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映画愛人/ラマンのネタバレと感想

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未成年の学生がエロビデオとして借りるべきエロティック恋愛映画。そして大人になってから見たら実はものすごい傑作だったと気づく時間差リバウンドムービー。92点(100点満点)

愛人/ラマンのあらすじ

1920年代。フランス領下のインドシナに暮らす貧しいフランス人の少女。だが、富豪の中国系青年に目を付けられたときから、彼女の家庭には大金が転がり込んでくるようになった……。M・デュラスの自伝的ベストセラー小説を基に、自由を求めようとする青年と、彼の愛人となった少女の淡い交歓を描いたドラマ。

シネマトゥディより

読者のロッテンさんのリクエストで旧作を紹介します。ありがとうございました。

愛人/ラマンの感想

十年に一度のペースで見たら自分の成長が計れること間違いなしの映画で様々な年代の人に観賞してもらいたいです。あまりにも感情移入したのか観賞後、自分が失恋したみたいな切なさとやるせなさが残りました。

昔、好きだった映画を大人になってから見たら案外くだらなかった、という映画は結構あります。ジブリ映画「耳をすませば」を見て、何も感じなくなったときのあの寂しさがいまだに忘れられません。それも僕の場合、かなり早くその時期が来たのでまだ自分は若いのになんでだろう、という重い喪失感に苦しみました。

しかしその一方で昔なんとも思わなかった映画が傑作だったことに気づく、なんてことが自分に起こるなんてちょっと信じられないですね。駄作はいつ見ても駄作だと思っていたんで。

この映画を駄作と決めつけていたのは、そもそもこの映画を見る自分の姿勢がいけなかったんです。スケベな映画としてしか見たことがなかったために、かれこれ3、4回は見ているはずなのにベッドシーン以外はまったく記憶にありませんでした。まともに見たのは今回が初めてといってもいいです。

中学生の頃から僕はビデオレンタルに頻繁に通っていたのですが、アダルトものは年齢制限で借りられないので、普通の映画数本とこの手のエロティックな映画を一本選んで、何食わぬ顔をしてカウンターを通りました。そしてムラムラした気持ちで自転車をこいで、家に猛スピードで帰った記憶があります。

あれから長い年月が過ぎて、今改めて見ると色々な発見がありました。傑作は傑作でも文句をつけたくなる箇所も多々あります。なんでフランス人が家族と家で英語を喋ってるんだよとかね。一番気になったのは主人公のフランス人少女が上品すぎる点ですね。

少女を演じたジェーン・マーチは14歳からモデルをやっていたそうなので、歩き方や振る舞いがモデルのそれになっていました。

もっとギスギスセカセカしていて落ち着きがない少女だったらリアリティーが出ていたでしょう。しかしその部分にリアリティーを出してしまうと、逆に話が面白くなくなっていたでしょうね。あの落ち着きはらった少女の成熟さと魔性の魅力に世の男たちはやられたに違いないからです。

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それにしてもなんてませた15歳の少女なんでしょうか。中国人青年とフェリーで出会い、すぐに車に乗せてもらっちゃうなんて軽すぎやしませんか。

見知らぬ男と車内で二人だけになっても表情ひとつ変えず、笑みを浮かべるあの余裕。中国人青年の左手の薬指に指輪があることをまず確認するあの打算的な習性。次に会った時に自分から車窓越しにキスしてみせるあの挑発。恐ろしいぃ。あんな15歳いるかなぁ。

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それに対して、中国人青年はだらしなかったですね。彼は遊び人風なくせに知り合ったばかりですぐに惚れちゃうわ、二人で家に行ったときにはいきなり「君を愛するのが怖い」とか気持ちを打ち明けちゃってましたね。おっさんが15歳の少女に告白しちゃってるよって笑ってしまいました。マジになってどうすんだよお前が。

