幸せなひとりぼっち(原題EN MAN SOM HETER OVE)

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孤独に生きる頑固ジジイが近所の人たちと巻き起こす衝突と友情と愛の物語。ちょっと笑えて、かなりほっこりさせられる感動ドラマです。66点(100点満点)

あらすじ

愛妻に先立たれ失意のどん底にあったオーヴェ(ロルフ・ラッスゴード)の日常は、パルヴァネ一家が隣に引っ越してきたことで一変する。車のバック駐車や病院への送迎、娘たちの子守など、迷惑な彼らをののしるオーヴェだったが、パルヴァネは動じない。その存在は、いつしか頑なな彼の心を解かしていき……。

シネマトゥディより


文句

スウェーデン発、最愛の妻を失くし、世の中に対し憤りを抱えながら生きる男の行く末を描いた話です。

オーヴェは毎日家の近所を決まった時間にパトロールし、秩序が保たれているかをチェックします。彼は曲がったことが大嫌いで、地面にタバコの吸殻が落ちていたら怒りながらそれを拾い、ルールを守らない住人がいろうものなら容赦なく怒鳴り散らします。

そんなオーヴェはある日、40年以上真面目に勤めてきた会社から首をほのめかされます。それに対してオーヴェは自ら会社を辞めることを言い渡し、家に帰ってから亡くなった奥さんの後を追うように自殺を図るのでした。

しかし何度自殺を図ろうと近所の人たちの邪魔が入り、未遂に終わります。近所の住人たちに嫌気が差しながらも、彼らと付き合っていくうちにオーヴェは少しずつ他人に対する優しさを取り戻していく、というのがおおまかな内容です。

あらすじだけを追っていくと、妻を失くした寂しい男の話という印象も受けますが、オーヴェの行き過ぎた生真面目さとまっすぐな性格ゆえの柔軟性のなさをユーモアに描いていて、そこに悲しい雰囲気はありません。

世界中どこの国にもいそうな気難しい、面倒くさい男の代表のようなキャラを上手く作り上げているため、日本の視聴者にも十分に受けるはずです。

主人公オーヴェは根は優しいものの捻くれているので、なにかと周囲と衝突します。人付き合いが苦手で、自分でなんでもできるため、できない人を見るとイライラしてすぐにキレだすのです。

普通ならそんな男は面倒くさいおっさんとして要注意人物に挙げられ、周囲からは避けられそうなものですが、近所の住人たちは天然な人ばかりだからか次々と頼みごとをしに来ます。決してうるさいおっさんを無視するのではなく、徹底的に巻き込んでいくところにもどこか暖かさを感じさせるものがありました。

なによりオーヴェと奥さんとの甘いエピソードの数々はかなりいい話でしたね。出会いから最初のデートを経て付き合いだし、やがて結婚に至るまでの流れが自然で、同時におとぎ話のようでもあってロマンチックでした。

恋人同士、どのカップルにも二人だけの合言葉や遊びがあったりするけれど、彼らの場合は女が人差し指を出すと、男がそれを掴むというのがそれでした。あれはこの映画を見たカップルたちは真似しますよ。

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不器用で口下手で人と接することが苦手なオーヴェとフレンドリーで明るく気さくなソンジャがお互いに惹かれていく様子もよかったですね。

それにしても列車でたまたま同席した美人に自分の分の切符まで払ってもらったら、そりゃあ男だったら惚れるって。だって男なんて単純だもん。

それから毎日同じ列車に乗ってなんとか彼女と再会しようと頑張るオーヴェもオーヴェで純粋ですね。でも馬鹿正直だから初デートに彼女が遅れてきたら「君は15分遅刻だよ」とか本人に言ってしまうのが笑えます。

自分はレストランに行く前にお腹を満たし、なけなしのお金をはたいて彼女に美味しいものを食べさせようとしたオーヴェに対し、今度はソンジャのほうが惚れてしまいますが、あれは女性的にはやはりホロッと来る場面なんでしょうか?

そういえば僕の友達の女の子は冬に「最近、寝る時に寒くてさあ」ということを何気なく友達の男に話したら、その男が最寄の駅まで毛布を肩に担いで待ってきてくれたそうで、それがきっかけでその彼と付き合うことになったそうです。なんでも駅で毛布を担いでいた光景が滑稽であると同時に健気でよかったんだそうです。分からないもんですね、女の気持ちは。

きっかけはどうであれ一度運命に結ばれた男女はなかなか簡単に離れられないのか、オーヴェとソンジャも様々な苦境を乗り越え、どちらかが死別してもなお相手のことが頭から離れないといった極地にまで達していました。なかなか現代社会においてあそこまでの夫婦関係を築くのは現実的に難しいでしょうが、映画として嫌味もなく、ドラマチックになりすぎることもなく、全体的に上手くまとまっていました。

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一方、この人が59歳っていう設定には無理がありますね。どうみてもおじいちゃんでしょ。スウェーデン人、老けすぎって。

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