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ぼけますから、よろしくお願いしますは悲しくてしんどい!ネタバレ感想

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この記事は 約4 分で読めます。

可愛い老夫婦が必死で生きようとする姿をカメラに収めた、日本の現実を映す記録映画。もちろん美しさもありますが、全体的には苦しく、悲しく、きつい内容です。58点(100点満点)

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ぼけますから、よろしくお願いしますのあらすじ

父(95歳)と母(87歳)は広島県呉市の家で仲良く暮らしていた。ところがある日、物忘れのひどい母がアルツハイマー型認知症にかかっていることが発覚し、生活は一転する。

娘の私は東京で映像制作の仕事をしているために面倒を見ることもできない。そんな中、父が家事を引き受け、母の介護をすることに。

父と母は体の不調を訴えながらも、ヘルパーたちの力を借りて、一日一日を一生懸命生きていこうとする。

ぼけますから、よろしくお願いしますの感想と評価

信友直子監督による、高齢で体を弱くなった自分の両親を追った介護ドキュメンタリー。フジテレビで放送されたTV番組の再編集・完全版です。

アルツハイマーを患った母親と彼女の世話をする父親による夫婦愛と介護の現実を描いていて、高齢化社会の現代の日本の現状と問題を浮き彫りにする映画です。介護が必要な親戚家族がいる人が見たら、決して他人事とは思えないでしょう。

老人の介護を老人がする、というパターンは日本ではなにもこの家族に限ったことじゃないだろうし、これからも介護を必要とする高齢者は増え続けるだろうから、日本は本当に大変なことになるなぁ、という印象を受けました。

特に日本の教育の根底に「他人に迷惑をかけちゃいけない」というのがあるので老人になって体がいうことを聞かなくなっても日本人はなんでもかんでも自分でやろうとする習性がありますよね。だから自ら苦しむ道をあえて選ぶみたいなことになってるじゃないですか。

実際、この映画のお父さん、お母さんもヘルパーを頼むことをすごく拒絶していたし、お母さんは人に迷惑をかけるぐらいなら死んだほうがましだ、といって泣き出してしまう場面すらありました。

はたから見ていると、もし貧困に苦しんでいるのでなければ、もっとお金で解決できることはお金を使ってサービスなどを利用して、どんどん楽な生活を送っていけばいいのになぁ、と思っちゃいました。良くも悪くも人に頼るのが下手なんですね。

人に頼るとかの前に、洗濯機がいまだに全自動じゃないし、脱水がきかないからか、洗濯物を手絞りしてたからね。あれじゃあ腰だって痛めるし、そりゃあ体壊すって。せめて娘が買ってやれよって。それすらもお母さんは断るんでしょうかね。

でもある程度、両親が年になってきたら息子、娘が強引にでも生活で改善できることはやっていかないと、という気もしますけどね。ガスコンロは危ないから、キッチンヒーターにするとか、風呂場に手すりを付けるとかね。

認知症が始まったお母さんを守るために、お父さんは曲がった腰を引きずるようにスーパーに買い物に行って、重い買い物袋を持って帰ってきてっていう生活をしていました。

あれにしてもどれだけ大変でも、やっぱり自分でやってあげたい、という気持ちからなんでしょうね。そこが日本人の美学になっているから、いいのか悪いのか複雑な気持ちで僕は見ていました。

ただ、実際自分がその年齢になってみたら、そんなことぐらい自分でできるから、他人がわざわざ介入してくるんじゃねえよってなるのかもしれませんね。

自分の力で日常生活を送るのが人間としての尊厳を守るラインだと、もし考えてしまうように難しいところですね。

いずれにしても高齢になって死が近づいてくると、色々な問題が出てくるからややこしいですね。こうして映像に残すと、まだ家族愛だったり、夫婦愛が浮かび上がるけど、現実はそうとも行かないからなぁ。

お母さんも、アルツハイマーでしんどくなって「もう死にたいから包丁持ってきて」なんてことを言い出していましたね。

それを聞いたお父さんが「感謝できないなら、お前なんて死んでしまえ!」と怒鳴って修羅場になっていましたが、あれこそがこの映画のクライマックスだったと思います。

この映画の中ではあくまでも多くのシーンのうちのワンシーンに過ぎなかったでしょう。しかしむしろ醜い争いが毎日続く、という夫婦や家族も少なくないんじゃないでしょうか。

しんどいですねぇ。お父さんもお母さんも可愛らしい二人だけに余計に見ていてせつないし、悲しくなりました。

この手のドキュメンタリーは、どちらかが亡くなって幕を閉じることが多いですが、最後はなんとかハッピーエンドにしていました。じゃないと本当にただ悲しくなるだけだもんね。

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