーシャに男がいることなんて知らないわけだから全く悪くないわけですよ。
サーシャは根っからのビッチなのか、怖いボスがいながら、街で声をかけられるとひょこひょこ付いて行ってしまう軽すぎる性格の持ち主で、それによって後々ボスがどんな反応をするのかといったことは全く想像ができていないようでした。
原題はただの「Holiday」なのに対し、邦題はあえて「ビッチ・ホリデイ」となっていますが、いい得て妙ですね。
一番質が悪いのはマイケルよりむしろサーシャだなって思っちゃいましたもん。ラストのやらかし具合も、なんでそこでそんなことするんだよっていう行動だったし、やることなすこと目的がなく、全てなんとなくで決めている感じが恐ろしいですね。
ラストでひどい目にあうトーマスは、まるでサーシャのハニートラップにかかったみたいでしたね。ハニートラップといっても金目的じゃないから、なおさら質が悪く、サーシャには「お前は一体何がしたいんだよ?」という疑問しか浮かばなかったです。
もしかしたらサーシャは自分をめぐって男同士が揉めるのを見て喜ぶタイプなのかなあ、とも想像しました。たまにいるじゃないですか、そういう性悪女。
あえて自分を取り合いさせて、喧嘩させて優越感に浸る奴。動物的DNAがそうさせるのか、オス同士の争いに勝ったほうにご褒美あげるみたいな思考回路を持っているのだとしたらやっかいですね。
それとも彼女は誰かに助けを求めていたのでしょうか。あるいは感覚がずれすぎて、自分が何をしているのかも分からなくなってしまったのか。いずれにしても犯罪者の愛人になる人の気持ちは到底理解できないし、なんで悪い男の愛人に限ってまた若くて美人なんですかね?
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