2017/02/19

スウィート17モンスター(原題THE EDGE OF SEVENTEEN)

自己嫌悪に悩むイケてない女子高生が家族と自分を見つめなおす過程を描いたコメディードラマ。可愛くて、大いに笑えて、ちょっと感動する良作です。77点(100点満点)

あらすじ

キスさえ未経験というイケてない毎日を送る17歳の高校生ネイディーンは、妄想だけが空まわりし、教師のブルーナーや情緒不安定な母親を困らせてばかりいた。唯一の親友であるクリスタが、人気者の兄ダリアンと恋に落ち、世界にたった1人だけ取り残されたような疎外感を感じたネイディーンは、とんでもない行動に出てしまう。

映画ドットコムより


文句

若手女性脚本家のケリー・フレモン・クレイグによる初監督作品です。劣等感や疎外感に悩まされ、素直に生きれない女子高生の複雑な感情を上手く表現していて、学生から大人まで楽しめる内容になっています。

脚本が素晴らしく、会話の中で小さな笑いがたくさん生まれていました。ヒロインのネイディーンを演じたヘイリー・スタインフェルドの演技がそれをさらに面白くしていて、こじらせたティーネイジャー役がかなりはまっていました。彼女の抜群のパフォーマンスと憎めないキャラのおかげで、楽しさが倍増していて、なんでアカデミー賞主演女優賞にノミネートされていないのか不思議です。

主人公のネイディーンは子供の頃に良き理解者であった最愛の父を亡くし、それ以降イケメンの兄や感情的な母親と衝突を繰り返す生活を送っていきます。学校には幼馴染の友達が一人しかおらず、コミュニケーション能力のなさから担任の教師や他の生徒と話しても、いつも会話はちぐはぐに。

そんな中、親友のクリスタが兄と付き合いだしてしまい、ついにネイディーンは一人ぼっちになってしまいます。寂しい気を紛らわせようとネイディーンはクラスメイトの韓国人とデートをしたり、憧れの先輩にアプローチしたりしますが、軽率な発言や自分勝手な行動のせいで周囲と自分を悲しませることになる、というストーリーになっています。

特に変わったエピソードがあるわけではないんですよね。どちらかというと平凡な学園&家族ドラマです。それでも思春期の主人公の行動にやけにリアリティーがあって、彼女に共感できる日本の女子高生や女子大生も多いんじゃないでしょうか。

一方で”イケてない”女子高生の描き方がとてもアメリカ的な部分もいくつかありますね。ネイディーンは自己嫌悪が強く、異性に人気がないことを認識しているけれど、性格は引っ込み思案でもなく、シャイでもないんですよ。コミュ症っぽいのにがんがん人には話しかけていくし、でも実は自尊心が低いみたいなややこしい乙女チックな性格の持ち主です。

ヒロインをはじめ、兄のダリアン、友達のクリスタ 学校の先生、お母さん、韓国人の男の子などみんな根はいい人ばかりでどこか可愛げがあるのがいいです。

気の毒だったのはネイディーンとやろうとして、やらせてもらえなかったから急に冷たくなった先輩のニックが悪い男みたいに映ってしまったことですね。あれはスケベなメッセージを衝動的に送ってしまったネイディーンが悪いんであって、彼に責任はありません。

想像では憧れの男に抱かれるところをイメージしておきながら、実際にそのときになったら怖くなったり、嫌になったりして、セックスではなく純粋なロマンスを求めだす女心がまたやけにリアルで、逆に男の立場からしたら腹立たしいシーンでもありました。つべこべ言わずとりあえず一回やっておけよって。

結局お前は何がしたいんだよと言いたく箇所は多々あるんですが、そもそも自分が何をしたいのかすらよく分かっていない年頃なわけで、色々と失敗しながらネイディーンが成長していく過程が見所なんですね。

最後に邦題について一言。「スウィート17」まではまだいいとして「モンスター」ってなんだよ。よくこれが採用されたな。

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