主演がトム・クルーズでもキアヌ・リーブスでもなんら変化をもたらさないであろう、内容は特にどうでもいい映画。ブラッド・ピットは今こそ路線変更しないと悲惨な目に遭うでしょう。18点
F1エフワンのあらすじ
かつてF1の天才と呼ばれたアメリカ人のベテランレーサー、ソニー・ヘイズは、今では各地を転々とする“雇われドライバー”として孤独に生きている。1990年代にはロータスでF1に参戦していたが、1993年のスペイングランプリでの大事故で重傷を負い、F1キャリアは幕を閉じた。その後、ギャンブルにのめり込み、3度の結婚も破綻する。だが、デイトナ24時間レースで優勝したことをきっかけに、かつてのチームメイトで現在はAPXGP F1チームのオーナーであるルーベン・セルバンテスから、空いているシートでのテスト走行を打診される。
ルーベンは、チームがコンストラクターズランキング最下位に沈む中、残り9戦のうち1戦でも勝てなければ、投資家たちがチームを売却するつもりだと明かす。ソニーは当初断るが、ルーベンに「勝てばお前は“世界最高”になれる」と説得され、渋々受け入れる。
シルバーストンでのテスト走行で、ソニーはチーム代表のカスパー・スモリンスキー、技術責任者のケイト・マッケナ、そして野心的なイギリス人新人ドライバー、ジョシュア・ピアースと出会う。実はこれまでに7人のドライバーがこのオファーを断っていた。ジョシュアは傲慢だが、チーム売却で自分が切られるのではと不安を抱き、仲間に勝つことで投資家にアピールしようとしている。
現代のF1マシンに苦戦しつつも、ソニーはすぐにAPXGPマシンの弱点を見抜き、限界まで攻めた結果クラッシュしてしまう。しかし、その才能を見込んだカスパーは彼と契約する。
イギリスGPでソニーは復帰するが、遅いピットストップが仇となり、APXGPの2人は最下位に沈む。チームの指示を無視してジョシュアを前に出さなかったソニーとジョシュアは接触事故を起こす。ハンガリーGPでは、ソニーがF1の規則を逆手に取り、他車と接触してセーフティカーを出すことでジョシュアを中団まで引き上げ、チームに初のポイントをもたらす。これを機に、ジョシュアはソニーの“昔ながらの”トレーニング方法を取り入れ始め、ソニーもジョシュアのシミュレーター練習を参考にしつつ、ケイトに「戦えるマシン」へと改良を依頼する。
雨が降るイタリアGPでは、ソニーがジョシュアにスリックタイヤのまま走るよう進言し、その賭けに出たジョシュアは2位に浮上する。しかし、ソニーの「直線まで待て」という忠告を無視してマックス・フェルスタッペンを抜こうとしたジョシュアは、パラボリカで縁石に乗り上げ、車ごとバリアを越えて炎に包まれる。ソニーが救出し、ジョシュアは3戦を欠場。ソニーは着実にポイントを重ねるが、ジョシュアは事故をソニーのせいだと責め、復帰後は打倒ソニーを誓う。
復帰戦のベルギーGPでは、ジョシュアの強引な走行がソニーとの接触を引き起こし、ソニーはリタイア。怒り心頭のソニーに対し、ケイトは“ラスベガスGPで勝った者が優遇される”というポーカー勝負を提案。ジョシュアが勝つが、実はソニーがあえて勝ちを譲っていたことが明かされる。ケイトはそれに感銘を受け、ソニーを部屋に誘い、二人は夜を共にする。
その直後、ルーベンが駆け込み、匿名の密告によりケイトが違法にマシン改良を行ったとの疑惑がFIAに届けられたと報告。ケイトは否定するが、FIAはアップグレードの撤去を命じる。レース中、怒りのソニーは再びクラッシュ。ルーベンは医師からソニーの1993年の事故による後遺症が明らかになったことを受け、安全のため彼を解雇する。
