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FYRE夢に終わった史上最高のパーティーは面白すぎ!感想とネタバレ

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この記事は 約6 分で読めます。

イベントやるやる詐欺事件を追った、人間の愚かさが集約されているドキュメンタリー。見ごたえ十分です。77点

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FYRE夢に終わった史上最高のパーティーのあらすじ

ビリー・マクファーランドはアーティストとアーティストを雇いたい人たちをつなげるマッチングアプリ、Fyreをラッパーのジャ・ルールとリリースし、大きな話題を集めていた。

やがてビリー・マクファーランドはFyreの認知度を上げるために盛大な音楽フェスをバハマの無人島で開催することを発表する。スーパーモデルたちを広告塔に使うと、たちまちファイアーフェスティバルはSNSでバズり、プロモーションは大成功を収めた。

まだ十分なインフラ整備も整っていない段階でフェスのパッケージは販売され、数千人分のチケットはたちまち完売した。しかしイベントが開かれようとしていた場所はとても数千人を収容できるほどのキャパはなかった。

そこからビリー・マクファーランドはなにがなんでもフェスを開催しようと、嘘を嘘で塗り固め、投資家から多額の資金を引っ張ってきた。しかしもはやフェスが実現できないのは誰の目にも明らかだった。

FYRE夢に終わった史上最高のパーティーのキャスト

  • ビリー・マクファーランド
  • ジャ・ルール

FYRE夢に終わった史上最高のパーティーの感想と評価

マデリンちゃん失踪の真実」で知られるクリス・スミス監督による、音楽フェス巨大詐欺事件の詳細をつづったドキュメンタリー。盛大にはったりをかまし、花火のように散っていった伝説の音楽フェスの一部始終が面白すぎます。

世紀の音楽フェスになるはずが、ずさんな運営によってドタキャンに終わったファイアーフェスティバルの前後の出来事を事細かく解説していて実際の映像とともにFyreの元社員たちの口から語られるビリー・マクファーランドの人物像がぶっ飛びすぎてて怖いと同時に笑えました。

ビリー・マクファーランドはもともとマグニシスと呼ばれる会員制の次世代クレジットカードのようなをサービスを立ち上げたCEOとして知られ、セレブ向けのビジネスに味を占め、ラッパーのジャ・ルールとパートナーを組んでアーティストとアーティストを雇いたい人を結ぶマッチングサービス、Fyreを始めます。

Fyreはうまく話題を集めることに成功したんですが、目立ちがり屋のビリー・マクファーランドはそれだけでは満足せず、なにを血迷ったかバハマに島を買ってプライベートアイランドで、盛大なフェスをやると豪語し、音楽イベントを開催した経験もないくせに次から次へと話を進めていきます。

それもフェス自体の準備よりも真っ先にプロモーションに力をかけ、スーパーモデルを十数人雇って、白い砂浜と透き通ったビーチの絵を使ってここぞとばかりに宣伝しました。

まだこの時点ではやりようがあったでしょう。しかしあろうことかビリー・マクファーランドは高級リゾートでの宿泊を含むフェスのチケットを何の見通しもない頃から販売してしまったのです。

実際は宿泊施設などどこにもなく、プライベートな島は小さすぎるから場所を大きな島に移すことを余儀なくされ、そこでも数千人を受け入れることなどとてもできないので特設テントを張って、なんとかやりすごそうとします。

問題は宿泊場所だけに限らず、トイレ、食事といったベーシックなことまでに及び、一切なんの準備もできていないのになぜかチャーター機を手配して数百名の客をバハマに連れてきてしまいます。

そこからのイベント参加者の絶望とパニックの様子は地獄絵図というべきか、コントというべきか、いずれにしろ誰も死ななかったことが本当に奇跡としかいいようがないです。熱帯気候のバハマで食べ物はおろか飲み水すらろくにないって想像するだけでも恐ろしいですよね。

本作を見ていると分かるのがビリー・マクファーランドは普通の詐欺師とは一味も二味も違います。彼の場合、人からお金をだまし取るのが目的ではなく、承認欲求を満たすためにはったりをかましまくっていたらやがて現実と理想が乖離しすぎて、取り返しのつかないことになってしまった、という感じですね。

いわばSNSで自分を大きく見せようとしては経歴詐称してそれが後で発覚し、恥をかくタイプと同類でしょう。ただ、そのスケールがあまりにも壮大で、多くの投資家をはじめ、彼の側近たちまでみんな騙されてしまったというのが事の顛末です。

おそらく最後のほうは自分でも何が嘘で、何が本当か分からなくなったんじゃないかなぁ。本人はいたってシリアスで本当にフェスを実現できると思い込んでいたんでしょう。あそこまで来ると完全に病気でソシオパスですね。

ただ、中には最初ははったりをかましていって、実際にやり遂げる人もいるから分からないですよね。おそらくビリー・マクファーランドを信じた人たちは彼ならやり遂げるんじゃないかって思ったんだろうし。

一方で騙された側もセレブの写真や映像、豪華なロケーション、SNSの盛り上がりにまんまと釣られちゃったわけで話題に乗り遅れたくない、ブームに乗って自分もセレブ気取りがしたい、SNSで自分の特別感をアピールしたい、といった下心がそうさせたようなふしもあって ものすごく現代を象徴する事件だといえそうです。まあ、こんなの見せられたら楽しそうってなっちゃうのも仕方がないでしょう。

同事件が質が悪いのはチケットを買った参加者たちに損害を及ぼしたのはもちろんのことイベントに関わったスタッフも含め、現地のバハマで雇った低所得の肉体労働者にも賃金が払われなかったことでしょう。彼らにとったらそれこそ生きるか死ぬかみたいなことですよね。

そしてその尻ぬぐいをさせられるのはビリー・マクファーランドを信じて寝ずに働いた関係者たちなんですよね。何度もいうけど、よくこれだけのことをして死人が出なかったですね。スタッフの一人や二人、現地の人たちにリンチされてもおかしくない話だよ。

ビリー・マクファーランドに騙されてフェスに多額の投資をした投資家たちも気の毒です。ビリー・マクファーランドはドクター・ドレーもフェスに出演するとか、あることないこと言って次から次へとお金を引っ張ってきたそうです。

ビリー・マクファーランドがすごいのはカリスマ性とセールス力と人を信じ込ませる巧なトークの技術を兼ね備えている点でしょう。あれだけ優秀なスタッフや投資家たちを自分についてこさせるってなかなかできるものじゃないですよ。あのスキルをもっとまっとうなことに使っていたら普通に成功していたんでしょうが、道を踏み外してしまったのが残念ですね。

そして訴訟を起こされ、保釈中の身でありながら、また別の詐欺を働いていた、というのはもうバカを通り越して救いようがないですね。どうぞ刑務所でゆっくりして行ってください。

コメント

  1. きのこ食べ過ぎ より:

    「他人の不幸は蜜の味」を地でいった様な映画、落ち込んだ時に見ると元気になれそう。口八丁で、色んな人から金を引き出すマクファーランドの「舌先力」が半端ない。
    三国志で、呉の宮廷に乗り込んで舌先三寸で呉を蜀vs魏の「赤壁の戦い」に巻き込んだ諸葛孔明を彷彿とさせる舌先力。