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ONODA一万夜を越えては長いわりに中身薄い!ネタバレ

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この記事は 約5 分で読めます。

題材は素晴らしいけど、内容はそれほど良くない戦争生存ドラマ。どんな状況でもとにかく生き延びるを体現した男の話です。40点

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ONODA 一万夜を越えてのあらすじ

小野田寛郎は、秘密戦の特殊訓練を受けた、いわばスパイだった。そんな彼はフィリピンのルバング島でゲリラ戦を展開するように命令を受ける。しかしルバング島では仲間が次々と倒れ、やがて小野田はたった一人ジャングルで残されてしまう。

戦争は終わったとは噂には聞いていたが、彼はそれも信じずに忠実に命令を遂行する日々を送った。気つくと約30年の月日が流れる。そんなとき日本からある旅行者の青年が小野田のもとにやってくる。

ONODA 一万夜を越えてのキャスト

  • 遠藤雄弥
  • 津田寛治
  • 仲野太賀
  • 松浦祐也
  • 千葉哲也
  • カトウシンスケ
  • 井之脇海
  • 嶋田久作
  • イッセー尾形

ONODA 一万夜を越えての感想と評価

「汚れたダイヤモンド」のアルチュール・アラリ監督による、戦後たった一人でフィリピンのジャングルで戦い続けた日本兵、小野田寛郎さんの人生をつづった生存劇。海外スタッフ、日本人キャストによる実録ドラマです。

小野田さんが生きているときから日本が世界に誇るサバイバーの彼の映画をなんで日本の監督は撮らないんだ、と僕は言ってたんですが、案の定外国人に持ってかれましたね。漫画はすぐ映画化するくせに、こんな素晴らしいネタを長年誰も拾わずに指をくわえている日本の映画業界の人たちのセンスを疑います。

戦争が続いていると信じ、文明からかけ離れたジャングルで30年間も暮らした男の話なんて映画にしてもいいし、ドラマシリーズにしてもいいし、なんにでもできたことでしょう。今まで映像化されなかったのが逆に不思議なぐらいです。

そんな待望の本作ですが、蓋を開けて見るとエンタメ度少な目でスローなフランス映画のテンポで進む長尺映画になっていました。今のご時世に上映時間約3時間ですよ。

物語は、主人公がフィリピンに配属されてからそこを出るまでの間の出来事をつづっていくんですが、あの内容なら2時間にできたし、もっと詳細を描きたいならドラマシリーズにするべきでしたね。3時間かけるなら日本に帰国した後のことも描けそうだし、もっというなら小野田さんが日本で飛び出し、ブラジルに移民した後の出来事も見たかったです。

フランス人監督だからか少ない説明で要所要所をゆっくりかつ曖昧に描いているような印象があり、それゆえにエンタメ性に欠き、予算も限られていたのかセット丸出しみたいなシーンもちらほらあって、衣装もいかにも衣装っぽくてリアリティーはそれほど感じられませんでした。

もっと描くべきエピソードたくさんありそうなもんだけど、基本的には仲間が徐々に減っていってやがて一人になる、という過程にフォーカスしていますね。

これで銃撃戦もリアルにしてアクション要素も加えて、生きるか死ぬかみたいな緊張感があったら面白かったんでしょうが、どこか昔の邦画のような懐かしくかつ安っぽい映像になっていましたね。

褒めるべきところといえばキャスティングでしょうか。スタッフが外国人だけに日本のトレンディー俳優やジャニーズ系とかではなく、演技を見て選んだんだろうなあという味のある俳優たちがほとんどでした。特にイッセー尾形がいいですね。ほかの脇役の人たちも地味でいいし、がりがりに痩せて撮影に臨んでいます。

ストーリーはどうでしょうかね。ああじゃない、こうじゃないっていう突っ込みどころはあるかもしれません。僕が気になったのは小野田さんがフィリピン人女性を撃つシーンですかね。

小野田さんの本を何冊も読んだんですが、女子供には絶対手を出さなかったって言ってて、男同士は昔から殺し合いをしてきた歴史があるから仕方ないけど、いくら戦争でも女子供を殺すのは違うっていう気持ちがあったようです。なのでそういう彼の信念みたいな部分は映画でも描いてもらいたかったですね。まあ、実際はどうだったかは分からないですけどね。

ただ、フィリピンの人々からすると戦争が終わったのにいつまでも居座って、畑は荒らすし、地元住人は殺すし、とんでもない奴だったと思いますよ。それを当時の大統領は小野田さんの軍人魂に感服して全部の罪を許してくれたっていうんだからすごい話ですよね。これがアメリカだったら間違いなく死刑か、無期懲役かにはなってるでしょう。そういう意味でも小野田さんはただのサバイバーじゃなくて、運にも恵まれてるんですよね。

強靭な体、サバイバルの知識、判断力、忍耐、度胸、運など様々な要素が備わってこそあの過酷な環境を生き延びれたのでしょう。

生前ブラジルで小野田さんが講演会を開いたことがあって僕は世界のONODAを一目見たくてそれに参加しました。当時すでに80歳を超えていた小野田さんは講演会中一度も席に座ろうとせず、ずっと立ったまま話していました。姿勢が良く、目つきは鋭く、なにかこう生き物として違うなあ、という気がしました。

確か彼は50歳を過ぎてからブラジルに移住し、牧場経営で成功したんですよね。牧場ではいつも銃を腰にぶら下げてたらしく強盗が入ってきたら、それをぶっ放して追っ払っていた、という話を聞いたことがあります。強い男はどこでも生きていけるってことですね。

コメント

  1. シャインマスカット より:

    今晩は。本作、ご覧になったんですね。私も、俳優陣の役作りは凄かったと思います。

    小野田さんのことはほぼ知らなかったので勉強になりました。「戦争は人を変える」恐ろしさは伝わりました。ただ本作だけを見て「そういう人だった」と考えるのは早計だとも思います。作品は必ず「脚色」や「フォーカス」や「カット」がありますしね。

    私も鑑賞後にこの方のことを調べましたが、ブラジルに移民されて牧場経営されていたとは驚きました。本当に、波乱万丈でドラマチックな人生を送られた方だったんですね。

    • 映画男 より:

      やっぱり映画で描けることは限られていますね。小野田さんが自分で書いている本がすごく面白いので、もし機会があれば読んでみてください

  2. もっちょ より:

    ・ひらいて
    ・神は見返りを求める
    ・この子は邪悪
    ・死刑にいたる病
    のレビューを伺いたいです!

  3. たやいょ より:

    映画男さんは、演技してます上手いでしょ的な津田寛治が大嫌いだったと記憶していますが、今回は気にならなかったのでしょうか?

    • 映画男 より:

      すごい、よく覚えてますね。確かにあの名演技してますよ的な態度が苦手なんですよ。でも本作はそれほど気になりませんでした。