いざやるときになったら男の方がやっぱりこんなことできないよ、とか言い出すし、逆に少女の方がリードしてあげたりして、性別、年齢共にあの瞬間スイッチしていました。少女が完全に恋の主導権を握っていましたね。

そしてあの「スイッチ」こそがこの映画を成功に導いた最高の演出だと僕は思います。なぜならそうすることで視聴者に最後までこの物語はおっさんの片思いの話なんだよ、とインプットできるからです。

そのうえでラストに少女の涙を持ってくる。実は愛していたのは少女もまた同じだった。それに気付いたのは船の中で悲しいピアノの音色をふと聞いたとき。失くした愛の大きさに気付き少女は涙が止まらなくなる、という最高の流れでした。

ずっと無表情だった少女が最後に泣いてくれてとても嬉しかったです。現実社会ではこの手の女の子は男と別れてもケロっとしているでしょう。もしかしたら原作では違った終わり方だったのかもしれません。いつも映画にはリアリティーを求めてしまうんですが、不思議とこの映画はそんな習慣も蹴散らしました。やられたぁぁ。

観賞後、中国人男性を演じたレオン・カーフェイとフランス人女性を演じたジェーン・マーチ(実際はイギリス人です)の現在が気になってしまいました。

二人ともまだ芝居の世界で活躍しているようで、またとてもいい感じに歳をとっていました。二人ともカッコいいですね。
jane

今もカッコいい二人ですが、本当に一番タイミングのいい時期に「愛人/ラマン」を撮れたんだなあ、という気がします。それにしても今、この二人はどうしてるんだろう、なんて思わす映画はそうないですね。

コメント

  1. mamarin より:

    これ観ました。かなり前です。私は好きな映画でしたよ。

    • 映画男 より:

      mamarinさん
      コメントありがとうございます。ぜひもう一度見てみてください。また違った印象を受けると思います。僕の場合はそうでした。

  2. ロッテン より:

    批評ありがとうございます。高得点にびっくりです。
    うれしくて自分が監督したかのような錯覚を起こしました。
    主人公の母親の下品に笑うところもいいですよね。
    今回も楽しく拝見させて頂きました。またリクエストします。

    • 映画男 より:

      ロッテンさん
      コメントありがとうございます。最初は80点台をつけたのですが、後からじわじわ来て、もうあれから何度も見直してるので、これはただの作品じゃないなあ、ということで92点にさせていただきました。いまだに余韻が残って、今日もまた鑑賞してしまうかもしれません。それにしてもせつない作品ですよね。

  3. jugon より:

    映画男さん、こんにちは。

    この映画、封切りの時に観ました・・・何年くらい前かしら?
    少女役のジェーン・マーチはモデルをしていたのですね?ほっそりとした体系と歩き方が印象的でした。
    ストーリーが淡々と進んだイメージがあり、とてもノスタルジックで、ラストのピアノ・ソナタが物悲しくて・・・あの頃はそんな空気が好きでした。
    本は年齢毎に読み返すと良いと言いますが、映画もですね!
    借りたビデオを持って大急ぎで家へ走る映画男さん、なんだか可愛い気がするのは、私が年を取った証拠ですね(^^)

    • 映画男 より:

      jugonさん
      コメントありがとうございます。これはまさにジョーン・マーチのおかげで成功した映画ですね。あの歩き方は確かに印象的でしたね。
      映画もときどき昔の見直すと、新しい発見があっていいですね。大急ぎで家に帰るのは大人になった今でも変わりません。成長しないみたいです。

  4. いき より:

    とってもエロい、、と聞いていたのでスケベ心から見てしまったのに、お気に入りの映画のひとつになっています。現在欧州在住ですが、その前に東南アジアにも長くすんでいました。レオンカーフェィ演じる中国男性のような、育ちがよくておくてでお人よしな中国人男性、けっこういました。どちらかというと肉食系白人が好きだった私は、決して彼らと友人以上の関係にはなりませんでしたが、ほんとにいいやつらだったよなと思い出す人は多く今では感謝の気持ちでいっぱいです。また近々見てみたい作品です。

