僕と世界の方程式(原題X+Y)

xy

数学の天才少年が数学オリンピックに出場するまでの過程を恋愛と家族ドラマを交えて描いた作品。普通にいい話ではあるものの、物語の途中で多少軸がぶれるのが惜しいです。56点(100満点)

あらすじ

他人との意思疎通は苦手だが、数学に関しては突出した才能を誇る少年ネイサン(エイサ・バターフィールド)。母ジュリー(サリー・ホーキンス)はその才能をさらに伸ばそうと、息子への個別指導を数学教師ハンフリーズ(レイフ・スポール)に頼む。やがてネイサンは、国際数学オリンピックのイギリス代表チームのメンバーに選出されるまでになった。台北での合宿に参加した彼は、そこで中国チームの少女チャン・メイ(ジョー・ヤン)と出会う。

シネマトゥディより


文句

BBCで放映されたドキュメンタリー番組「Beautiful Young Minds」を基にしたイギリス映画です。人とコミュニケーションが思うように取れない数学の天才少年を主役にした「グッド・ウィル・ハンティング」の子供版みたいな話です。

主人公のネーサンは人と関わることに興味をほとんど示さない自閉症の少年です。そんな彼が好きなのは、美しいパターン(模様・数式)で、とりわけ数字の世界に惹かれていきます。ほかの子供たちとは交流しようとしないネーサンが唯一心を許しているのが父親。しかしその父親は不幸にもナーサンが子供のときに交通事故で亡くなってしまいます。

最も身近な存在を失くしたネーサンは心に大きな傷を抱えながら、学校の特別教室に入り、教師の個人授業を受けます。やがて数学オリンピックに出場を目指す選抜メンバーに選ばれるようになった彼は台湾の合宿に参加し、人生で初めて同年代の生徒たちと深く関わり合いを持つようになる、というのがストーリーの流れです。

物語は、数学オリンピックに向けた台湾合宿のシーンが中心になっていて、そこで起きる数々の出会いとネーサンが海外で初めて体験する出来事がメインに取り上げられています。

徐々にネーサンが他人に心を開いていく過程は上手く描かれていました。ところが途中からネーサンと中国代表の少女との淡い恋がストーリーをかっさらっていきます。

ネーサンと中国人少女の恋は可愛らしく微笑ましいです。ただし、あれをメインに持ってこられると、今まで頑張ってきた数学の勉強はなんだったんだ、という気にさせられますね。

さらに終盤になると家族愛と恋愛が話を支配していく、という悪い意味でのサプライズがありました。それなりに感動的なシーンもあるんですが、あの構成のせいでそれぞれのシーンにあてられる時間配分を考えたらバランスの悪さを残します。

幼少時代のネーサンと青年になったネーサンをそれぞれ違う役者が演じていて、青年のネーサンがメインを務めますが、あれにしても、どちらかというと子役のほうが存在感があり、あの子をメインにしたほうがよかったですね。同じくバランスの悪さを感じさせる箇所でした。

恋愛を通じて自分に本当に大切なものが何かを認識するラストの下りは、もろ「グッド・ウィル・ハンティング」と被っていましたね。

五輪の選手が本番前に彼女できたからといって、「俺、やっぱり五輪に出るの辞めるわ。それよりも彼女の側にいてあげたい」みたいな行動を取るのってロマンチックなようで結構ダサいですよ。落選したチームメイトのことを考えたら自分勝手じゃん。

ずっと目標にしてきたことが目前にまで迫っているんなら、まず最後までやり遂げようよって話なんですよ。彼女が大切だなんだっていうんなら大会後に飛行機に乗って会いに行けばいいんだしさ。

そもそも叔父さんに怒られたぐらいで「私もう中国に帰る」などと感情的になって全てを放り投げてしまう女の子と付き合うのはやめておいたほうがいいですよ。記念すべき最初の彼女があんなんじゃ、ネーサンが気の毒でなりません。