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83歳のやさしいスパイは可愛い老人ホームの感動物語!感想とネタバレ

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この記事は 約5 分で読めます。

見る者を優しい気持ちにさせる美しく、全く悪意のない老人ホームの話。出演者が可愛すぎます。83点

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83歳のやさしいスパイのあらすじ

探偵事務所のオーナー、ロムロはある日、クライエントから彼女の母親が入居している老人ホームの調査を依頼される。クライエントは老人ホームで自分の母親が虐待を受けているのではないかと疑っていた。

そこでロムロはスパイを送り込むために高齢者を雇うことにする。多くの高齢者の中から選ばれたのは最近妻を亡くしたばかりの83歳のセルヒオだった。もちろん彼は探偵として働いた経験はなかった。探偵の仕事として使う精密機器はもちろん、スマホを操作するのも怪しかった。

セルヒオは調査の結果をスマホで伝えるために一連の訓練を受けた後、ついに老人ホームに乗り込んでいく。ところがそこで見た状況は彼らの予想を裏切るものだった。

83歳のやさしいスパイのキャスト

  • セルヒオ・チャミー
  • ロムロ・アイテケン
  • マルタ・オリバーレス
  • ベルタ・ウレータ

83歳のやさしいスパイの感想と評価

マイテ・アルベルディ監督による、チリの老人ホームを舞台にしたハートフルドキュメンタリー。2021年アカデミー賞長編ドキュメンタリーのノミネート作品です。

老人ホーム内で、入居者に対する盗みや虐待などあらゆる悪事が行われていると疑うクライエントが探偵事務所に調査を依頼し、老人スパイがその実態を探る、という態で老人ホーム内の生活を映しだしている、ただただ心優しく、美しい話でした。

てっきりちょっと怖い話になるのかなと身構えてしまったんですが、そんなことは一切なく、終始コミカルで、可愛い内容になっていました。

おそらく「虐待の調査」というのはこの映画を撮るための口実で、言い方を変えたら企画自体はやらせと言ってもいいかもしれません。それに対し、老人ホーム内で起こること、入居者たちの言葉や姿には嘘偽りはなさそうです。

つまり監督はストーリーを色付けるために老人スパイという設定を組み込んだだけで、本当は老人ホームで暮らす高齢者たちの置かれた状況と素顔を撮りたかったんだと想像できます。

ただ老人ホームの記録映画を撮りますっていうだけでは視聴者の注意は引けないから老人スパイという意外性や話題性を含むテーマを考え出したのでしょう。そういう意味では大成功していますね。

まず、主人公にセルヒオを選んだのが成功要因の一つでしょう。ジェントルマンと呼ばれるのに相応しい気品とマナーを持った彼の振る舞いを見ていて嫌な気になる人はまずいないはずです。

老人ホームにいるおばあちゃんたちもセルヒオの絶妙な距離感と優しさにたちまち彼の虜になります。中には本気で惚れちゃうおばあちゃんまでいて、結婚まで口にしてましたね。あの歳になってもまだ人に恋心を抱けるってすごいですね。一生、女なんだなぁ。

老人ホームには男性もいますが、女性の割合が多いからかカメラは女性たちばかりを映していきます。監督が女性だから女性目線にしているのか、あるいはセルヒオと女性のやり取りが面白いからなのか、ほとんど男たちはスルーされていましたね。

痴呆症が進んだ人、寝たきりの人、お喋りの人、妄想癖のある人など様々な人がいるんですが、チリ人のおじいちゃんおばあちゃんはもれなくみんな可愛いですね。

あの喋り方のせいもあるのかもしれないけど、温かみがあって、フレンドリーで、それでいて遠慮がちなところが、いわゆるうるさいラテン系の感じとはまた違うんですよ。

探偵として潜入しているセルヒオが入居者たちの話を聞いて回る、といったインタビュー形式になっていて、彼女たちの心境を掘り起こすんですが、家族から捨てられたと感じている人も少なくなかったです。私が一生懸命育てたのに、息子娘は私を老人ホームに入れて面会にすら来ないと嘆き悲しんでいるおばあちゃんたちの表情が印象的でした。

そしてそれこそが監督がこの映画に込めたメッセージというか、家族を大切にしない息子娘たちに向けた批判だったんじゃないかな、と思いました。

しかし本当にそれだけだったらただの悲しい現実を突きつけられるだけのドキュメンタリーなんだけど、セルヒオとおばあちゃんたちの会話には安らぎと幸せが一杯で、老人ホームでも楽しく過ごしている人は楽しくやっているのが伝わってきます。

孤独や悲しさといった負の要素よりも、多分この人たちはどこにいても幸せにやっていける人たちなんだろうなあ、とポジティブなエネルギーを僕は感じ取りました。

実際、介護などの仕事に携わっている人達からしたら、いいところだけを映した非現実的な夢物語のように映るかもしれません。ふざけんなよ、現場はあんな甘っちょろいもんじゃねえぞって憤慨したくなるかもしれません。たとえそうだとしても、上手く高齢者たちの表情を捉えて、一本の映画にしたなあ、と思えましたね。

最後は高齢者同士の上質な友情ドラマに仕上がっていて、セルヒオが仕事を終えて退所していくときには思わず感動してしまいました。果たしてセルヒオがあの後、彼女たちのことを訪れることがあるのかどうかも気になるところです。

それにしても結局、悪い奴が一人も出てこなかったですね。素直にたくさんの幸せと優しさパワーいただきました。

コメント

  1. high-low より:

    銀座で公開されており妻と観に行きました。
    入居者の悲喜こもごもがありつつも、全体には優しく温かい目線で描かれており、素晴らしい作品でした。
    ホームを引きで撮る最後のカットも良かったですねえ。

    東京はオリンピックのために殺伐としています。久しぶりに穏やかな気持ちになれました。

    • 映画男 より:

      見に行っていただけでうれしいです。男女ともに優しい人ばかりなので夫婦で見に行くには最適な映画かもしれませんね。ほのぼのしてましたね。

  2. mebon より:

    アマゾンレンタルで見ました。
    最初に実の娘に、この任務を受けたいっていうところからして泣けました。自分の死んだばあちゃんも、老人ホームで自分が働いてると思い込んでたことを思い出しました