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幼な子われらに生まれは女性必見の家族ドラマ!感想とネタバレ

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この記事は 約4 分で読めます。

女性監督による女たちが繰り広げるネチネチドロドロ家族ドラマ。脚本、演技、ストーリーが素晴らしく、楽しめました。73点(100点満点)

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幼な子われらに生まれのあらすじ

再婚した中年サラリーマンの信(浅野忠信)は、2人目の妻・奈苗(田中麗奈)とその子供たちと、平凡でも幸せな家庭を築こうと努力していた。だが、奈苗の妊娠をきっかけに実の父親に会いたいと言いだした長女が反抗的な態度を取り始め、父親としての信の存在を否定する。長女を実の父親の沢田(宮藤官九郎)に会わせる信だったが、現在の家族に息苦しさを感じ……。

シネマトゥデイより

幼な子われらに生まれの感想

重松清の小説を原作とした三島有紀子監督による、複雑な家族の複雑な状況を絶妙に描いた人間ドラマ。特に女たちの描き方が上手く、見ごたえ十分でした。

主人公はバツイチ子持ちのサラリーマン信。彼の再婚相手奈苗には連れ子が二人いて、自分の娘は前妻が親権を持っています。

信は最初の妻との離婚後も実の娘と定期的に会い、また今の妻の連れ子二人にも我が子のように接しています。ところがそんな関係性も今の妻である奈苗が妊娠したことでバランスが崩れ、お腹の子供をめぐって女たちに様々な思惑が頭をよぎります。

特に年頃の連れ子の長女が強い嫌悪感を表し、何かと信に反抗するにようになります。信は本当のお父さんじゃないと言って、自分の父親に会いたいと言い出し、塞ぎこむ長女は信が実の娘と面会することにも嫌気を覚えているのでした。

やがて信は二つの家族の板ばさみになり、精神的に追い込まれるようになる、というのが筋書きです。

元妻、現妻、連れ子、異母姉妹など登場人物それぞれの視点から嫉妬、疎外感、独占欲などをむき出しにしていく様子が面白く、リアルです。

主人公こそ男だけれど、描きたいのはやはり女なんでしょうね。女性が見るべき映画だと思いました。

女性監督ということもあってか女性の心理や行動が細かく描写されていて、あるあるエピソード満載すぎてシリアスな話なのに笑ってしまう箇所がいくつもありました。

それに対し、ぐっとくるシーンもあるし、最後はちゃんと前向きに終わっているし、見終わった後満足感がありました。子役たちの演技も見事でしたね。

客観的に見たらおそらく女性でも、「うわーこんな女嫌だなあ」っていう登場人物ばかりでしょう。でもそう思ってる本人もきっと同じ状況に立たされたら、同じような行動を取りますよ。だって女だもの。

男の僕からすると、なんで女はああも感情で行動するかなあ、もっとロジカルに考えられないのかねっていいたくなるような話です。

全てを感情論で片付ける登場人物の女たちはしかし子供ができたときには中絶するかどうかを頭で考えて判断するっていうのがすごく日本っぽいです。そこは感情とか母性本能で決めないんだねぇ。

ああいうシーンは、日本人には理解されても、僕の住むブラジルをはじめカトリックの教えが根付く国民たちには到底理解できない部分でしょうし、日本人って残酷だなあって思われるかもしれません。

赤ん坊をめぐって登場人物たちがエゴをむきだしにする下りも赤ん坊は神聖な存在という哲学や宗教観が日本人に欠けているからのような気がしますね。

そしてそれこそが子供はどこか邪魔な存在であるかのような現代の日本社会を如実に表しているようですごくリアルでした。

全く理解できないのは、なんで日本っていつまで経っても離婚や再婚をしたら自分の子供を元旦那、元妻に会わせたがらない人が多いんですかね。

夫婦関係が破綻したって親子であることには変わらないのに親子が絆を保とうとする行為を邪魔しようとするんですよ。なんでこんなこというかっていうと、僕の母親がそうだから。

僕の両親が離婚して数年後に僕が親父に会いに行くって言ったときの母親の鬼のような顔が今だに忘れられないんですよ。それ以来、大人になった今でも親父に会うときは母親には言わないようにしています。面倒臭いから。

冷静に考えると、おかしくないですか? なんで息子が自分たちの都合で別れた両親の気を使わなきゃいけねえんだよって。

この映画はそんな子供の心理や大人たちの身勝手な思惑がちゃんと反映されています。シチュエーションが細かくて感心しました。

特に田中麗奈扮する奈苗のキャラがいいですね。ほどよいうざキャラ。なんでも旦那に頼って、人に解決してもらおうという受け身の姿勢。

そんな奈苗が信の娘を見たときの目つきの鋭さといったらなかったです。自分の連れ子は世話してもらっているくせに相手の連れ子は見たくないって言う自己中なところとか最高じゃないですか。どこもかしこも女だなあ。本当に女ってやつはまったくよお。

コメント

  1. mebon より:

    自分の生い立ちというか環境とも似ていて、すごく好きな映画です。
    原作も読みましたが、珍しく原作にも負けていないというか、映画ならではの良さもあると思いました。主人公のお父さん1人カラオケでストレス発散してますが、原作だと風俗ですね。
    映画だと家が高台の上なので斜行エレベーターを使わないといけない設定になってますが、三島監督が平凡で幸せな家庭の象徴としてロケ地を選んだとインタビュー記事で読みました。
    田中麗奈も、あまり知らなかったけど演技うまいなぁと思いました。プロポーズのくだりがよかったです