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セイント・モードは芸術性の高いぶっ飛んだホラー!感想とネタバレ

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この記事は 約4 分で読めます。

映像、ストーリー、演出にこだわりが感じられる個性豊かな芸術ホラー。怖い映画じゃないけれど、興味深い映画です。69点

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セイント・モードのあらすじ

病院で看護師として働いていたケイティはある患者を死なせてしまったことをきっかけに病院を辞め、死にゆく患者の緩和ケアをするようになる。

その頃にはケイティは熱心なカトリック信者となり、モードと名乗るようになっていた。彼女は患者の心を救うことが自分の使命だと信じてやまなかった。

ある日、モードはかつて有名なダンサーで振り付け師だったアマンダの担当につく。アマンダは悪性リンパ腫を患っていておそらく余命わずかだった。アマンダは気難しく、皮肉屋だった。そんな彼女の魂を救うことが自分の役目だとモードは思った。

しかし献身的にアマンダのケアをしたにも関わらず、モードはあることがきっかけで首になってしまう。それを機にモードは神から拒絶されたと思い込み、自暴自棄に陥る。そして信仰が狂信へと変わっていくのだった。

セイント・モードのキャスト

  • モーフィッド・クラーク
  • ジェニファー・イーリー
  • リリー・ナイト
  • リリー・フレイザー
  • ターロック・コンヴェリー

セイント・モードの感想と評価

ローズ・グラス監督による衝撃のデビュー作。信仰に目覚め、やがて暴走していくケアテイカーのヒロインをつづった、芸術性の高いイギリス製のホラー映画です。

物語は、病院勤めだったナースが患者を死なせてしまったトラウマから宗教に目覚め、緩和ケアの介護士として転職し、担当した患者の魂を救うことに異常に執着していく様子を描きます。

早い話が、キリスト教を歪んで解釈してしまい、全てを神のお告げだとして正当化していく、狂った女性の話で、怖さでいったら正直そんなに怖くなかったです。

それに対し、先が全く読めないのと、「こいつ一体何する気だろう」といった不気味さが尋常じゃなく、ヒロインの狂いっぷりを軸にしたストーリーはなかなか見ごたえがありました。

ホラー映画なのに商業映画というよりは芸術路線を行っていて斬新です。ハリウッドホラーのように登場人物がキャーキャー喚き声を上げないのもいいし、うるささは全くないです。むしろずっと静かなんですよ。舞台になっている町も静かだし、BGMも静かだし、色んな意味で真逆を行っています。

リアリティーは十分で、かつファンタジックな要素も取り入れていて、さらにほど良く意味不明といった掴みどころのない内容に仕上がっているのも特徴で、これでデビュー作だというのだからものすごい才能と個性を感じます。

気味の悪さだけでなく、ダークな色気もあって、自暴自棄になったヒロインが酒に溺れて、行きずりの男と暴力的な性行為に溺れるくだりは最高でした。それも超絶自分勝手で、女が男をやるというのはああいうのを言うんでしょうね。真面目なヒロインが堕ちていく様子を描くには説得力がありすぎました。

そもそもヒロインは精神よりも肉体的な部分で神様ともつながってて、お祈りする度にオーガズムを感じてるような素振りも見せていましたよね。つまり深くつながりすぎて、キリストと肉体的につながってるんですよ。どんな領域までたどり着いてるんだよって。

ヒロインはなにをやるにも極端だから心の安定と不安定、神に対する忠実心と裏切りのギャップが激しすぎて、そこがまた面白いです。ケアテイカーのくせに自分の精神のケアはできていないっていうね。

信仰を持ったばかりに神の悪いお告げが聞こえちゃったり、暴力に走ったりする、という話の流れからしても、宗教アレルギーを持つ日本人には「やっぱり宗教って怖いなあ」という感想を抱かせるんじゃないでしょうか。

でも宗教が怖いって言うより、頭のおかしい奴が怖いんだからね。あんなのをカトリック信者の代表みたいに思われたら、カトリックの人たちからしたらたまったもんじゃないでしょ。

ヒロインを演じたモーフィッド・クラークのパフォーマンスは素晴らしいの一言です。物語の中で人格が変わっていく様子を見事に表現していて、顔芸の数々は賞賛ものです。「透明人間」のエリザベス・モスと共演して、ホラー対決してくれないかなぁ。

欲を言えばもうちょっと怖がらせシーンが前半、中盤にあると良かったかな。怖いシーンといえばほぼほぼ終盤にまとめてあって、ラストシーンの印象ばかり強く残るような設計になっていました。

あのラストはなかなか衝撃的でしたね。ヒロインの見ている世界が完全にファンタジーで羽が生えてたもんね。渦巻いていた空や聖人と化していく彼女の姿は妄想そのもので、でもあれこそがむしろヒロインには現実だった、というのが宗教そのものを皮肉っているようでもありました。

コメント

  1. アオヤンマ より:

    おー、ホラーモノはあまり観ませんが、観てみたくなりました。

  2. もふすけ より:

    客観性を持つことなくあくまでも狂いゆく主人公の視点に立って物語を写し続けて、最後の最後にあのカットを持ってくるセンスがすごいと思いました。
    怖いとも違うかもしれないですが、自分は騎乗位の最中にトラウマがフラッシュバックするシーンでびっくりしちゃいましたね。面白い映画でした。