スポンサーリンク

コレクティブ国家の嘘のネタバレ感想!汚職まみれの政府がひどい

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています
この記事は 約5 分で読めます。

大火事を発端に政府のボロが出て、国を揺るがすスキャンダルへと発展していった様子をつづった渾身の記録映画。世の中に絶望を覚える話ですが、映画としてはとても優秀な部類に入ります。77点

スポンサーリンク

コレクティブ国家の嘘のあらすじ

2015年、ルーマニアの首都ブカレストのナイトクラブ「コレクティブ」で大規模な火災が起こり、その場に居合わせた27人が亡くなり、180人が負傷した。

その後数か月の間に37人が亡くなったことで公立病院の対応やルーマニアの医療システムが疑問視され始める。その結果、ルーマニアでは大規模なデモが勃発し、与党であった社会民主党が退くことになった。

そんな中、マスコミが病院側が患者に薄めた消毒薬を使っていたという情報をキャッチする。調べていくと、病院に消毒薬を提供していたヘクシ・ファルマが書類を偽造していたことが発覚する。そしてあろうことかそれを政府が長年見過ごしてきたのだった。

コレクティブ国家の嘘の感想と評価

2021年アカデミー賞ノミネート作品にしてアレクサンダー・ナナウ監督による、ルーマニアの腐敗しきった政府の汚職にメスを入れた衝撃の政治ドキュメンタリー。火事をきっかけにルーマニアの医療問題が浮き彫りとなり、製薬会社と癒着する政府への大規模な批判へと移っていった大事件で「陰謀」大好き人間にはもってこいの作品です。

開始5分のところで実際のナイトクラブでの火事映像が流れます。満員のナイトクラブ。ヘビメタのバンドを見ながら盛り上がる観客。バンドが一曲終えると花火の演出が始まり、歓声が起こった矢先、花火の火が布に飛び移り、瞬く間にナイトクラブの中は炎と煙に包まされます。

パニックになって叫びながら逃げ惑う観客たちをカメラがしっかり捉えていて、そんじょそこらのホラー映画なんて比べ物にならないぐらいの恐ろしい地獄絵図がそこにありました。最大の見どころにして、最もショッキングなシーンがこれでしょう。

そしてこの火事の被害者がルーマニア各地の病院に運ばれ、不当な扱いを受け、そのうちの多くが死亡したことから政府の汚職が明らかになり、国家の一大スキャンダルとなる、というのが話の流れです。

僕は特に陰謀論者というわけではありませんが、この作品には引き込まれました。その最大の理由はルーマニア政府の保健省、もっというと大臣に密着取材している点に尽きますね。

政府が自分たちが犯した不正をテーマにした映画製作に協力するのも前代未聞だし、あそこまで内部事情をメディアに見せちゃうのはおそらく世界でも初めてなんじゃないのかあ、という気がします。

密着を許可したのは逃げ場を失い辞任していった前保険大臣の後釜として新大臣に就いたヴラド・ヴォイクレスク。彼はオーストリアで大学教育受けた30代の若き政治家で、物腰柔らく、謙虚で、誠実に国の問題に立ち向かっていきます。そんな彼の姿には心打たれるものがありました。

しかし一人真面目で働き者の人がいても政府全体が汚職まみれだったらどうにもならず、あることないことでっちあげる対抗勢力との闘いやとことん不正を突き止めようとするジャーナリストたちの勇敢な仕事ぶりにカメラはフォーカスしていくのですが、最後は国の未来を左右する選挙が行われ、皮肉な結果に終わって物語は幕を閉じます。

全ては人間同士の醜い金と権力の争いで、現実では決して正義が勝たないことを見せつけられる悲しくむなしくやるせない内容になっていて、こんな国で少しでも社会を変えようと政治家をしたり、ジャーナリストの道に進んだりする人たちは大変だなあ、すごいなあという感想しか出てこないです。

車の中でヴラド・ヴォイクレスク大臣がオーストリアのウイーンに住む父親とする会話が印象的でした。

「そんなところで働いていても引退する時になってもまだ何も変わっとらんよ。無駄なことしてないで早くこっちに戻って来なよ」

ほんと、ヴラド・ヴォイクレスク本人の人生のことを考えるとお父さんのいうことがごもっともなんだよね。汚職まみれの政府もゴミなら、それを支持して投票する国民も愚かで、10年、20年で到底変わることじゃないからね。それを分かりつつも国のため、国民のために頑張れるってものすごい自己犠牲精神だなあと思います。

世界どこを見てもひどい政治家、愚民ばかりというのを痛感させられる良質のドキュメンタリーでした。ただ、ひとつ気になったのはタイトルの「コレクティブ」にあるように発端となった火事の責任がナイトクラブから政府の問題へとすり替わっていく、または火事そのものの責任については触れていないのには少し違和感を覚えましたね。

あれどう考えても密室のクラブの中で花火なんて使ったバカなバンドと、それを許可したクラブ側の責任だからね。結構そういう火事、世界各国で起こってるし、その度にものすごい数の人が亡くなってるのにいまだにバンドがしょぼい演出で花火を使って火事を起こしていることが不思議で仕方ないです。

室内ライブで火なんて使っちゃ絶対ダメなの分からないのかなぁ。そんなバンドが「汚職なんてくそくらえ」とか叫んでるのコントでしかないんだけど。お前らがくそくらえって。

コメント

  1. すっぱいグミ より:

    いつも更新楽しみにしてます。
    映画男さんが、これは死ぬまでに絶対に観ろ!と思う作品はありますか?
    あれば教えてほしいです🙇‍♂️

    あとリクエストなのですが、ドラマ「ストレンジャー・シングス」をお願いしたいです。個人的に大好きなドラマで、ITやスタンド・バイ・ミーがそこそこ高評価の映画男さんなら好きになると思います🙏
    もう視聴済みかもしれませんが💦

  2. mebon より:

    今更ですが、Amazon Primeで見ました。
    この大臣、漢でしたねえ。頭は切れるし、負けてもなお爽やかでしたね。
    世論を味方につけることだけが頼りで密着取材させたんでしょうけど、皮肉な結果でしたね。
    ジャーナリストのほうは、少し強引というか、科学を理解できてない感じがしちゃいましたが…

    • 映画男 より:

      これはいい作品でしたね。新大臣のような誠実な政治家がもっと世界にいたらいいんですけどねえ