愚行録

演技と映像はいいのに、ストーリーに現実味がない惜しい作品。狙いすぎて外しか感が半端ないです。41点(100点満点)

あらすじ

エリート会社員の夫・田向浩樹(小出恵介)、美しい妻・夏原友季恵(松本若菜)と娘の一家が、何者かに惨殺された。事件発生から1年、その真相を追う週刊誌記者の田中武志(妻夫木聡)は、一家の関係者を取材。浩樹の同僚・渡辺正人(眞島秀和)、友季恵の大学時代の同期・宮村淳子(臼田あさ美)、浩樹の大学時代の恋人・稲村恵美(市川由衣)らから語られる、一家の意外な素顔に驚く田中。そして、自身も妹の光子(満島ひかり)が育児放棄の容疑で逮捕されるという問題を抱えていた。

シネマトゥデイより

文句

貫井徳郎の同名小説を基にした映像と雰囲気だけはやたらと格好いい、雰囲気イケメン映画。それに対して肝心のストーリーと脚本はいただけないです。

物語は、大学時代に知り合い、家庭を築いた美男美女家族の殺人事件と、自分の子供を虐待した容疑で逮捕された女の事件をインタビュー形式で暴いていく構成になっています。

名門大学内でのカースト。その中でうごめく優越感と劣等感。人を踏み台にしてのし上がっていく戦いの末、恨みや怒りを抱えて大人になっていく大学生たちが事件の容疑者として浮かびます。

主人公の雑誌記者田中は事件の真相を掴もうと、被害者夫婦とかつて同じ大学に通っていた学生たちにインタビューを試みます。

すると、殺された夫にも妻にも大学時代に異性関係をひっかきまわした過去があり、周囲から恨みを持たれるエピソードがわんさか出てきます。

一方、自分の娘を虐待して捕まった記者田中の妹光子は留置所の中で完全に自分を見失っていました。娘に対してやったことの責任を全く感じておらず、精神鑑定を受けることになります。

光子自身、自分の両親から虐待を受けていた過去を持ち、両親と疎遠になった今、頼れるのは兄一人だけでした。

恵まれた家庭に育たなかった兄妹は日々そのことを痛感しながら生き、実は誰にも言えない秘密を抱えていた、というのがストーリーの概要です。

一家殺人事件と児童虐待事件。一見、無関係な二つのエピソードが時間をかけて結びついていく狙いはよかったです。

ただ、二本の糸を結ぶ過程で、サプライズと衝撃を与えようとするがために、話がぐっちゃぐちゃになりすぎて、リアリティーが失われてしまったのが惜しいですね。

特に大学時代のエピソードが極端すぎます。家柄が重んじられる名門のキャンパス生活で、リア充を目指して学生たちが繰り広げる男女の奪い合いと利用合戦が行き過ぎていました。

寝取られたとか、騙されたとか、利用されたとか、ゲスいエピソードが満載なのはいいけれど、いずれのエピソードも一家を殺害するほどの理由には到底至らないのがダメでしたね。動機の部分で説得力がないと、事件の真相をあれだけ時間をかけて暴いていく意味が果たしてあるのか。

たまたま被害者を道で見かけたとき、プチンと切れてやっちゃいましたって言われてもね。衝動的に一家全員殺すことなんてそうそうできることじゃないよ。

包丁で刺し殺したって話していたから犯人は当然返り血は相当浴びてるだろうし、どうやって警察に捕まらずに家まで帰ったんですかね。

警察が馬鹿なのは一家殺人事件だけにとどまりません。記者田中もプッツンして女の頭をカチ割っていましたが、あれだって二人が一緒にいたところを見ていたカフェの店員とか目撃者がいるはずなのに、なんでライターがあったぐらいで元彼氏が容疑者にさせられてるんですか。凶器の指紋と比較したら分かるだろ。

あまりにも馬鹿とゲスばかりで登場人物を固めるのもどうかと思います。それにしても陰鬱で、何かと恨みの深い話でしたね。恨むのはまだいいけど、せめて恨む対象を間違えるなよっていうのが一番強く感じた点ですかね。

登場人物たちは、自ら悪い仲間と付き合うことを選んでるくせに、なぜかみんな被害者ぶっています。お前が悪いんだろっていうエピソードばっかりですもんね。

犯人も殺すならあの家族じゃなくて、他に殺したくなる人いるだろって思いましたけどね。自分を妊娠させたあいつとかね。その辺もひっくるめて「愚行録」っていうことなんですか、これは?

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