    • 映画男 より:

      いきさん
      コメントありがとうございます。東南アジアに、本当にあんなに育ちのいい中国人男性がいるんですね。でも昔のあの時代に人種の壁を越えた大恋愛をした原作者M・デュラスはすごいですね。ぜひまたこの映画を見てみてください。

  5. Romeo より:

    「愛人/ラマン」の感想で、ヒロインの少女を15才としておられます。
    しかし、映画の中で少女ははっきりと「自分は17才」と言っています。
    またナレーションでも「青年は少女より15才年上の32才」といっています。
    さらに会話で「私は第11学年」というところもあります。
    1929年のベトナムでの学校制度がよく分かりません。
    が、今の日本に当てはめれば高校2年生ではないでしょうか。
    これも、ヒロイン17才説を証明しているように思います。
    18才が大人ならば、17才は大人になる直前です。
    15才とはかなり印象が違うような気がします。

    • 映画男 より:

      Romeoさん

      まずこれを読んでもらっていいですか
      https://en.wikipedia.org/wiki/The_Lover_(film)

      これを読んでもらったら分かると思いますが、彼女が車の中で「17歳」といったのは自分が男に若すぎると思われたくないからサバを読んだんじゃないでしょうか。同じく男が32歳といったのも大人に見られたいという理由で背伸びをして言ったものでお互いに嘘を付いたというシーンになります。その辺の細かい点は日本語訳だとニュアンスが変わって訳されている可能性もあります。

      物語の冒頭でまず最初に「l’m 15 1/2. lt’s the crossing of a ferry on the Mekong. 私は15歳半で、メコン川をフェリーで渡っている」と言っていますよ。最初15歳で、それからどれだけ月日が経ったのかははっきり語っていないので、中盤から終盤にかけて17歳になった可能性はありますが。

  6. tobo より:

    私はあの密会の部屋の入り口にいた老人に、あんな声やこんな声が聞こえちゃってるよね~ってそんな事を恥ずかしいなって思ってましたね。あの部屋の光と影がきれいでしたね。しかし~幼くても「女」なんですよね。いろんな意味で。

    • 映画男 より:

      部屋の入り口に老人がいたことは気づきませんでした。本当に女性は子供の頃から死ぬまでずっと女ですよね。

  7. sh より:

    公開当時に映画館で観ました。
    これまで観た恋愛映画の中で3本の指に入るぐらい好きな映画(因みにあとの2本は「ラストコーション」と「隣の女」)なので、本文もコメントも楽しく読ませて頂きました。
    ただ、ラストでデュラスを彷彿させる女性作家の後ろ姿が映るシーンに、ちょっとひいてしまったことを覚えています。映画的には必要なシーンだったと思いますけど、個人的にはあんまり見たくなかったような気が…。
    この映画の写真集も持っているのですが、撮影の合間にレオン カーフェイがジェーン マーチを笑わせてる写真があって、なかなか微笑ましい感じでした。
    カーフェイには一度だけ握手してもらったことがあります。実物も素敵な方でしたよ。

    • 映画男 より:

      shさん

      コメントありがとうございます。確かにわざわざお婆ちゃんの姿は見たくなかったですね。今だに昔のこの作品の反響が大きくてびっくりしています。

  8. はな より:

    こんにちは。この映画のレビューからきました。観たすぐ後よりしばらくたってから好きになった映画です。フランスの映画って観た後はつまらないんですが、時間が経つとじわっと余韻を残される映画が多い印象です。。

  9. はじめましてお邪魔します より:

