大停電の夜に

50点(100点満点)

ストーリー
クリスマス・イヴの夜、東京は突如大停電に見舞われる。エレベーター内に閉じ込められた女とホテルマン。電車内で産気づいた女。乳がんの摘出手術を明日に控える少女。実の母親に初めて会いに行く男。夫の不倫に悩み、離婚を考えている妻。自分が経営するジャズバーを畳もうと決意した元ベーシスト。やがてそれぞれが引き寄せられるかのように聖なる夜を過ごすためにジャズバーに集ってくる。

感想
東京を舞台にした群像劇。映像よし、構成よし、セリフちょっとさむい、つまるところあともう一歩で名作になる可能性を持った惜しい映画。大地震とかではなく大停電という平和なアクシデントを軸にちょっと切ないストーリーを次々に展開させているのがいい。安っぽい感じがなかったし、かといってヘリコプターで夜景を映しまくるといった、ハリウッド的な金の無駄使いもしていない。途中でダレることもなく全体的にまとまりがあって、しっかりとした娯楽映画になっている。

文句を付けるとしたら、無関係なはずの登場人物たちがあまりにもつながりすぎているという点ですね。男が愛人とホテルで会って別れを告げ、その後実の母親の顔を見に行ったかと思えば、最後の最後に愛人、母親の夫、男の妻がこぞって同じバーに行くなんていう偶然は、人口1200万人を超える大都会ではまずあり得ませんね。そうかと思えば、乳がんを患った女の子と少年が他のどの登場人物とも全くからまないといった具合に多少登場人物同士のシーンの割り当てがアンバランスでした。

また、人によってはこの映画を見て「うわあ、恥ずかしい。サブー」と思うようなセリフが結構あるんじゃないかと思います。ロマンチックなのは嫌いじゃないのでそれほどアレルギー反応は出なかったけれど、恥ずかしくて見られないという人がいてもなんとなく理解できますね。日本映画は普段日本人が口にしないような臭いセリフが多く、ときとして映画自体を台無しにしかねないのでロマンチストの監督さんたちにはくれぐれも注意してもらいたいものです。

最後の締めくくりのオチなんかを見ても、この監督も相当なロマンチストであることはまず間違いなく、恋人の誕生日にはプレゼントを普通に手渡すのを嫌う種類の男ですね。家で食事をしていると、「冷蔵庫の中に銀紙に包まれた皿があるんだけど、それ出してくれない」とかなんとかいって、恋人がそれを出すと中からラスベガス行きの航空券が出てきたりする。驚いて大喜びしている恋人の顔を見て、得意気になってシメシメと思うタイプ。こういう人間に無理なく付き合える人が日本にはどれだけいるのか、というのが「大停電の夜に」のような映画が成功するかどうかの鍵となってくるでしょう。

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