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隣の影は先が読めなくて面白い!感想とネタバレ

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欧州映画特有の地味さはあるけれど、話が進んでいくうちにどんどん面白くなっていく、アイスランド映画。ある意味ホラー映画として見てもいいかもしれません。68点(100点満点)

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隣の影のあらすじ

アイスランドのとある街で、妻と娘と暮らしているアトリはある晩、アダルト動画を見ているところを妻アグネスに見つかり、口論になる。

それもそのはず動画に映っていたのはアトリと別の女性だったからだ。逆上したアグネスに今すぐ出て行ってと言われたアトリは、仕方なく実家に帰ることにするが、その後も怒りが収まらないアグネスは家の鍵を変え、アトリと娘を会わせないように仕向ける。

一方、アトリの両親のインガとバルドウィンは隣人のカップルと庭の木をめぐって険悪な仲になっていた。隣人のカップルは日が当たらないからといってインガとバルドウィンに木を切るように頼むが、インガとバルドウィンからしたら癪なお願いだった。

すると、ある日突然インガとバルドウィンの猫がいなくなり、二人は隣人を疑い始める。それをきっかけに復讐の連鎖が始まろうとしていた。

隣の影のキャスト

  • ステインソウル・フロアル・ステインソウルソン
  • エッダ・ビヨルグヴィンズドッテル
  • シグルズール・シーグルヨンソン
  • ソウルステイン・バックマン
  • セルマ・ビヨルンズドッテル
  • ラウラ・ヨハナ・ヨンズドッテル

隣の影の感想と評価

ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン監督による、離婚ドラマと隣人トラブルドラマをミックスした斬新なブラックサスペンス。

始まりはゆっくりで、なかなか先が見えてこない作りになっているものの、終盤の破滅へと向かっていくクライマックスは見事で、意外性に満ち溢れている物語です。

ストーリーは、深夜に起きてアダルト動画を見ているところを妻に見つかる間抜けな夫アトリのシーンから始まります。

なにが間抜けって、その動画に映っているのはアトリ本人と別の女性で、過去に別の女性と自撮りした動画を見て夫は自慰行為にふけっていたのです。

それを見て妻は、怒り狂い、それがきっかけで夫婦は離婚の危機に立たされます。しかし実はその動画は結婚前の大昔に撮った動画で、本当は浮気したわけではなかったのです。

それでも妻は話を聞いてくれず、ついには娘に接近することすら許してもらえなくなります。

そんな流れから、最初はてっきりよくある夫婦の離婚ドラマに終わるのかな、という印象を受けたんですが、動画をめぐって文字通り全てを失った男の悲劇はそれだけでは止まらない、というのがこの映画の優れたところでした。

ただの動画ではなく、自分が出演している動画を見ていた、というのがポイントですね。ネットの動画なら嫁だってたとえ呆れたとしても許してくれたでしょう。でも自分の夫とほかの女性がやってる動画だったら話が変わっちゃう、というのが興味深いところです。

たとえばその動画が結婚前に昔の恋人と撮影されたものだったとしても、そもそもなんでまだ大事に保管してんだよっていう話になりますからね。あいつ、アホですね。

アホはアホなんだけど、確かに浮気をしたかって言ったらセーフだから、また難しいところですよね。なにもそれで離婚までしなくても、と僕は思いました。

いざ、アトリが家を追い出され、実家に帰っても今度は両親が隣人とドロドロの陰湿な争いをしている最中でした。

両親も隣人夫婦もなにか不都合が起こると、お互いすぐに相手側を犯人扱いする、というかなり深刻な精神状態に陥っています。

そしてアトリの両親の猫がいなくなってからというもの嫌がらせの応酬が始まり、やがてそれは残虐な行為へとエスカレートしく、という流れが自然でスムーズでした。特にすごかったのは、隣人の犬を殺してしまう下りですね。隣人トラブルによって相手のペットを殺してしまう事件って実際結構あるんじゃないかなぁ。

僕の住むブラジルでは、ねずみ駆除の薬などを飲まされて、僕の友人、知人の猫や犬が死んじゃったことが何度かありました。それも犯人は、猫や犬の泣き声に苛立っていた隣人だったりするようです。

でも決定的証拠がないから責められないし、飼い主はただただゾッとする恐怖と悲しみを抱えるしかないのがつらいですよね。

アトリのお母さんのインガはどうやって殺したかというと、隣人の犬を車に乗せて保健所のようなところに勝手に連れていっていました。

それもただ殺すだけではなく、死体を持ち帰ってきて、剥製にしてお隣さんの家の前に置いていく、という狂気に走ります。あのアイデアはなかなかのホラーで、かなりの衝撃を受けました。

一つ感心したのは、アイスランドって犬にチップが搭載されるのか、保健所では首に機械をかざすだけで犬と持ち主のデータが出てくるようになっていた、ところです。

あれだと、動物が失踪しても住所や持ち主が分かるし、または万が一誰かをケガさせても、責任を追及できますね。欧州では普通なのかな?

さて、犬を殺された隣人の夫婦は、もちろん黙っているわけがなく、さらなる復讐をしかけ、最後は取り返しがつかなくなる結末を迎えて映画は幕を閉じます。

「ああ、だから英題が『Under the Tree』なのか」と合点が行って、あのすっきり感がたまらなかったです。

最後の最後のシーンは、もしそうなったら最高に皮肉だよなぁ、と思ってことが本当に起こったので嬉しかったです。たとえどうなるか読めたとしても、評価を落とすオチじゃないはずです。

そのせいか悲劇にも関わらず、すごくきれいにまとまった感があって、怖い話なのに不思議とハッピーエンドの映画を見たときのような感覚を覚えました。面白かった。

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