心が叫びたがってるんだ。

童貞と処女の学生だけをターゲットにした非現実的なアニメドラマ。高校生の糞みたいな恋愛とミュージカルを融合させようとして、一つにまとめられなかった作品です。8点(100点満点)

あらすじ

活発な少女だったものの、ある事を話したことで家族がバラバラになった上に、玉子の妖精にしゃべることを封印された成瀬順。そのトラウマが心に突き刺さり、隠れるようにして生きていく。ある日、通っている高校の地域ふれあい交流会の実行委員会のメンバーになり、さらにそこで上演されるミュージカルの主役を務めることに。困惑する順だったが、メンバーの坂上拓実、田崎大樹、仁藤菜月と行動を共にするうち、自分の中の変化に気付きだす。

シネマトゥデイより


文句

長井龍雪監督による、自分勝手な人しか出てこない青春アニメ。現実路線なのか、ファンタジー路線なのかはっきりしない世界の中をやたらとドラマチックな学生たちが情熱を見せたり、メソメソしたりする学園物語です。

冒頭から笑えます。幼い少女、順はお城が大好きで、王子様に憧れる純粋無垢な子供です。ある日、彼女がお城の周りを歩いていたら、そこから父親と知らない女が車から出てくるところを目撃します。

順がお城だと思っていたのは実はラブホテルで、なんと父親は浮気をしていたのです。この時点で色んな視聴者の夢をぶち壊しているし、とてもアニメのストーリーじゃないですよね。

それでも現実路線で行くのならまだ分かるんですよ。それが両親が離婚して落ち込んだ順の前に卵の妖精が現れて、彼女の口にチャックをしてしまいます。それから順は上手く話すことができなくなり、話す度にお腹が痛くなる呪いにかけられるのです。

ラブホテルからの卵の妖精って急降下にもほどがありますね。ゲスな話なのか、メルヘンチックな話なのか、振り幅が大きすぎて、その後のストーリーに対する心の準備ができませんでした。

どっちつかずのストーリーはそれからずっと継続し、いつの間にか少女の順は高校生になり、あれよあれという間にクラスでは交流会のためにミュージカルをやることに決まります。

言葉を失った順は喋るのはできないけど、歌ならバリバリ歌えるらしく、そのご都合主義には拍手したくなってきます。なんでも伝えたいことがあるんだって。自分の気持ちが言いたいんだって。

となると心の傷を抱えた学生が必死でミュージカルを練習し、自己表現をすることで、青春を謳歌するのかと思っていたら、日本の学園アニメによくあるウジウジメソメソのエピソードばかりで埋め尽くされていて、げんなりしました。

田舎町の小さな地域で、手っ取り早い同級生たちとしょうもない恋愛を繰り広げ、あれだけ泣いたりわめいたりできる登場人物のスケールの小ささには見損ないました。

あれだけミュージカル、ミュージカル言うなら、曲はせめてオリジナル曲で、歌はちゃんと歌える声優を使おうよ。あれを映画のクライマックスに持ってきておいて、本当に学園祭レベルのミュージカル見せられても、視聴者が盛り上がるわけないじゃん。最大の見せ場が替え歌って。

登場人物がもれなく自分勝手でしたね。自分勝手に好きになって、大いに期待して、逆ギレする学生たちもさることながら、大人たちも頭おかしいですね。

一番、驚いたのは順の両親の言動です。父親は順と別れ際にガツンとこう言いました。

「(離婚したのは)全部、お前のせいだ」

浮気現場を見た順がお母さんにそれを話してしまったからなんですが、浮気したのはお前だし。なんで娘を責めるんだよ。

一方で母親は順にこんなひどいをことを言いました。

「私が家にいないときはお客さんが来ても出ないでよ。あなた言葉話せないんだから。後で近所でなんて言われるか分からないでしょ」

いいですか。あんなひどいことを普段から言う母親が、娘が倒れたときにも病院に嫌々来るような母親が、学校のミュージカルなんて絶対に見に来ないから。なんでその日だけ優しくなるんだよ。

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