スポンサーリンク

マードレス・闇に潜む声は実話から離れすぎてつまらない!ネタバレ感想

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
この記事は 約5 分で読めます。

詰めの甘いホラー映画。設定がいい加減すぎるし、なによりストーリーとオチが全然リンクしていかないのがダメですね。33点

スポンサーリンク

マードレス・闇に潜む声のあらすじ

時は1970年代、メキシコ人のベトとメキシコ系アメリカ人のディアナの二人は仕事のチャンスを掴むためにカリフォルニアに引っ越してくる。

ベトはアメリカに来てまだ5年しか経っていないにも関わらず、農園でマネージャーの仕事に就けたことで明るい未来が待っていると胸をときめかせていた。一方のディアナは一人目の赤ん坊を妊娠中で、息子の誕生を心待ちにしていた。

ところが周りはスペイン語を話すメキシコ人ばかりで、英語しか話せないディアナは孤立してしまう。また、引っ越してきてからすぐに肌に湿疹が出るようになり、体調を崩すことが多くなっていった。

そのうちディアナは農園で使われている農薬が健康に有害なのではないかと疑うようになる。そのことをベトに言っても、他の人に言っても誰も聞く耳をもってくれなかった。やがてディアナが出産予定の産院に入院すると、そこで驚愕の事実を知ることになる。

マードレス・闇に潜む声のキャスト

  • テノッチ・ウエルタ
  • アリアナ・ゲラ
  • イブリン・ゴンザレス

マードレス・闇に潜む声の感想と評価

ライアン・サラゴサ監督による、実話をひん曲げまくったホラー映画。不必要なエピソードばかりを加えて行ったせいで、肝心の本題や元ネタが台無しになってしまっているダメな企画です。

キャストは全員B級俳優で英語とスペイン語の使い分けがやたらとわざとらしく、実話からインスパイアされているのにリアリティーはゼロです。

元ネタとなっているのは、20世紀のアメリカの一部で推進されてきた優生学運動で、白人至上主義社会で実際に起こった残虐行為を指しています。残虐行為とはどういう行為なのかはネタバレになるのでもうちょっと後で解説しますね。

さて、その優生学運動を題材にしているのに対し、どういうわけかこの映画は心霊、呪い、幻覚、超常現象といった路線でストーリーを描いていきます。そのせいでテーマや題材から脱線しすぎて最後に収拾がつかなくなるんです。

最近、この手の実話系ホラーって多いですね。「死霊館・悪魔のせいなら無罪」しかり、「レリック」しかり、脚色というか、メタファーというか、ファンタジー化が行き過ぎて、現実の話をそのまま描けばいいものを安っぽいホラーのテンプレートにはめようとしては失敗するケースが続出しています。本作も完全にそのパターンでした。

正直、この元ネタなら社会ドラマ風に描いても十分にホラー映画になるんですよ。それぐらい恐ろしいことをやっていたんだから。それを恐怖の伝え方を完全に誤って、安っぽいホラーにしてしまったなあ、という印象を受けました。

カリフォルニアの田舎町に夫と引っ越してきたディアナは、家の庭で動物の目玉を見つけたり、かつて住んでいたテレサの亡霊を見たり、と不気味な出来事を次々と体験していきます。

さらに引っ越してきてから自分の体に湿疹ができていることに気づくと、今度は夫の農園で使われている農薬が体に猛毒なのではないかと疑うようになり、生まれてくる子供のためにも農薬の真相を突き止めようとします。

なんでも農薬は男性ではなく、女性ばかりに健康被害が及ぶんだそうです。言われてみればメキシコ人コミュニティーには著しく子供の数が少ないのが特徴で、それが何か農薬とリンクしているのではないかとディアナは疑うのです。

この時点で視聴者に対して、超自然現象と農薬の陰謀論の二つのミスリードを行っているんですよね。そのせいでお化け路線で行くのか陰謀路線で行くのか迷走しちゃっていて、どういうノリで見ていいか分からないから話についていけなくなるのです。

そしてあろうことか散々二つの可能性を平行して見せていきながら最後は全く関係ないオチを用意しているんですよ。実は超自然現象でも農薬でもなかったっていうね。

AかBのどっちでしょうかというチョイスを提示しておきながら、そのいずれでもなく、またCでもなければDでもない、実はZでしたみたいな飛びすぎたサプライズを持ってきちゃうんですよ。サプライズもなにもそんな話のつもりで見てないしっていうね。

それでラストは実話ベースの映画でお馴染みのテロップで全部説明しちゃうっていう手抜きのエンディングには拍子抜けしました。

マードレス・闇に潜む声のネタバレ

20世紀のアメリカの優生学運動で何が行われていたかというと、劣等な人種だとみなされていた移民たちは本人たちの合意なしに断種、つまり子供が産めなくなるように精管や卵管の切除手術を受けさせられていたんだそうです。その数なんと6万4000人。

そう、つまりディアナが感じていた違和感は、呪いでもお化けでもなければ農薬でもなく、病院施設が秘密裏で行っていた断種手術だったのです。

いやいや、むしろそのほうがお化けや陰謀なんかより全然恐ろしい話じゃないですか。それなのになんで物語の大部分を恐ろしくない方のエピソードにするのか分からないんですよ。

それに黒幕がはっきりしないのもダメですね。病院で最後にディアナの夫ベトの雇い主のトーマスが現れて、俺が黒幕だ的な振る舞いをするんですが、あいつそもそもゴリゴリのメキシコ系だしね。なんであいつが断種手術を自分のルーツのメキシコ人たちに推奨してるんだよ。あそこは白人じゃなきゃダメだろ。アメリカ生まれだからセーフとかって問題じゃないでしょ、優生学って。それならディアナも同じじゃん。

最後、赤ちゃんが生まれてめでたしめでたしみたいになっていたのも違和感しかなかったです。なんでまだあの家に住んでんだよ。普通出ていくだろ。旦那も同じ農園で働き続けてそうで怖いです。

人種差別系のオチにするんだったら、もっと夫婦が差別的な扱いを受ける伏線がないとダメですよね。あるとしたら店に「English Only 英語以外お断り」という張り紙が貼ってあるぐらいで、ほかにこれといったヒントもないからね。

コメント