その後、取締役のピーター・バニングが、ソニーの起用と密告が自分の仕組んだものだったと明かす。目的はルーベンを解任し、チームを売却すること。さらに、売却後にソニーをチーム代表にするという提案を持ちかける。
シーズン最終戦・アブダビGPを前に、ジョシュアは自分の事故はソニーのせいではなかったと認め、より責任あるドライバーになると誓う。ソニーはルーベンを説得してレース出場を許可され、ピーターの申し出を断る。FIAもケイトの無実を認め、APXGPは改良パーツの使用を再び許される。そして満を持してソニーとジョシュアはレースに臨むのだった。
F1エフワンのキャスト
- ブラッド・ピット
- ダムソン・イドリス
- ケリー・コンドン
- ハビエル・バルデム
- トビアス・メンジーズ
F1エフワンの感想と評価
「トップガン・マーヴェリック」のジョセフ・コシンスキー監督による、年老いたベテランレーサーがF1に復帰して大活躍する、リアリティーがなさすぎるおバカ映画。車好きだけがなんとか楽しめる代物です。
ストーリーは、年齢不詳の天才ベテランドライバーがかつての友人の勧めでF1に復帰し、周囲の批判を跳ね返して若者たちとの勝負の世界に入っていき、経験と知識と大人の色気で勝利を掴んでいくみたいな感じで、どこにも説得力と現実味がありません。
レーシングカーの運転なんてそれこそ一瞬の反射神経や判断力が勝負を左右するのに、なんで60のおっさんが出れるんだよっていうのがまず疑問で、たとえ物語の中ではブラピがもうちょっと若い設定だとしても50代後半だとしてもまあ無理でしょ。せめて40代の俳優起用しろよ。
60代のブラピを使うんなら、ちゃんと年齢相当のエピソードを入れて、サーキットを逆走したり、突然道の真ん中で停車したりしないと。それとほかの車にぶつけて、「ブレーキとアクセルを踏み間違えました」とか言わないと。ベテランなのにストイックに若さを保ってるアピールがひどいんですよ。
ずばりターゲットは、ワイルドスピードシリーズが好きな層とブラッド・ピットファンでしょう。ストーリーは幼稚で、演出は「トップガン・マーヴェリック」と全く同じです。つまりいい歳したおっさんがやたらと格好つけるだけってこと。ノリは「ロッキー・ザ・ファイナル」みたいですね。
正直、トップガンとこの映画の主演を交換しても誰も気づかないんじゃないかというぐらい同じ映画を見ているのかという錯覚に陥りました。
わざとらしくブラッドピットを上半身裸にして筋肉を見せたり、チーム内の女性スタッフと恋愛させたり、よくもまあこんな恥ずかしい展開を作れたなあ。起承転結の全てがベタすぎて、こんなに予想通りに進んでいくストーリーも珍しいです。
なぜかF1レーサー二人がレースの前日にポーカーで、翌日のメインレーサーを決めようぜとか言って勝負しだしたり、なによりバーで前日にお酒飲んだりしてるからね。挙句の果てにはお酒飲んだ後、ホテルの部屋に行って、女性スタッフと寝たりして、もうプロ意識低さが最高でした。
まだ見れるのがF1のレースシーンでしょうか。なかなかスピード感と迫力がありました。でもほんとそれだけで、この中身空っぽストーリーを3時間見せるという狂気に誰も反対しなかったことに開いた口が塞がりません。
若手が育ってないっていうこともあるけど、それにしてもトム・クルーズしかり、ブラピしかり、60代のおじさんたちが未だにイケメン路線で売っているのは見るに堪えないものがありますね。完全に路線を間違えてしまったパターンで、今後80代になってもイーストウッド並みにタフで格好いいお爺ちゃんを演じるしか選択肢はなくなるでしょう。その滑稽さといったらないからね。ずっと格好よくなければならないってある意味呪縛だと思うんですよ。可哀想に。
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