インポッシブル(原題 THE IMPOSSIBLE)

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55点(100点満点)

ストーリー

2004年末、マリア(ナオミ・ワッツ)とヘンリー(ユアン・マクレガー)は、3人の息子と共にタイにやって来る。トロピカルムードあふれる南国で休暇を過ごすはずだったが、クリスマスの次の日、彼らは未曾有の天災に巻き込まれる。一瞬にして津波にのみ込まれ、散り散りになった家族はそれぞれの無事を祈りつつ再会への第一歩を踏み出す。

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永遠の子どもたち」のフアン・アントニオ・バヨナ監督によるサバイバル・パニック映画。出演者の演技が良く、わざとらしさも控えめで、津波のシーン、避難のシーン、病院のシーンなどリアリティー十分。スマトラ島沖地震を基にした映画ですが、日本人にとってはついつい東日本大震災と置き換えてしまい、心が痛むかもしれません。

ナオミ・ワッツがまたいい仕事してくれました。彼女はどんな映画に出ても安定した演技ができる数少ない女優ですね。サバイバル映画やパニック映画でいつも気になるのは俳優、女優たちのやつれ具合です。痩せることは誰でもできるけど、やつれられない人が多く、またひどいのになると、「ブラインドネス」の木村佳乃みたいにピンピンの涼しい顔をしていたりします。津波の被害を受け、命からがら逃げてきて、数日間飲み食いもしていないような状況では体も傷だらけ、身なりもぼろぼろになるのが普通です。服がほどけ肌が露になったりもするでしょう。そこをナオミ・ワッツは普通に胸をさらけ出して演技をしていました。ああいうシーンを目の当たりにすると、ああ、この人は本気なんだなあ、と感動させられます。本気でいい映画を作ろうと思ってるんだなぁ、と。

日本では泣ける映画=いい映画とするような風潮がありますが、もしその物差しでこの映画を計るとするならばもっと高得点を付けてもいいでしょう。僕のような冷めた人間でもこの手の映画を見ると涙が出てくるものです。その一方でこんなの見せられたらそりゃ泣くよ、とも言いたくなります。災害や闘病を扱えば内容が悲しくなるのは当たり前だからです。感動した、という感想を持ったら、それはきっとこの映画に出てくる人たちがどいつもこいつも「いい人」だからに違いありません。いわゆる嫌な人は、携帯を貸してくれなかった観光客のおじさんただ一人でした。あの状況ならもっとみんなが自分勝手なことをしてもおかしくないでょう。その辺はきれいにしすぎたかな、と。異常事態の人間心理や行動の描写は十分じゃなかったともいえます。

津波を受け、家族が離れ離れになり、地域が緊急事態に陥っている中、夫ヘンリーは小さな息子2人を知りない人に預けて妻ともう一人の息子を探しに一人で出かけます。いくら状況判断がにぶっているからって、あれはないな、と思いましたね。一体子供たちが乗せられていたトラックはどこに向かっていたのでしょうか。もしかしたらあのまま売られちゃうんじゃないのか、と思ってはゾっとしました。この映画が感動しやすいのは、そういったゾッとすることの全てを省き、ある幸運すぎる家族の「奇跡」だけを一面的に綴ったからです。

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