嘘の天才・ウィザード・オブ・ライズは衝撃の実話!感想とネタバレ

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実話であることに大分助けられている投資詐欺物語。ストーリー構成や脚本は今一つですが、キャストの演技に支えられている作品です。58点

嘘の天才~史上最大の金融詐欺~ウィザード・オブ・ライズのあらすじ

ロバート・デ・ニーロ主演、ウォール街を震撼させた⽶国史上最⼤の⾦融詐欺事件! 『嘘の天才~史上最大の金融詐欺~ウィザード・オブ・ライズ』

米大手証券会社の会長であるバーニーことバーナード・マドフはある日、息子たちに自分の投資ビジネスは全くの偽りであり、長年ポンジスキームを行ってきたことを告白する。

同社で働く二人の息子マークとアンドリューは父の告白に衝撃を受け、父との関係を切らないと自分たちの立場まで危うくなると考え、距離を置いた。

翌日、バーニーは証券詐欺の容疑でFBIに逮捕される。バーニーの妻ルースは逮捕後も彼がなにをしたのか理解できず、彼を支え続けた。しかしそのせいで息子たちから絶縁され、メディアからも共犯者として叩かれるようになる。

こうしてバーニーの詐欺によって家族はバラバラになり、やがてメディアから追われるようになり、息子のマークは精神的に病んでいく。

それでもバーニーはまるで何事もなかったかのように淡々と逮捕前のことを振り返り、弁護士に語るのだった。

嘘の天才~史上最大の金融詐欺~ウィザード・オブ・ライズのキャスト

  • ロバート・デ・ニーロ
  • ミシェル・ファイファー
  • アレッサンドロ・ニヴォラ
  • ネイサン・ダロウ
  • クリステン・コノリー
  • ハンク・アザリア
  • リリー・レーブ

嘘の天才~史上最大の金融詐欺~ウィザード・オブ・ライズの感想と評価

実在した金融業者、バーナード・L・マドフの金融詐欺事件をつづった犯罪劇。何十年にも渡って個人投資家や金融機関から多額の投資額を集め、ポンジスキームで架空の利益を回し続けてきた男とその家族の悲劇を描いた人間ドラマです。

ナスダックの会長にまで上り詰め、世界の金融業界で一目置かれていた男は実はただの詐欺師だった、という嘘みたいな本当の話で、少しでも投資に興味がある人は見ておくといい作品です。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」が好きな人には受けると思います。

バーナード・L・マドフの詐欺スキームによる被害総額は500億ドル(5兆円超)ともいわれ、被害者の中にはロイヤルバンク・オブ・スコットランド、BNPパリバ、サンタンデール、野村證券、あおぞら銀行、住友生命保険、三井住友生命なども含まれています。

つまり無知な個人投資家だけでなく世界各地のプロ集団である金融機関すらも騙していたわけで、バーナード・L・マドフが業界でどれだけ信頼を置かれていたかがわかります。

あるいは案外金融の世界もコネと地位でなんとでもなってしまう、いい加減な世界なんでしょうか。投資なんて結局のところは投資家同市の資産の奪い合いで、騙し合いといえばそれまでですね。そこで長年、はったりだけで勝ち続けたバーナード・L・マドフはやはり只者ではないんでしょう。

本作はそんなバーナード・L・マドフが逮捕前後にどんなことをしていたのかに主にフォーカスしていて、逮捕前にはいかにして自分のビジネスを部下であり数少ない共犯者であるフランクとでっちあげてきたか、それを息子たちには断固として話さなかったか、といった場面を描いています。

特に注目すべきは息子たちは父親に一切犯行できない関係性だったという点です。バーナード・L・マドフは典型的なワンマンオーナーで、自分の意見は絶対で、反対意見を言う者がいたらすぐに逆切れし、怒鳴り散らす性格の持ち主で、そんな彼を恐れ、またそんな暴君なところにカリスマ性を感じていた人も少なくなかったんじゃないかと想像します。こういう社長は日本にも少なくないですよね。

一方、事件後は父親の失態でいかに家族が振り回され、地獄を見ていくかを悲劇的に描いてます。街を歩けばパパラッチに追われ、知り合いには悪態をつかれ、知らない人からは指をさされる毎日。そりゃああ精神病むよねって話ですよね。

結局、息子の一人は自殺し、もう一人は癌で亡くなってしまいます。でもバーナード・L・マドフだけは刑務所中で生き続けるっていうのがなんとも皮肉で、刑務所の中で82歳まで生き続けたっていうんだから悪い奴は本当生き物としてもなぜか強いんですよね。

詐欺師が刑務所に送られ、残りの人生を塀の中で暮らすことに対しては同情の余地はないでしょう。しかし彼の家族については気の毒でしかないですね。夫のことをなかなか捨てられない妻のルースも無垢で健気なだけに余計に不憫です。

史上最大級の詐欺事件ということで知っておくと面白いんですが、映画作品としては今一つの部分もありました。上映時間が2時10分を超えるのは無駄に長いし、そのせいで中盤はテンポが遅くなるのがつらいところです。

特に薬を飲んで夫婦そろって自殺を図るシーンとか長すぎるし、その割には絶望がちっとも感じられないコミカルな演出にしているのも意味不明でした。あんなに悲しさのない自殺未遂シーンもないよね。

一方で主役のロバート・デニーロが「ジョーカー」や「アイリッシュマン」同様素晴らしい演技を見せていました。こんな親父がいたら家族は面倒くさいだろうなあ。

息子たちにキレるだけならまだしも、8歳の孫娘にまでキレるところとか最高です。自分でも言及してたけど、あれだけの詐欺を平然とできるってやっぱりソシオパスなんですよね。息子たちが死んでも涙一つ流さないから人として重要な何かが欠けているとしか考えられないです。反省もしてなさそうだしね。そんな男をロバート・デニーロが絶妙に演じていて見ごたえありました。

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