
実際に起きた出来事はショッキングだし、悲しいことだけど、この作品がつまらないのはまぎれもない事実。映画としては駄作の部類に入ります。25点
ヒンド・ラジャブの声のあらすじ
2024年1月29日。パレスチナの人道支援組織、赤新月社のボランティアチームに緊急通報が入る。ガザで車の中に閉じ込められた6歳の少女が銃撃を受けているといって助けを求めてきたのだ。少女の名前は、ヒンド・ラジャブ。彼女を電話につなぎ留めながら救急車を現場に向かわせるため、ボランティアチームはできる限りのことを尽くすも、銃撃戦の現場に救援を送ることは容易ではなかった。
ヒンド・ラジャブの声のキャスト

- サジャ・キラニ
- モタズ・マルヒース
- クララ・フーリ
- アメル・レヘル
ヒンド・ラジャブの声の感想と評価

第82回ヴェネチア映画祭で銀獅子賞を含む驚異の8冠を達成し、アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートした、実話ベースの物語。実際の音声と映像をフィクションとつなぎ合わせた作品で社会的意義はあるものの、映画としてははっきり言って面白くないです。
世間に分かりやすく、あの日、あのときに起こった事件を伝えたという部分については評価に値するでしょう。でも本当にそれだけです。
全体の9割は、電話オペレーターのオフィスで展開し、電話のやり取りに終始するタイプの話で、特に新しい表現方法ではないです。「ギルティ」もそうだし「ザ・コール 緊急通報指令室」も「オン・ザ・ハイウェイ」もそうでしたよね。
この手の映画の最大の問題点は絵が変わらないことにあります。内容はどうあれ人が電話で話しているところを30分も1時間も見せられるのってまあ退屈なんですよ。他人が電話をしている姿をまじまじと観察していらないでしょ?
電話の向こうの状況は6歳の少女が、イスラエル軍の銃撃を受けて車から身動きが取れずにいるという絶望的な緊急事態です。それはそれでショッキングだし、やるせないし、悲しい状況なんですが、少女側の映像は一切ないので現場で起きていることは想像するしかないんです。別に映像で表現しようと思えばできるのにしないんですよ。なんで?
少女が主人公なら少女を見せないと。誰がオペレーターのあたふたしているところが見たいよ。おっさん、おばさんの顔芸をずっと見ることになるのがきついんですよね。また、オペレーターたちが感情的すぎて、本当にこんなだったのかなあという眉唾物なところもあります。
いくらボランティアとはいえ緊急オペレーターって冷静に緊急事態に対処しないといけないんじゃないの? 普段からみんなあんな感じに泣いたり、叫んだりしながら働いているの? 絶対に体も心ももたないだろ。
もちろん涙を流すこともあるでしょうし、仲間と口論になることもあるでしょう。でもあいつら最初の5分ぐらいからもう取り乱してたじゃん。せめて終わってからじゃない?
終始、登場人物たちが感情的すぎて嘘っぽさが増し増しだったのと、これを感動ポルノとして捉えると、ヒンド・ラジャブの肉声を使ったこと自体も、その材料にすぎないと考えられなくもないし、結構倫理的にグレー、あるいはアウトなんじゃないかなあという気もします。ヒンド・ラジャブの母親が制作に協力し、肉声を使うことにも同意したらしいけど、観客を泣かせるための映画的効果に利用されただけと言えなくもないですよね。
ヒンド・ラジャブのこと、ヒンド・ラジャブの事件を風化させないため、イスラエルによる虐殺を世に伝えるためという意図とは裏腹に、ヒンド本人を映さず、「声」だけを出演させたことでヒンド自身が「殺された子供の声」という象徴になってしまった印象を受けました。
センセーショナルな銃撃戦や映像をあえて避けてるのに、オフィス内の様子は常に修羅場を演出していて、センセーショナルにしようとしている矛盾もひっかかります。結局のところ「ヒンドの実録音声」という武器に頼りすぎてるんですよ。
後半になるほど同じ展開が繰り返されるだけになっていくのが残念で、最大の見どころはエンディングの実際の映像になっています。その映像も5分ぐらいしかないから、それだけ見ればいいかなというのが正直なところです。
こんな作品でベネチア映画祭だアカデミー賞だなんだ言ってたらダメでしょ。「少女が可哀想」、「イスラエルがひどい」っていうので賞をあげちゃダメだろ。それと作品の良し悪しとは関係ないんだから。こういう映画を泣きながら語る映画批評家とかも嫌いです。そもそもそういう奴は事件や政治の話をしていて、作品の話をしてないんだよね。



コメント
こんばんは。
今日観てきました。
この設定で90分持たせるには監督が力不足でしたね。
途中何度かウトウトしました。
90分はきついですよね