「好きでもないくせに」のネタバレと感想

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若者の男女が持つセックスに対する複雑な感情を描いた青春恋愛ドラマ。脚本は良く、筋書きやセリフはいいものの演技のレベルが低く、全体の質を落としている、もったいない作品です。44点(100点満点)

好きでもないくせにのあらすじ

昼はモデル、夜はキャバクラ嬢として働く琴子(璃子)は、ある日、合コンでモデルの陸(根岸拓哉)に、一瞬で心を奪われてしまう。しかし、酔った勢いでボーイの元気(川村亮介)と関係を持ってしまう。また好きでもない男とセックスをしたと落ち込む琴子。そんな中、陸から誘われた琴子は、そのまま彼の部屋に行きベッドインするものの、拒んでしまう。その理由は、思いを寄せる相手とはセックスができないというもので……。

シネマトゥデイより

好きでもないくせにの感想

「スキマスキ」の吉田浩太監督の恋愛ドラマで、「好きな相手とはセックスしたくない」というヒロインがなにかとやらかす話です。

吉田浩太監督は現在までにたくさんの作品を撮っていますが、若者のセックスを積極的に描いていますね。なかなか珍しいですよ。ここまでストレートにセックスをテーマにする日本人監督って。

それも手を抜かずにベッドシーンにもかなり力を入れているのが分かります。そのせいか見方によってはただのエロ映画としてジャンル分けされそうです。

その最大の原因はキャストの演技の下手さにあると僕は思います。おそらく予算が少ないからなのでしょうが、話は面白いのにキャストの演技が未熟なせいで、B級お色気映画の雰囲気が充満してしまっています。あの雰囲気さえぶち壊せたら、かなりいい映画になりそうなポテンシャルがあるんですけどね。

本作のストーリーは、キャバ嬢であり、売れないモデルの琴子(璃子)を中心に進んでいきます。琴子は押しに弱く、誰とでも簡単にやってしまいます。しかし本当に好きになった相手とはセックスがしたくない、という面倒臭い性格の持ち主で、自分の感情と行動の矛盾にいつも苦しみます。

そんな琴子のことをキャバクラでボーイをやっている元気が好きになってしまい、二人はあっけなく肉体関係を持ちますが、琴子が本気で好きなのは元気の大学の後輩であるイケメンでモデルの陸(根岸拓哉)の方です。

琴子をめぐってそれまで仲の良かった元気と陸の友情に亀裂が入り、同時にいつも女を簡単に落とせるはずの陸が頑なにセックスを拒む琴子にプライドを傷つけられていく、というのがあらすじです。

簡単にいえば、若者特有の恋愛におけるプライドや価値観を描いた物語ですね。男女の熾烈な競争の中で様々な思惑や自意識が入り混じり、自分に素直になれない、というありがちな状況を作り出しています。

実際いますよね、このヒロインような女の子って。軽いんだか、固いんだか分からなくて、セックスは好きだし、やりたいんだけど、好きじゃない人なら後腐れがないからいいけれど、好きな人だと怖くてできないという思考回路の持ち主。

面白いのは琴子が自分の口から「セックスしてしまったらそれで終わりになるじゃん。一度やったら私に飽きて、後は捨てられるだけじゃん」と言ってしまうところですね。

つまり自分にはセックスしか価値がないって認めてしまってるんですよ。あの自信のなさと、自分に対する評価の低さがすごく日本の若者っぽくてリアルです。

やりたいだけの男が実際にたくさんいるから、自己防衛本能が働くのももちろんあるでしょう。だとしても自分で言っちゃダメでしょ。

それにしても男も女もなんでもっと自分の感情に素直にならないんですかね。あれが20代前半だからまだ許せるけど、30過ぎて「私、好きな人とはできないの」なんて言ってたら、ただの気持ち悪い奴だからね。そういう女は、男に飽きられるから捨てられるんじゃなくて、面倒臭いから捨てられるんだってことを早めに気づいたほうがいいです。

この映画の視聴者のほとんどはおそらくヌードシーン目的の男性視聴者でしょうが、むしろ女性にこそ見てもらいたい映画ですね。これを見て「あ、これ私のことだ」って思ったら厳重注意ですよ。

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