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クローズド・ガーデンは真面目な宗教ドラマ!感想とネタバレ

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お色気を目的に見たら騙される至ってシリアスな人間ドラマ。退屈な時間と興味深いシーンが交互にやってくる、まあまあな映画です。52点(100点満点)

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クローズド・ガーデンのあらすじ

12歳のキャスリーンは、奨学金が出ることを理由にカトリック系の学校に入学。
次第に神への恋心を抱くようになった彼女は、キリストの花嫁であるシスターを目指し、17歳で修道院に入る。

外界から遮断されたこの場所では、シスターを志す少女たちが毎日鐘の音に合わせて同じ行動を繰り返していた。

そして、優秀な者だけが残る半年を境に、厳格な修道院長マザー・クレアは週に一度少女たちを閉ざされた一室に集め出し…。

さらにその背後には、後に9万人のシスターが信仰を捨てたと言われる、カトリック教会最大の事件が近づきつつあった…。

SonyPicturesJapanより

クローズド・ガーデンの感想

マーガレット・ベッツ監督による、第二バチカン公会議を題材に思春期の少女が修道女になるまでの修行の日々をつづった宗教ドラマ。

「第二バチカン公会議」とは1962年にローマ教皇ヨハネ23世のもとで開かれた会議のことで、その後のカトリック教会の方針を決定付ける大きな出来事だったようです。詳しくはwikipediaを参考にしてみてください。

>>第二バチカン公会議とは

ざっくり説明すると、会議ではより一般に開かれた教会を目指すために昔の古い風習や解釈を大幅に変えてカトリック教会を現代風に改革することを決め、その決定が修道院のあり方や修道女の立ち位置に直接影響に及ぼすものとなったようです。

この映画は、その「第二バチカン公会議」以前と以後のちょうど変革期を舞台に17歳のヒロインが自分の意思で修道女を目指す物語になっています。

ずるいなあ、と思うのがSony Pictures Japanがこの映画をさも官能ドラマかのような売り出し方をしてるんですよ。でも実際はあくまでも綺麗に描いてあって決して性を売りにしているような雰囲気はありません。

それなのにSony Pictures Japanはこんな解説で意図的なアピールしているんですよ。

そこは閉ざされた禁断の園。美しきキリストの花嫁たちの欲望が目覚めるー。 カトリック教会最大の事件が引き起こした、美しき乙女たちの危険な欲望の目覚め!初々しさ残る期待の若手女優たちに、純白のエロティシズムが宿る!

気になってアメリカのSONY PICTURE CLASSICSの英語の解説を見てみたら、全く「欲望」とか「エロティシズム」とか「禁断」とかっていうワードがなくてびっくりしました。

こちらが本家の解説。

Spanning over a decade from the early 1950s through to the mid-60s, NOVITIATE is about a young girl’s first initiation with love, in this case with God. Raised by a non-religious, single mother in rural Tennessee, a scholarship to Catholic school soon finds Cathleen drawn into the mystery and romanticism of a life devoted to the worship and servitude of God.

1950年代初めから60年代半ばまでの10年間を舞台にした「クローズド・ガーデン(原題NOVITIATE)」は、若い女の子が神(キリスト)と初めての愛の儀式を交わす物語。

テネシー州で信仰のないシングルマザーによって育てられたキャスリーンは奨学金を受け、カトリック学校に進むうちにたちまち神への崇拝と奉仕に捧げる生き方のミステリーとロマンチズムに引き寄せられる。

ね、全然違うでしょ。だって終始マジな話だから。

こういう映画を官能的なワードで釣ろうとするところに担当者のセンスと人間性を疑いますね。これ作り手の意図を全く汲んでいないマーケティングじゃないですか。

するとどうなるかというと僕のような邪悪な心を持った間抜けな視聴者が釣れてがっかりすることになるんですよ。あー騙されたって。

それでも「母親に反対されながらも自分の意思でまだ17歳の少女が修道女になることを決める」というストーリーには少なからず惹かれものがありました。

お母さんが父親と離婚をし、たまたま娘がこどものときに連れて行った教会に居心地の良さを感じ、カトリック学校に進み、ついには自ら修道女になるという人生の大きな選択をしたのは尊敬します。

一体何が彼女をそうさせたんだろうって思うのと同時にあそこまで純粋に道を極めようとするヒロインの姿はとても美しく映ります。

ところが実際に修道女のための厳しい訓練を受けると、そこでは理不尽な体罰があったり、嫌味なボスがいたり、上下関係があったり、人間のエゴがうごめく世界が広がっています。

そんなときに主人公キャスリーンの癒しとなったのが心優しい美人のシスターで戒律を破ってでも彼女に触れ、彼女を愛したいと思ったことが自分の考えを改めるきっかけとなる、というのが話の流れでした。

それにしてもいくらなんでも宗教家たちの女の子が可愛すぎますよね。もっと地味で素朴な女の子にしないと。シスター美人すぎるだろ。あんな修道院あるなら入りたいって。

正直、キャスリーンのストーリーはあまり「第二バチカン公会議」の決定とは関係なかったです。だってキャスリーン個人の問題だから。

一方で当時の修道女の多くは、修道女になれば普通のキリスト教信者よりもキリストとより近い特別な関係になれると信じていたそうで、「第二バチカン公会議」によって修道女の立場が事実上格下げになると、何万人もの修道女が修道院を離れ、信仰を捨てていったそうです。

それって大勢の愛人を持つ男に対して、あくまでも自分がナンバーワンだと信じていた女たちが、実はナンバー10だったことを知ったときみたいな状況じゃないですか。哀れだねぇ。

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