一人っ子の国は中国が嫌いになるドキュメンタリー!感想とネタバレ

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一人っ子政策という名の人権侵害キャンペーンについての記録映画。どれだけ中国が狂った国かが分かる内容になっています。75点

一人っ子の国のあらすじ

一人っ子政策から30年、激動の中国を生きる市井の人びと/映画『在りし日の歌』予告編

ナンフー・ワンは一人っ子政策の真っただ中の1980年代に中国で生まれた。しかし彼女は当時も、大きくなってからもしばらく一人っ子政策が人々にもたらした影響を理解していなかった。

アメリカに移住し、息子を産んでからナンフー・ワンは中国に戻り、人口戦争と言われた一人っ子政策についてリサーチを始める。彼女は一人っ子政策を村人に強制していた当時の役人や助産師を訪ね、話を聞いた。

すると、自分でも知らなかった衝撃の事実にたどり着く。政府は政策の遂行のために多くの妊婦たちに中絶手術を無理やり行っていたのだ。

また、一家の跡取りである男の子が生まれなかった場合、多くの家族は赤ん坊を道端に捨てていた。あろうことかナンフー・ワンの叔母さんまでも自分の娘を捨てたというのだった。

一人っ子の国のキャスト

  • ナンフー・ワン
  • ジアリン・チャン
  • ワン・ザオディ
  • ユアン・フアル

一人っ子の国の感想と評価

ナンフー・ワンとジアリン・チャンの共同監督によるサンダンス映画祭グランプリ受賞作。中国の一人っ子政策の裏側をつづった衝撃のドキュメンタリーで、人口の増加を食い止めるために中国政府が行っていた、残忍な行為の数々を暴く、悲しくてやるせない話です。

1979年から2015年まで続いた中国の一人っ子政策については誰もが一度や二度は聞いたことがあるはずです。しかしその裏で強制中絶、拉致、人身売買が中国全土で行われていた、という事実を知らない人は多いんじゃないでしょうか。僕もその一人です。

ナンフー・ワンの村では一人っ子政策にはむかう者は役人たちから家を壊されるのがルールだったそうです。ナンフー・ワンの母親は二人の子を産んだため、世間から白い目で見られたといいます。

しかしその村では5年の期間を置けば二人目を産んでもいいというルールがあったらしく、ナンフー・ワンのお母さんはナンフー・ワンの弟を出産することができたのでした。

ただし、もし二番目の子が男の子じゃなかったら家族は赤ん坊を捨てるつもりでいたそうです。女の子は一家の跡取りにできないから価値がないというのです。

信じられない話ですが、中国全土で同じような考えを持つ人が存在し、そのために女の子の赤ん坊を道端に捨てる家族が続出したそうです。

捨てられた赤ん坊は運が悪ければそのまま死んでしまい、運が良ければ誰かに拾われ、施設に送られます。やがて中国政府は国際養子縁組のプログラムを始め、施設に集められた女の子たちをアメリカなどの先進国に文字通り売っていたんだそうです。

そんな吐き気のするようなエピソードが満載で見ていて悲しくなるだけでなく、気が滅入ってきます。こんなひどい政策が大昔ではなく、つい数年前まで日本の隣国で堂々と行われていたということにショックを受けました。

監督は一人っ子政策に関わった人々やその影響を受けた人々にインタビューしていますがそれぞれの考えの違いも興味深いですね。

実際に中絶手術の現場にいた助産師さんは自分の罪を認め、罪悪感と共に生きていました。政府の命令だったとはいえ、自分がやったことには間違いないと。数いる登場人物の中で彼女が一番まともでしたね。

一方で政策に関わり、国から数々の賞を受けた生育委員会の女性はむしろ自分の実績を誇らしげに語ります。監督の母親も叔母も、当時は厳しかったから子供を道に捨てるのも仕方がないことだったと口を揃えます。実際、叔父さんや叔母さんは女の子を道に捨てたんだそうです。

彼らの話を聞いていると、国民がどれだけ国の政策を疑っていないこと、洗脳されていることが分かりますね。また、そのせいで罪悪感からも多少解放されており、国の命令だったから、という逃げ道があるのも特徴でした。

愛する国の政策のためなら、洗脳されている国民はなんでもやるわけで、親は赤ん坊を人身売買組織に売り渡し、人身売買組織は施設に赤ん坊を渡して仲介料をもらい、施設は集めった赤ん坊を外国人に売りさばく、というウィンウィンのビジネスが成立していた、というのも恐ろしいです。

よくアメリカ人のユーチューバーで中国から養子を受けた、という家族がいるけど、おそらく彼らも同じような経緯で赤ん坊を買ってるんでしょうね。

もちろん本人たちは赤ん坊の過去を知らないし、正式な養子縁組のプロセスを踏んでいるから、罪の意識はないんだろうけど、それぞれが人身売買の仕組みに加担してると考えていると複雑ですね。

中には一人っ子政策時代に強制的に捨てられた、あるいは拉致されて、家族から引き離された赤ん坊もいるわけで、本作にも登場する双子の女の子がその一人でしたね。

双子のうち一人が中国で、もう一人がアメリカで育ち、アメリカ人の家族も、アメリカ人家族に育てられた女の子も自分がアメリカにたどりついた経緯は知りません。

貧しい中国の農村で暮らすより、アメリカで暮らすほうが幸せだという考え方もあるのかもしれないけど、自分の娘を誘拐された両親からしたらたもったもんじゃないですよね。

一体、一人っ子政策中にどれだけの家族が引き離され、どれだけの赤ん坊が捨てられ、どれだけの胎児が殺されたのでしょうか。本当、中国政府のやることはえげつないですね。この映画を見て、ますます中国のことが嫌いになりました。

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