ロビイストの陰謀(原題CASINO JACK/BAGMAN)

ロビイストが巻き起こす政治スキャンダル映画。賄賂、詐欺、脅迫など金と権力のためになりふり構わず暴走する男の半生を描いた映画で、政治の裏側が覗けるなかなか面白い作品。50点(100点満点)

ロビイストの陰謀のあらすじ

ブッシュ大統領が率いる共和党政権で活躍する、ロビイストのジャック・エイブラモフ(ケヴィン・スペイシー)。ビジネスパートナーのマイケル・スキャンロン(バリー・ペッパー)と手を組み、投資で財産を増やしていた。しかし、先住民族が運営するカジノをだまし取ったり、敵対する二つの勢力から巧みに金を引き出しては政治家への賄賂に流用したりと、倫理や法律を無視した手段で急速に富と力をつかむ。さらに欲に目がくらんだ彼は、マフィアと関わりのあるアダム・キダン(ジョン・ロヴィッツ)と共にさらなる金もうけをたくらみ……。

シネマトゥディより

ロビイストの陰謀の感想

ジョージ・ヒッケンルーパー監督による政治スキャンダルドラマ。面白いけど、スキャンダル映画にしてはコミカルで、サスペンス性に欠け、政治ものに興味のない人には見所が全くない作品とも言えます。

ケヴィン・スペイシー扮するロビイストのジャック・エイブラモフがとにかく度が過ぎるホラ吹きで、ハッタリを武器に世の中を渡り歩き、富を得ているのが、いかにもよくありそうで笑えました。

ジャック・エイブラモフは最終的に掟を破りすぎて起訴されてしまうのですが、果たしてこの「掟」自体もかなり曖昧のような気がします。

例えば政治において賄賂はいろいろな形で普通に行われているけれど、どのラインを超えるとアウトでどこまでがセーフなのかがよく分かりません。

金銭のやり取りはダメでもプレゼントなら大目に見られたり、金額が低ければよくても、ある額を超えると横槍が入るだとか、そこにはなにかお偉いさんのサジ加減的な曖昧さがぬぐえません。

子供のとき、近所に選挙カーが走ってたので友達と走って追いかけたら車が停車し、立候補者が降りてきて、「ほらこれでも食べなさい」とポップコーンをくれたことがありました。

なんて優しいおじさんだと思って家に帰ってから母親に「○○○○っていう人からポップコーンをもらったから投票してあげて」と言ったのを覚えています。

今考えるとあれもある意味、賄賂じゃないのかという気がします。それともポップコーンぐらいで票を入れるバカはいないからOKということになるんでしょうか。その物差しが人によってあまりにも違うのが白黒がはっきりしない原因でしょう。

また、マフィアと付き合おうと、賄賂を使おうと上手に国民を騙し、権力側についてしまえば黒でも白になってしまうのが世の常です。この映画でもセリフの中で触れられていますが、ケネディ一家がマフィアの金で富を築いたのは周知の事実で、それでも選挙の際に国民の心を動かせば大統領にもなれてしまうのがなんとも皮肉です。

賄賂について言えば、僕の住むブラジルのような国民の裏金に対しての罪悪感が低く、日常的にまかり通っている国では、多くの場合、物事を円滑に進めるための手段としてお金が支払われます。

例えば商品を日本から輸入した場合、港で一度税関の手に渡ります。ここで役人が嫌がらせでその商品を2、3ヶ月港に止めて置くなんてことは日常茶飯事で、早く回収するにはお金をよこせ、という話になります。

会社によっては商品が2、3ヶ月も届かなければ死活問題になるわけで、しょうがなくお金を払わざるを得なくなります。

また、自動車運転免許のテストをする際に、警察官にお金を払うと合格させてくれる裏システムがあります。これは全国各地の教習所がグルになって当たり前に行われているので、教官が授業中に「テストに自信のない人はお金を払うという方法もあります」などと言ったりします。

また、政府が企業に仕事を依頼する際、プロジェクト担当者が、「見積もりは大目に書いて、半額俺たちにキックバックするように」などと平気で言ってきます。断れば仕事自体も断られます。

国や人によって倫理にかなりの開きがある中で、おそらくジャック・エイブラモフも色んな活動をしているうちに暗黙の了解で引かれたボーダーラインを見失ってしまったはずです。

裁判中、原告側に付いた政治家たちにジャック・エイブラモフが「っていうかお前たちもみんなさんざん俺から金を受け取ったじゃねえかよ」などと捲くし立てるワンシーンがありますが、まさに本人からしたらなんで俺だけが捕まるんだろう、という心境でしょう。どうせみんな黒なんだから。

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