演技は良く、リアリティーもユーモアもあるものの、エンタメ性に欠ける邦画。評価が良かったので見たんですが、がっかりでした。45点
泣く子はいねぇがのあらすじ
秋田県の男鹿半島では毎年、なまはげの伝統行事が開かれる。なまはげは仮面をつけ、藁の衣装を身位にまとい、家々を巡って厄払いをしたり、怠け者や親の言うことを聞かない子供たちを脅し、恐怖体験を植え付けることで、いい子に育てる教育的側面があった。また、なまはげから父親が子供を守ることで、家族の絆を強くするという意味合いもある。
そんな重要な行事に地元で育った後藤たすくは当然参加することになっていた。最近彼にはことねとの間に娘が生まれていた。しかし父親としての自覚が全くない、たすくにことねは日々呆れていて、離婚を切り出そうとする。
そんな状況でなまはげに参加した、たすくは酒を飲まないと決めていたにも関わらず、誘いを断れず、泥酔してしまう。あろうことかその勢いで全裸になってしまい、地元のテレビにまで映り込んでしまう。
伝統行事をぶち壊したことで地元にいられなくなったたすくは2年後、妻と娘を置いて東京で暮らしていた。しかしずっと妻と娘のことが忘れられずにいた。東京で親友の志波と再会すると、ますます家族のことが頭から離れられなくなる。
やがて秋田に戻ることにするたすくだったが、地元の人々は彼の愚行を決して忘れてはいなかった。
泣く子はいねぇがのキャスト
- 仲野太賀
- 吉岡里帆
- 寛一郎
- 山中崇
- 田村健太郎
- 古川琴音
- 松浦祐也
泣く子はいねぇがの感想と評価
佐藤快磨監督による、秋田を舞台にダメ男が繰り広げる家族ドラマ。テンポが絶望的に悪く、離脱ポイントに溢れている作品です。
物語は、結婚し、子供を授かって父親になっても成熟できずにいる青年たすくが、地元の祭りで盛大にやらかしたことをきっかけに、村八分にされ、逃げるように東京に出たはいいけど、やっぱり地元のことが恋しくなり、帰っていく過程とその後を描いていきます。
娘が生まれた直後にすでにたすくと妻のことねの関係は冷え切っていて、子育ての疲れもあってかことねはたすくにきつく当たります。ことねの親と同居している身もあって、家には居場所のないたすく。そんな彼が外に出て酒を飲めば、当然酒に飲まれてしまいます。
たすくが自暴自棄になってやけ酒に溺れたのがまた伝統行事の当日で、彼はその日全裸で街中を走り回ってしまいます。さらにたまたま行事を中継していたTVカメラに映ってしまったことで、地元の恥さらしとなり、たすくのせいで伝統行事が存続の危機に陥る、というやばい状況になります。
そこから東京に逃亡。でも家族のことが忘れられず、2年後に故郷に戻ることを決意しますが、その頃には妻にはほかに男ができ、娘とは会えなくなる、というのがストーリーの流れです。
前半はそこそこ見れるものの、後半からあの手、この手を使って主人公に同情させようとするだけになるのがダメで、ラストで感動もしなかったです。ただただ、ああ滑ったな、と思っただけで。
邦画でよくありがちな重要なシーンをあえて映さない、という選択を要所要所でしていて、説明不足と物足りなさを感じました。
例えば、たすくが全裸になって走り回るところまでは描かれても、そこから警察に捕まる、あるいは村人から総スカンを食らうシーンはありません。次の瞬間にはもう東京に舞台が移っていて、ものすごい空白を感じます。
東京で飲みつぶれた女子を介抱し、家で誘惑されるシーンでも、ごにょごにょして結局やりません。可愛い女の子が誘ってきてるのに、ましてや意志の弱いダメ男があの状況で断るわけないじゃん。
母親が病気で倒れるシーンでも音が聞こえるだけで、なぜか母親を映しません。そうやって本来ならインパクトのあるシーンを全てスルーしているんですよね。
そうなってくると、見所をカットしているようなもんだから、当然ダレるし、メリハリがなくなります。これが映画だからまだしも、ユーチューブだったら絶対離脱してるでしょう。
邦画の製作者ってテンポの悪さや、メリハリのなさを映画だから最後まで当然見てくれるでしょう、という甘えのもとに、ないがしろにしてるようなところがあるんですよ。夫婦で車内で話すシーンとか動画配信で見てたら絶対飛ばすよね。遅いし、大事なこと何も言わないし、笑いも涙もないし。なんなのよって。
そして問題のなまはげラストシーンですが、主人公のせつなさ、やるせなさを映したクライマックスになるところが、最後ああなることが簡単に読めてしまって特別なんの感情も呼び起こしませんでした。
おそらくラストシーンありきでこの映画を撮ったよね。そういう印象を残す構成だったし、そのせいか中身がスカスカでしたね。惜しい。
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