    こんにちは。 フランス子女は昔から、恋愛観は大人の感性で育てられるんですよね。「深い熱愛ほど流されて狂ってはいけない」そうで、日本人とは恋愛観がいろいろ違いすぎて、「おいおい15才でこれ!?」と驚くのもごもっともです。ナポレオン時代に複数愛人不倫文化を大陸中に広めた「愛の国」ですからねえ(恋愛ベタな自分には恐ろしい国だ…)。
    その観点からみると、あの娘はこれ以上なくフランスっ娘で、まだ15才だからこそ涙がこぼれたのだともいえるのかも。この時代は思春期が今よりもっと早く短かったので、15才という年齢が絶妙です。
    独断な感想乱文、失礼しました。

    • 映画男 より:

      コメントありがとうございます。15歳って確かに微妙な年齢ですよね。でもあそこで泣いてくれて男の僕としては嬉しかったです。

  10. ラリッサ より:

    映画男さんの文章、すごくすごく面白かったです。そおそお、若い頃はエロいシーンばかりが心に残って。少し大人になって観たときには、最後の船上で、泣くシーンで自分もこころが痛くて、声をこぼしながら泣いてしまったなーって。
    私も、耳をすませばにときめいてたけど、知らないうちに卒業してるんだろーな。そんな自分を寂しく感じてる方がいるんですね。
    ビデオしかないので、今回、ラマンのDVDを買いました。楽しみです。
    みなさんのコメントもいいですね。深い熱愛へほど、流されて狂ってはいけない。ほんとに、ほんとにそうですね。

    • 映画男 より:

      ラリッサさん

      コメントありがとうございます。この映画は色んな感情を呼び起こしてくれますよね。

  11. るいやま より:

    愛人ラマンという作品のことを思い出して検索してて、ここにたどり着きました。
    私は原作の小説を高校生のときに買って読んだんですが、切ないですよねー…
    20年ぶりに、DVD借りて観たくなりました。

    • 映画男 より:

      久しぶりに見ると違った見方ができるとおもいますので、ぜひ見てみてください

  12. ゆうが より:

    この映画、若い頃に友達グループで、好奇心とノリで鑑賞し、みんなげんなりと無言で映画館をあとにした思い出が、、笑
    気まずい空気の中、実はふしぎな感動を抱いた私。何よりもあの音楽…!!!!!!!
    出会った日の車中で指をからませるシーン、あの不思議で胸高鳴るせつない音楽がなければ、単なる下世話な関係のはじまりのようになってしまったと思います。少女の残酷な冷たさ、性を知ってもなお自分自身の奥深くに眠るものに気づいていない未熟さ、真っ直ぐで無鉄砲な冒険、それらが彼に味わわせた苦痛、じれったさ、あこがれ。人は愛する程にすれ違いに身悶えするものですが、それがあまりにも哀しい描写になっていました。あれから30年くらい経ったのかな。。説明のできない気持ちでやるせなかった私も、人生いろいろを味わい、甘酸っぱく思い返せるようになりました。今でもあのメロディーがよみがえります。

  13. ちい より:

    私も前の彼も結婚したかったけど、泣く泣く別れたのを思い出す。
    これほど、人を好きになったのは今までもない。
    映画男さんはそういう大恋愛ありますか?

    • 映画男 より:

      僕か、相手が国に帰らないといけなくなって別れたことは何度かあります。別れ方がドラマチックであればあるほど、ああ、あのときは良かったなあ、なんて思ってしまいますよね。無論、自分が美化してるだけの可能性も高いですが。

  14. cinéma より:

    最初にマルグリット・デュラスの『ラ・マン』を読んでいて内容は知っていたのですが、映画をDVDで観てかなり泣きました。小説の世界が映画でそのまま反映されていて美しかった。
    もう引き返せない場所に立ったとき、最後の最後に自分の中の本当の気持ちに気がつく。(本当はとうにわかっていて蓋を閉めてしまっていたんだろうけど。)音楽の調べとともに少女の思いも溢れていく、素敵な場面ですね。色んな思いが複雑に絡んで、その後しばらく深〜く引き摺りました。今風に言えばラマンロスってやつでしょうか?
    胸の奥底のの引き出しにしまってある映画。